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【圧巻のサイズが続々揃う】「シーバスパーティー」レポ

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シーバスパーティー レポート

シーバスをターゲットとした釣り大会は国内各所にて開催される事が多く、その数多の大会の中でも熊本県で開催されている「シーバスパーティー」は国内最大級の規模を誇る。

今回は「シーバスパーティー」に参戦したTENRYUフィールドスタッフの久保田氏と中野氏の2名を追って、彼らが如何にしてシーバスをキャッチしたか、そのドキュメントをお伝えしていきたい。

情報提供 TENRYU・舟木雄一


この大会は規模だけでなく検量される魚のサイズがたいへん大きく、毎年の大会結果を聞くと一般的なシーバスとのギャップに狂いを感じてしまうほどだ。

アングラー間での認識として、シーバス(スズキ)は体長80cmを超えたものをランカーサイズとして呼ばれるが、この大会においては仮に90cmを釣ったとしても10位以内に入れるかどうか…という超ハイスコアぶりなのだ。

ランカー率がゲキ高! 国内最大規模の1DAYトーナメント

シーバスパーティーとは、熊本県内に4店舗を構える山本釣具センターが主催するシーバスをルアーフィッシングで狙う釣り大会で、毎年秋季に開催される一日限りのワンデイトーナメントだ。シーバス(マルスズキ、タイリクスズキ、ヒラスズキ)1尾の体長を競い、キャッチ&リリースを前提としたフォトタービー方式で競われる。

この大会の面白さは、離島を含む九州全域が競技エリアとなり、ショア(陸)からの釣りであれば渡船での沖磯や離島へのアプローチも許可されている。

ルールは他にも決められているが、受付を行った時点から24時間以内であれば、車や船を使って各地のフィールドに出向くことができるのでフィールド選定の点で大変自由度が高い。

そして先にも述べた通り今大会でエントリーされるシーバスが規格外に大きく、特に有明海を中心として熊本市周辺のフィールドではランカー級のキャッチ率が高い。そのため初心者であっても一発大物を釣れば上位に入り込むことが可能で、大会の面白さが深まる要因ともなっている。

東西ランカーハンター久保田剛之&中野慶一が参戦

2024年10月26日。TENRYUのフィールドテスター2名が熊本の地を踏んだ。神奈川県の激戦区である湘南をホームフィールドにする久保田剛之(くぼた よしゆき)氏と、宮崎県の南部から鹿児島県の志布志エリアをホームとする中野慶一(なかの けいいち)氏だ。TENRYUのテスター内では東西を二分するランカーハンターであり、熊本のフィールドに魅了されたアングラーでもある。

久保田氏は以前から参戦経験があり、参考記録ではあるが104cmを2017年にキャッチしている。中野氏は2023年より参戦し、善戦するも他アングラーによる強烈なスコアで熊本の洗礼を浴びた。両氏とも、今年こそはと熱い思いを胸にシーバスパーティーに参加することになった。

大会の翌日には、山本釣具センターが主催する「ヤマツリフィッシングフェス2024」という各メーカーを集めた展示会も同時開催となり、会場内にてシーバスパーティーの結果発表と表彰式も行われる。

私を含めたTENRYUスタッフは展示物の搬入のために大会の前日に熊本入りしており、搬入を終えてからフィールドスタッフ2名を追いかける流れでいた。

26日9時10分。羽田発、熊本行きの飛行機が空港に到着した。タックル一式を荷台に乗せた久保田氏が出口から出てきた。これからレンタカーを借りて移動し、大会の受付を店頭で済ませる予定だ。私も10分前に長野からの飛行機で到着したばかりで、一緒にレンタカー会社まで移動することになっていた。

電話で中野氏に連絡をすると、山本釣具センター菊陽バイパス店で受付をしている最中で、競技開始に合わせてフィールドに移動するようだ。

久保田氏は展示会の準備をする私と別れ、山本釣具センター宇土店まで移動し10時半にエントリーを済ませると店から近いフィールドから入るらしい。

私は逸る気持ちを落ち着かせながら、展示の準備に取り掛かっていた。すでにトーナメントは始まっており、お店のスタッフからランカー級が釣れているとの噂も聞こえてきていた。参戦している2名はどうだろうか?途中経過と場所の確認で電話をすると、両氏ともノーフィッシュとのことだった。

干満差の激しさがキーとなる

この日の状況を確認しておこう。開催1週間前まで夏日が続き、5日前から降雨の日が続き少しずつだが秋らしい気候に近づきつつあった。当日は曇天で時折雨がパラつく状況で、長期予報では雷雨の恐れもあったが回復傾向に向かっていた。潮まわりは小潮。競技開始頃に干潮を迎え、競技時間内では上げ潮2回、下げ潮1回のチャンスが訪れる。

