今江克隆のルアーニュースクラブR「撃ち巻き並立!これが新時代のバーサタイルロッドだ『スーパーレイブン610MHR-F』いよいよ登場」の巻 第1219回
さて今週は、エバーグリーンから来週半ば(12月20日前後)に店頭リリースされることがほぼ確実になった、今江的にも近年、最も手に取ってほしい、本当に価値あるベイトロッド「スーパーレイブン 610MHR-F」について、詳細な情報をお届けしよう。
「スーパーレイブンRS」の位置づけ
ひと言でいえば、この「スーパーレイブン」というロッドは、ボート、バンク(オカッパリ)を問わず、あらゆるルアーや状況に対する適応能力が抜群に広く、非常にユーティリティ性に優れたハイスペックな、バーサタイルロッドという位置づけになる。
バーサタイルロッドといえば、1900年代は人気があり過ぎて2年待ちも当たり前といわれた「テムジン・コブラ66M」があまりにも有名だ。
だが、2000年代に入るとカーボン素材革命、バスの平均サイズの大型化、汎用ルアーのフィネス化と巨大化の両極化によって実戦的意味でのバーサタイルロッドの定義が変わったといえるだろう。
むしろ、ここまではバスロッドは逆にルアーやテクニックに合わせた専門分野に応じたロッド細分化の流れが主流で、バーサタイルの意味が「初級者用」的な意味合いを持ち、あまりそこを突き詰めることが少なくなった。
バーサタイルロッドとは?
ところが、2010年代に入って、バーサタイルロッドの定義は一つの転換期を迎える。
それはビッグベイトの威力の周知による「大型ルアーの一般化」によって、バンクフィッシングやトーナメントにおいても、2ozクラスのビッグベイトを扱える上限設定でのバーサタイル性が、一つのニーズになった。
この時代に、事実上「テムジン・コブラ」の後継となる当時バスロッドとしては世界初のなるトレカT1100Gナノアロイをほぼ100%投入したヘビーバーサタイルというコンセプトの「グランドコブラ611XMH」を発表した。
当時の時代を反映した強靭かつバーサタイルなロッドで、「下は5gから上は4ozまで扱える」というものだったが、当然のようにヘビー方向に振ったバーサタイル性能であり、5gでもギリギリ使えるというセッティングだった。
2020年代のバーサタイル
そしてさらに時代は流れ、2023年に入ってビッグベイトの威力が落ち着き、その反動か今度は「テンポの速いノーシンカーリグや軽量リグでの強い釣り」が霞ヶ浦水系を中心に重視される時代が来ている。
かつてのベイトフィネス全盛期と違う点は、フィネスだがラインは10lb、もしくはPE1.5号以上、ルアーもバルキーでやや重めだが、シンカーは極力軽いもの、カバーの奥の奥からでも獲れる強いタックルの流れだ。
と、同時に、もう一つの流れが、同様のルアーでカバーの奥ではなく、カバーの前、カバーからブレイクにかけて「線」で泳がせて釣る「撃つ巻きの釣り」という新ジャンルが、今や定番化の流れになってきている。
「奥も攻めて、そのまま手前も攻める」、同じ釣りを「撃ち」と「巻き」の同時進行で行うことも珍しくはない。
ルアーで呼べば「スイムジグ」、テクで呼べば「ジグスト」が、その流れの典型例だが、今やトーナメントの世界では「撃つ」釣りは、必ずしもジグワーム系ではなく、シャロークランクやスピナーベイトまでもスイムジグ同様にピンに極力高精度で撃ち込んで、そこからさらに手前まで巻くテクニックが、高頻度で使用されるようになった。
「撃ち」と「巻き」の並立、それを細分化ではなくワンキャスト同タックルで同時成立させる汎用性、それが2023年ごろからトーナメントの最前線では普通に行われ始めていたのである。
この釣りの場合、ロングキャストで稼ぐサーチ範囲を、ピッチングによるミドル、ショートキャストで回転数(キャスト数)をロングキャストよりはるかに上げることで、サーチ範囲を稼ぐ、極めてアップテンポ&スピーディーなスタイルになっている。
ゆえに、2020年代のバーサタイルとは、「撃ちと巻きを同時並立」、「ジグワームと巻きモノ系(クランクやスピナベ)の同時並立」、「超アップテンポに扱える軽快さと高いキャスト精度」、「フィネスなリグでカバー奥から引きずり出せるパワーの並立」、といった新時代のテクニカルなバーサタイル性能が必要となってきた。
このような背景から、タフでテクニカルな性能をもつ、軽量(3.5g)~中重量級(14g)対応の巻撃共用バーサタイルロッドを具現化するために実戦テストを繰り返してきたのが「スーパーレイブン610MHR-F」である。
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