ラグゼ「アベンジ」のルアーデザイナー赤松拓磨の実釣に密着した一日。
夕マヅメ。朝、取り逃したバスを狙う。適度な濁りの期待できない状況で、濁りの要素を薄暗い光量で代用する。
もちろん、魚の活性が上がる時間帯でもある。右回りか、左回りか。一瞬、悩んで左回りを選択する赤松。右回りなら、一日中、風が吹きつけた護岸と1匹目が釣れたインレット(流れ込み)のシャローがある。
それらよりも、このため池の一等地である池中央のかけあがりに絡むストラクチャーを優先したのだろうか。
「地球の自転に影響され魚の移動は反時計回りです。そして、魚の効き目が右きなので、池は基本、左まわり。その理に逆らってまで逆回りを選択し、魚とすれ違うのが嫌だった」
もちろん、諸説あるが赤松はこの理論を支持し、実行している。
岸際のかけあがりやディープとシャローの境界線を探りながら、徐々に本命ポイントに向けて歩を進める。ハイシーズンのはしりとはいえ、45cm以上に絞るなら1日ワンバイトが標準的。2日で1本、仕留めれば御の字といったところであろう。
もしも、1日3本も仕留めることができたなら爆釣であり『春爆』と称される。サッカーでいうならハットトリックに値する釣果といえる。「昼マヅメ」に1本、追加している赤松がこの夕マヅメに1本、追加することができたなら春爆達成である。
夕マヅメ、48cm
何事もなく1番目、2番目の立ち位置を終え、3番目の立ち位置へ。本命ポイントである。池の中央にかけて急な段差のかけあがりがあり、その中に点在する穴をかすめる。
カンッという慌てふためいたようなショートバイト。
「食った。あっヤバイヤバイヤバイ。バレるっ」
朝に続きテールフック1本の感触。サイズもいい。右へ右へと移動しながらラインテンションを保ち、バスとの距離を詰める。
無駄な張りを抑えて素直に曲がるアベンジ66Mが赤松をサポートする。そのまま岸に寄せ、がっちりと口に手をいれた。
早春の動き始めたばかりの真っ白なバスは48㎝、真っ赤な唇まわりが印象的だった。