今江克隆のルアーニュースクラブR「今江的に気になりマクり厳選NEWアイテム&トレンド!フィッシングショーをレポート」 第1227回
2025年のフィッシングショーOSAKAが閉幕した。
今週は、全会場をお忍びでスクープ偵察して、今江的に気になりまくったフィッシングショーOSAKA・厳選NEWアイテム&トレンドを紹介しよう。
バスフィッシング関連は寂しめ
まず、率直な今年の大阪ショーの印象として、ちょっと悲しいほどにバス関連のルアーに関しては寂しいものがあった。
バス専門メーカーの出展が激減したこともあるが、それ以上にバスルアーに関してチャレンジャーな新製品が極めて少なかったというのが、正直な印象である。
事前情報でバス関連タックルが激減した影響もあったのか、入場者数もリアル開催となった昨年対比で土日とも及ばなかったようだ。
だが、一方で高額ハイエンドタックルの技術革新が目覚ましかった昨年に比べ、今年は物価高にもかかわらず、手に入れやすい価格帯で勝負してくる傾向もあった。
その最たる例でもあったダイワ&シマノのスピニングリール対決が、やはり今年も熱かった。
「ルビアス」の衝撃
まず、今江的に今回のショーで一番衝撃を受けたのがダイワのスピニングリール「ルビアスST・SF」の登場だ。
昨年、「イグジスト/SF-ST」、そして「エアリティST」の6万~10万円越えの超高性能ハイエンドモデルが続々登場し、双方合わせて20台弱(「ヴァンキッシュ」合わせると実に120万円オーバー泣)を一斉購入したのだが、その廉価版ともいえる「ルビアスST・SF」を実際に触ってみて、もう1年待てばよかったかも…と思うほど、もはや廉価版という位置づけ以上のクオリティに度肝を抜かれた。
正直、「イグジスト/SF-ST」も「エアリティSF/ST」、「同LT/ST」も1年間使い込んできたが、少なくとも初見では新型「ルビアス」との差は、価格ほど大きいとは思えないクオリティである。
2500Sで140gと、重量もイグジストに並んでいるだけに驚きだ。
価格設定は4万円台後半になっているが、すでにWebの予約販売ではさらに驚くほど安い価格で手に入れることもできそうだ。
青木大介プロに聞いてみた
まだ使ったわけではないので実戦力に関しては未知数だが、少なくともTOPプロクラスでも価格差ほどの不満を感じるレベルではないと思う。
ただ、青木大介プロに「何が違うの???」としつこく聞いてきたところ、やはり「イグジスト」の耐久精度とボディ剛性は格が違うといっていた。
確かにここは激しく同意で、「イグジスト」は間違いなく使用開始時より1年使ってギアが馴染んだ今の方が、巻きフィーリングが良くなっていると自分も感じている。
ただ、クイックドラグを最初から搭載した「エアリティ」と「イグジスト」との価格差ほどの明確な性能差が、現時点ではほとんど感じられないのが、次の新型「イグジスト」ってどないなんの???って謎な気持ちにさせたのが、ホンネのホンネである。
シマノは「コンプレックス」
一方で、シマノも狙ったかのように新型「ルビアス」に新型「コンプレックス」を当て込んできていた。
昨年、新型「エアリティ」にやや価格で下回る「ヴァンキッシュ」を当ててきたように、「コンプレックス」も「ルビアス」の価格帯より、定価ではかなり下回っている。
だが、今江的に「ヴァンキッシュ」で最も印象的だった「ANTI TWIST FIN」を「ルビアス」にも搭載し、これまたシマノが昔は先行して発表していたラピッドファイアードラグを2500F6では標準装備としてきたことには驚いた。
「ルビアス」の2500番(45mm径)140gには敵わない155g(C2500・44mm径)だが、シマノの強みは2500F6に47mm大口径を残している点は無視できない。
残念ながら175gとやや重いが、6~7lbフロロ(カーボンライン)が使え、ラインツイストも少ない47mm大口径で、ダイワでは3000番との勝負と考えれば、その恩恵はデカい。