熊本を中心とした海域は干満の差が激しいエリアで、有明海においては満ち引きの差が約6mと国内で最大級であり、小潮であっても潮位差によっておこるカレントは魚のスイッチを入れるには十分である。

しかるに潮位変動を読み、その日・そのタイミングでベストと思える場所で釣りができるかで、釣果が大きく変わることが想定されるフィールドだ。

それぞれの思惑

15時過ぎ会場から移動し、熊本市南部の河川に入っている久保田氏を探した。

ウェーディングで立ち込んでおり、周囲にはあまりアングラーは見当たらない。

北東の風予報であったが南西の風が吹いており、久保田氏の立ち位置からは風に対してアゲインストでキャストを行っている。

潮流は緩やかに上げており、周囲の岩に付いた苔の跡を見る限りもう少し上昇する様だ。

会場を出る際に久保田氏に電話をしたところ、魚の気配を感じているらしく、数発の捕食音を聞いているようだった。ロッドは今秋に発売したSWAT SW1072S-MLの他に、既存モデルのSW972S-MLとSW932B-ML/MHなども想定しており、ポイントに入った時はSW1072S-MLを持ち込んだようだ。しかし、シーバスが案外近いところを回遊しているかも…とのことで、SW972S-MLに持ち替えると連絡を受けていた。

SWAT(スワット) TENRYU

出典:テンリュウ公式

同時に中野氏に連絡をしたところ熊本市内の北部河川に入っている様だった。久保田氏から電話があったようで、「釣果に期待しています」との激励の言葉を貰ったようだ。さて、これをプレッシャーと感じるかは本人次第なところだろう。

弊社スタッフKがカメラ撮影を行うためウェーダーに足を通し、撮影を行って30分ほどだった。久保田氏から10mほどの距離で水柱が上がった。

ロッドは大きく弧を描き、40mほど離れた位置から見ていた私のところにもドラグ音が聞こえてきた。

久保田氏は慣れた手つきでファイトを行っており、後日に氏から聞いた話によると最初の首振りでリアフック1本だけに掛かっていたため、ワザと反転させて他のフックが刺さるのを確認してからランディングに入ったとのことだった。

遠目にも首振りが見えた時に80cm以上は確定したと思っていたが、92cmと思ったより長さがあった。

この魚をリリースするところまで見て、もう一人のアングラー(中野氏)のところに向かう事に決めた。

車に戻って電話を掛けてみると、中野氏はポイント移動をするか考えている様子だった。

まだノーフィッシュの様で、色々と動いて探索しているようだがターゲットからの反応は得られないとの事だった。

日が沈むころに目的の場所に着いた。ちょうど中野氏も車に戻っていたらしく、難無く合流する事ができた。どうやら、ご一緒していた仲間は小型ながらも本命をキャッチできていたようだ。

潮が変わり徐々に下げに変わってきている。緩やかに流れているようだが、未だ反応は得られていないとの事。

この日のために、何日か前に練習で熊本のフィールドで釣りをしており、色々とプランを練ってきていたが、なかなか上手く行かずにモヤモヤしている感を受けた。

ご本人曰く、先輩アングラー(久保田氏)や天龍スタッフ(私)からのプレッシャーが半端じゃないとのことだったようだ(笑)。

しかも、こちらに行く直前に92cmが釣れたことを伝えると、「久保田さん流石!」の言葉の裏に「俺も釣る!」と目に力が入った様に見えた。

暗くなるまで談笑しながら釣りを見届け、私たち取材班は撤収することにした。

その頃、久保田氏は一旦フィールドから離れ食事休憩に入っており、20時頃に再度河川に入った様だ。下げ潮が効いているなかで、50cm級を1本キャッチしたが納得のいく内容では無かった。23時に宿に戻り短い休憩をとった後、深夜2:30に三度フィールドに立った。

潮が上げに変わり、緩やかな流れに変わると魚の気配が出るようになったようで、この日一番のバイトがあったのだが、残念ながらラインブレイクをしてしまったとの事。

その後、70cm級が2回バイトしてきた様だがフックアップしきれず…。ベイトの群れと、シーバスの大型個体がリンクするタイミングと場所に居あわせられたかどうかだ。こればかりは経験則なのかアングラーの勘に近いものもあるが、久保田氏が選んだフィールドは上げ潮がキーになったと思えた。

