家邊克己の「週刊!アジングマニアックス」第3回 PSR–60 NEXT STAGEという竿がなぜ今必要なのか
家邊克己 Yabe Katsumi プロフィール
第3回 PSR–60 NEXT STAGEという竿がなぜ今必要なのか
前回ゼログラヘッドを紹介しました。
そのゼログラヘッドを最も扱いやすいのがPSR–60 NEXT STAGEです。
前身となるPSR–60を作ってから早6年が経とうとしております。
PSR–60は、ちょうどアジの餌が小魚からプランクトンに変わる時に発売したロッドでした。
プランクトンパターンと僕は念仏の様に唱えてますが、実は昔もこのパターンはありました。
いわゆるアミパターンと言われる時期、すなわち小魚がいなくなりベイトパターンが成立しなくなった時にはアミしかいませんでした。
12月から2月くらいの冬の厳寒期にそのパターンが存在していましたが、その時にはアミパターンは難しいと言われていました。
ベイトパターンはジグヘッドを動かす事により、逃げ惑う魚を演出する釣り方なわけで、常にジグヘッドを動かし、そして止めるを繰り返す事でそのリアクションで誘います。
しかしアミはプランクトンですから泳ぎません。
そのため逃げる事ができないのでアミの塊の中に入ったアジは口をパクパクするだけで食べることができます。
アジからすれば、わざわざ逃げていくものに体力を使ってまで追い掛けて食べに行かなくてすむわけです。
ですからベイトパターンのつもりで重いジグヘッドをガンガン動かしても釣れないため、「アミパターンは難しい」となるわけです。
今はその当時よりも海の富栄養化がどんどん進み、年がら年中アジはプランクトンを食う様になりプランクトンパターンが成り立ってしまったのです。
PSR–60を発売した当時は、その様なパターンになっている事をまだ多くの方が知られてなくて、「アジを釣るのが難しくなった」「昔より難しくなった」と言われてました。
それはまるで冬だけにアミパターンが存在した時の様に…。
そんな時に発売したPSR–60ですが、このロッドの裏コンセプトは「ロッドを動かしてもジグヘッドは動かない」というものでした。
その当時のアジングロッドはファーストテーパー全盛でした。
それはベイトパターンに合わせて、いかにレスポンス良くジグヘッドを動かすか、いかにアワセ遅れが生じなくするか、がアジングロッドに求められていたからです。
しかし全く正反対の形で出したPSR–60が異常な売れ方をしました、未だに名竿と言われています。
それは裏コンセプトが見事に成功したからなのです。
ジグヘッドを動かさないで釣ったら釣れるのですが、どうしても皆さんベイトパターンの癖が抜けないので動かしてしまう。
そこで全体を柔らかくアクションをファーストテーパーからスローテーパーに変える事によりレンスポンスを悪くして、動きづらくした結果、良く釣れるロッドとなりました。
それから6年、さらにプランクトンパターンは進み、今や日本全国夕マズメや朝マズメ以外はすべてプランクトンパターンになったと言っても過言でないくらいアジが変わってきました。
そうするとやはり釣れない人たちが出てくるわけで、プランクトンパターンが難しいと言われるユーザーの方達のためにさらに進化したPSR–60を作る必要が出てきました。
僕が念仏の様に唱えたのが効果があったのかどうかは分かりませんが、最近ではプランクトンパターンという言葉がだいぶ浸透してきました。
皆さん頭では理解されているようなのですが、実際に釣っておられるのを拝見させて頂くとガンガンエギングの様にロッドをしゃくっておられる方、リーリングでアジを釣っておられる方も多いです。
シャクることでジグヘッドは上に上がるのではなく前に進んでしまいますし、リーリングの釣りはどちらかというと逃げる小魚を演出しているのでどちらもプランクトンパターン攻略のキーである、「より長くプランクトンの塊の中にジグヘッドを存在させる」という事が難しくなってしまいます。