ただ、黒田健史プロがいなかったので詳しく聞けなかったが、「ヴァンキッシュ」で今江的高評価の「インフィニティループ」こと超密巻き機構にカタログでは触れられていないのが気になるところ。
また「ヴァンキッシュ」との価格差比較となると175gvs165gの重量アドバンテージは「超密巻き機構」有るか無しかで実際に使ってみないことには判断は微妙なところだろう。
という点で、今江的には今年は安いのにハイエンド機構てんこ盛りな新型「ルビアス」が、価格的にも気軽に追加購入しやすそうで気になりマクリランキング1位でありました。
新型ベイトリール
次に相当な衝撃を受けたのが「G-nius」が新たに発表していた新型ベイトリール「ジェネレウス」だ。
何が衝撃だったかというと、確かに以前初期プロトらしきものを少し見せてもらったことはあるが、ショーで見るまで現物も、名前すらも知らなかったという極秘開発モノである。
なので、性能について正直説明のしようもないのだが、とてつもないブランキングを施したMCスクエアード製の小径32mmスプールや、超高額なMCダブルベアリングを標準装備しており、ブレーキシステムのアップデートも未知のリールであり、三原直之プロやWBSの金栗プロが開発に関わったベイトフィネス専用リールと思われる。
ベイトフィネスリールに関しては自分は一家言あるので、今後実際に投げてみてからその評価を正直に報告しようと思う。
しかし正直、「いつの間にできてたの?」って感じで衝撃でした。
グリップ素材がトレンド
さて、リールに関して気になったのは上記3機種だが、ロッドに関しては、今回のショーであきらかな傾向が見てとれた。
それは「T1100G」、「M40X」といった国産超高性能カーボン素材が、ハイエンドのバスロッドにもトラウトロッドにも完全に中心的素材に普及した実感があった。
だが、それ以上に今年はグリップ素材の変化がもっとも大きなトレンドだったように思う。
それが今年は従来のガラス繊維強化ナイロン樹脂グリップから、ガラス繊維強化カーボン素材のグリップが多数展示されていた。
このトレンドは、一昨年に登場した富士工業の超高感度軽量「技徳カーボングリップ」の影響が大きいことは間違いだろう。
だが、その投入はバスロッドではなく、ソルトウォーターの中~小物ゲームロッドに投入されており、バスロッドでは技徳以外では見られない。
同時にバス用ベイトロッドに技徳グリップの採用は見られるものの、バス用スピニングロッドへの技徳グリップの採用はあまり見受けられない。
これは各メーカーのバスロッド開発者もやはりよく分かっているなと少し感心したのだが、バススピニングロッドに現状のカーボングリップの採用は、ちょっとした問題がある。
実は自分もすでに技徳カーボングリップ以外のオリジナルカーボングリップをバスロッドにテストコンバートして2年ほどテストしたのだが、結果的に採用は見送った経緯がある。
その理由はまた機会があれば説明するが、やはり最先端素材は採用すればなんでも性能アップというわけではなく、適材適所でこそ、その効果を発揮するということで、まだバス用スピニングロッドへの最適解を見いだせてないというのが、デザイナーの統一見解なのかもしれない。
驚いたグリップ素材
余談になるが、今江的に驚きを隠せなかったグリップ素材が実はウッドである。
エバーグリーンのトラウトロッドにはウッドシートを採用したインスピラレーをも凌ぐ超絶ハイエンドロッドがあるが、それは決して見た目のデザイン性だけではないことを、最近実戦を通じて理解する良い機会があった。
成型性と均一性からコストはカーボンどころの比ではないが、初めてトラウト専用ロッドを使用して、「ハマるロッドには驚異的にハマる理由がある素材」が、天然ウッドだということを勉強させてもらうよい機会になった。
ちょっとメガバス・ITO伊東由樹さんのウッドグリップのARMSベイトロッドも使ってみたくなった新しい経験だった。
人工物ではない天然木は、やはり人にもバスにも暖かく優しいのである。
フック、ルアー、ラインは?