3時頃に85cmをキャッチするが、その後は続かず4時半ごろにストップフィッシングとなった。

中野氏は私たちと別れた後、最初にエントリーした熊本市内の北部河川に戻り、潮がソコリとなる23時ごろに69cmをキャッチしている。

深夜1時まで続けたようだが、反応を得られないままストップフィッシングとしたようだ。

84位まで80cm以上!1位は圧巻の106cm

さて、次の日。ヤマツリ フィッシングフェス2024が熊本市内の会場(グランメッセ熊本)にて開催となった。10時から開場となり、続々と来場客が集まり会場全体が熱気に包まれた。シーバスパーティーの結果発表と表彰式が15時から、同会場内で行われることになっており、時間が進むに連れて大会に参加していた方達も集まって来ていた。

参加していた久保田氏と中野氏も、天龍ブースに常駐して来訪して頂いたアングラーとの会話を楽しんでいる。

先にも述べたが、WEBで行われる釣り大会を除いて、シーバスの釣り大会でこれほどの人数がリアルに集まることは大変凄いことだ。話を聞いても、アングラーの意識も高くシーバスフィッシングに対する熱意が高いのが肌で感じられた。

さぁ、結果発表だ。

先に10位から4位まで壇上に呼ばれ表彰される様だ。そして、3位、2位、1位の順で最終結果が発表となる。

皆がドキドキしながら待っていることだろう。

10位88cm。9位88.5cm。8位89cm。7位90cm。6位90cm。5位90.5cm。…数値だけ聞くと感覚がマヒしてくる。

そして4位92cm、久保田氏だ。

そして、3位95cm。2位96cm。1位103cm。圧巻の記録だ。

関東のフィールドで育った私にとっては、90cm台を釣るには果てしなく遠い事だと感じていたが、この地に来ると身近に感じてしまうサイズに思えてしまう。

大会結果を紐解くと、1位から84位までが80cm以上のスコアとなり、そのほとんどが熊本県内の河川によるものだった。84本のランカーがヒットした時間は、上げ潮時に44本、下げ潮時に40本。日中だと30本、夜間では54本と別れた。

さらに90cm以上のスーパーランカー級は、久保田氏以外では全て夜に釣られた様だった。現地で地元アングラーの話を聞くと、熊本県内の河川に入っていたコノシロが抜けてしまい、キーとなるベイトが絞り難い状況になっていたらしい。そのため、一概にヒットパターンを表すのは難しいが、デイゲームでの上げ潮と、ナイトゲームの下げ潮にヒット率が高いことが結果で伺える。

それぞれの釣った場所やサイズなどは、山本釣具センターのホームページに掲載されているので、そちらをご参照いただきたい。(https://www.yamatsuri.net/news/

久保田氏が壇上に呼ばれ、表彰されている際に中野氏をチラ見すると、クチビルを噛みしめているのが伺えた。本人は相当悔しがっていたのではないだろうか。

熱気が冷めやらぬまま、最後に集合写真の撮影が終わると共に本大会は締めくくられた。

熊本アングラー層の厚さと、フィールドの豊かさには脱帽である。ランカーを釣って最高の栄誉を貰えた方も居れば、その陰に次回こそはと熱き想いをたぎらせたアングラーも多かった事だろう。また来年の大会がどうなるか期待したい。

久保田氏タックル

ロッド:SWAT SW1072S-ML、SW972S-ML【TENRYU】
リール:セルテート LT4000-C 【DAIWA】
ライン:レジンシェアラ 1.2号【YAMATOYO】
リーダー:16lb、20lb【YAMATOYO】
ルアー:カゲロウ124F【MEGABASS】(92㎝キャッチ)
プロト(85㎝キャッチ)

中野氏タックル

ロッド:SWAT SW1072S-ML【TENRYU】
リール:ツインパワー4000【SHIMANO】
ライン:PE1.2号【SUNLINE】
リーダー:22lb【SUNLINE】
ルアー:ガルバストロング【DAIWA】(69㎝キャッチ)

ロッド:SWAT SW932B-ML/MH【TENRYU】
リール:バンタムHG【SHIMANO】
ライン:PE1.7号【SUNLINE】
リーダー:30lb【SUNLINE】

天龍(TENRYU)

1961年、六角竹竿加工業として下伊那郡鼎町下茶屋に塩澤製作所設立。1990年、株式会社 天龍に社名変更及び改組。創業当時、六角竹竿で一世を風靡し、1970年には日本初となるバスロッドを自社ブランドで発売。以降、カーボン素材を主軸に幅広い時代のニーズを先読みしたアイテムを輩出している。ソルトウォーターでは超軽量&高感度のSWライトゲームロッド「ルナキア」、ライトジギングでは「ホライゾン」が有名なほか、バス、トラウト、エリアフィッシング、さらにはテンカラなど、非常に幅広いジャンルでこだわりの強いロッドを生み出している。
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