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【コラム】釣り糸屋から見た不思議な釣り糸の話

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新製品総力特集2025

2025年が始まりましたね。皆さんはもう初釣りは済ませた頃でしょうか…?

さて、今回は気持ち新たに…ということでサンヨーナイロンさんから頂いたこんなコラムをご紹介したい。

タイトルの通り、「釣り糸屋から見た不思議な釣り糸の話」。

(取材協力:サンヨーナイロン)


 

本当の意味で、釣り糸の選び方のコツとは

皆様、明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

「釣り糸屋から見た不思議な釣り糸の話」。読者の皆様にとっては、そのタイトル自体が「一体何のことだ?」とちょっと不思議に思えるかもしれませんね(笑)。

まず、釣り糸の話をする前に「前提」をお伝えします。

釣り糸屋 サンヨーナイロン

サンヨーナイロンは釣り糸屋です。ナイロン屋でも糸屋でもなく〝釣り糸〟屋です。

この項を執筆している私自身も〝釣り糸屋〟の社員。当然ながら、釣り糸のことについて知識は豊富であると思います。素材、性質、特徴、強度、サイズなど釣り糸の商品に関する知識はかなり蓄積されています。

ただ、だからと言って大きい魚を釣ることができるとか、多く魚を釣ることができるとか、他の方と比べて特別に釣りが得意なわけではありません。

皆さんはいつも釣るフィールドでどんな魚がどの仕掛けでどうアプローチすれば釣れるか?という、魚を釣ることはかなり詳しいかと思います。ただ「釣り糸」のことをどれだけご存知でしょうか?

釣り糸屋からすると不思議な質問

これを象徴する不思議な質問をよく受けます。

「どの釣り糸が強いですか?」「強いラインはどれですか?」

一見当然のような質問。しかし「釣り糸」という視点からすると不思議な質問です。

釣り糸は切れます。

そもそも「釣り糸」は切れることが前提となっています。特にルアーラインはlb(ポンド)表記ごとに商品構成が展開されています。詳しいことはここでは省略しますが、例えば12lbと表記されている釣り糸は直線強力が12lbで切れるように設定されています。

先に触れた質問例で「どの釣り糸が強い?」というもの。これは釣り糸屋からすれば、やはり不思議なのです。

上記を踏まえると、つまりは12lb表記のものは12lbの以上の力がかかると切れます。サンヨーナイロンのアプロードGT-Rでも、他社のラインであっても、12lb表記は12lbの力がかかると切れるのです。

だから、例えばご質問に「GT-Rの12lbより強いのある?」とあるならば、GT-Rの14lb(以上)がおすすめ、答えとなるのです。

釣り糸は結ぶ。結ぶからこそ…

△釣り糸は結ぶ。それを前提に、結束強度の高さやトラブルの少なさから、サンヨーナイロンはナイロンを軸とした商品展開をしている

そしてもう一つ、釣り糸屋としてはここで疑問・不思議があります。

釣り糸は必ず結びます。釣りで使用する際は、どこかしら必ず結ぶ箇所が発生します。ハリと結ぶ、ルアーと結ぶ、ハリスやリーダーと道糸を結ぶ…。そして残念なお知らせですが、釣り糸は素材に限らず全ての商品は直線強度より結びの結節強度が弱いのです。つまりは結節から切れる可能性が高い。これが前提になります。あくまで変な釣り糸屋の意見です。

さらに衝撃の事実として、同じlb(ポンド)表記であれば、PE、フロロカーボン、ナイロンの中でン結節強度が一番強いのはナイロンです。一番弱いのがPEです。つまり一般的に「一番強い素材」とされているPEは「釣り糸」として考えると「一番弱い」ということになります。

不思議な話ではありませんでしょうか? 世間的には強度に関して「PE最強!」となっていますが「釣り糸屋」をずっとやっていると釣り糸では「ナイロン最強!」と不思議な考え方になります。そんなことを年中考えている釣り糸屋がサンヨーナイロンです。

釣り文化を大切にしている商品づくり

ナイロンは結節強度が強く、適度の伸びがあり、しなやかでライントラブルが軽減できる特に釣りをするのに向いている素材です。これは、使う人を選ばない点でもベストと言えます。初心者から上級者まで誰でも専門的知識がなくライントラブルも少なく扱える素材がナイロンです。

「誰にでも容易に扱える」がミソです。

釣り文化は日本全国それぞれの地域に根付いています。そのそれぞれの地域で子供たちや初めて釣りをする方へナイロン商品を提供することで、釣りの煩わしさを軽減して最初から釣りを楽しんでいただきたいのです。

大人であれば車で遠出をして釣行にいくこともできます。しかし子供は学校帰りに近所で釣りをする。行動制限のある子供たちは時合いも制限される。そのような条件ではトラブルを軽減して釣果の可能性を広げるナイロンで釣りを楽しんでもらいたいのです。高度な素材でライントラブルを起こし釣りが嫌になってしまう可能性を避けるためにも今も「ナイロン」商品がベースにあります。

PE・フロロが不必要ではない

だからといってPE、フロロカーボン、エステルなどが不必要だというわけではありません。ナイロンでも不向きな釣り方があります。

例えば船釣りなどの縦方向の釣り。真下に釣り糸を落として上下に探る釣りは、伸びない素材のPEは道糸として絶対的におすすめです。またバスフィッシングなどのダウンショットなど、ロッドの先端から斜め45度程度の範囲で底を探るのであればスレに強く感度のよいフロロカーボンがおすすめです。

つまり「釣り方」によっておすすめの素材は変わります。ルアーフィッシングなどにおいて「ナイロン派」「フロロ派」「PE派」のような話が出てきますが、釣り糸屋が〝釣り糸〟としての視点で考えると、そうしたジャンル分け自体が不思議なのです。

二者択一的な選択は釣り糸にはなく、釣り方によって素材を選択する。これが大切だと思います。

釣り方によって素材を選ぶ・工夫をする

△釣り糸屋だからこそ、サンヨーナイロンの製品ラインナップには必要とされるアイテムが充実する。写真はAPPLAUD ZO6

最初にお伝えした「結節強度」を考慮したとき、「PEは結節強度が低いからナイロンハリスを結ぼう」「PEにフロロで感度を重視したいからリーダーは長めにしよう」など工夫ができます。釣り糸は「釣り方によって素材を選択するのが基本」と身につくと、どんなジャンルでもご自身でベストな選択をすることができます。

皆さんは「あのプロがPEを使うと言っていたから」であったり「あのユーチューバーがフロロで釣っていたから」…そんな選択はしていないでしょうか? その〝あのプロ〟や〝あのユーチューバー〟は皆さんと同じフィールドで、同じ釣り方や同じタックルで釣りをしていますか?

ご自身で釣り方に合った釣り糸の選択をする。これが釣りの楽しみ方のひとつでもありますし、そうでなければ大損をしているかもしれません。

あなたにベストの釣り糸とは…

まずはご自身で色々な素材、製品を試してみてください。

商品が無料ではないのでそこは大変申し訳ないのですが、自分の釣りスタイルにベストの釣り糸はご自身で決めていただくこと以外に実は正解はありません。色々なシチュエーションで釣り糸を探っていくことは必ずあなたの釣りの楽しい経験になります。そんなことを頭に、2025年も新たな気持ちで釣りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

サンヨーナイロン公式webサイト
https://www.sanyo-nylon.co.jp/

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