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シルバーアクセサリー彫金師が生み出した海サクラ専用『ミサゴジグ』 その開発コンセプトを語る

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ミサゴジグ、奥代直行さんに直撃

11月にスミスから発売となる海サクラ専用「ミサゴジグ」の概要は前回お伝えしたが、今回はこのミサゴジグの生みの親でもあるスミスフィールドテスターの奥代直行さんにその解説をお願いした。

奥代 直行(Naoyuki Okudai) プロフィール

北海道河東郡在住。同地区でオリジナルアクセサリーや革製品を扱う「Silver Scale」を営む。スミスフィールドスタッフとして渓流や湖のネイティブトラウトから海アメ・海サクラまで日々追いかけている。
前回記事はこちら

シルバーアクサセリー彫金師が作り出した海サクラ専用ジグ『ミサゴジグ』

こんなジグがあったらいいな…を詰め込んで

北海道のルアーフィッシングで最も人気のあるターゲットのひとつであると言って過言ではない海サクラマス。

私もシーズンになれば地元のサーフに足繁く通っています。

海サクラのルアーチョイスは大別すると広範囲を探るジグの遠投と、飛距離を犠牲にしてもハイアピールに特化させるミノーイングに分けられます。

このルアーは私がフィールドで培った経験をもとに、こんなジグがあったらいいな、を詰め込んで作ったルアーです。

キャスティングジグの分類はざっくり【センター重心型】【後方重心型】に分かれます。前者はフォール時のアピールが長く、ストップでのバイトを誘発しやすい代わりに飛行姿勢を犠牲にしているものが多い。

ミサゴジグの設計は安定した飛行姿勢と飛距離を重視し、最初から後方重心型としてスタートしました。

とはいえ、単純に細長くリアヘビーなだけのジグは、飛距離こそ出るもののストップをかければストンと沈んでしまうし、相当なスピードでリーリングしなければまともに泳いでもくれない、ただの鉤付きの鉛になってしまいます。

私がこのジグで実現したかった条件は…

・アゲインストにも負けない飛距離

・幅広いスピードでしっかり泳ぎ水面を割らないこと

・ストップでもバイトを誘発するフォール姿勢

・よりリアルでベイトライクなシルエット

そして最後に、ルアー自体がカッコいい事。

我ながら無茶な条件だなと思いながらもひたすら試作とテストを繰り返しました(笑)。

大量のボツを出してやっとこの条件をクリアするに至った、ミサゴジグ最大の特徴がボディ前方の極端な薄さにあります。ルアーを真横から見るとフロントの体高があり、まるでフロントヘビーのような形状をしていますが、ルアーを真上から見たとき、フロント部が薄く、センターあたりから急なテーパーでリアが厚くなっているのがわかると思います。

この極端な形状と重心配置により、飛距離、水噛みの良さ、フォール姿勢の課題を達成しました。

薄くすることによる強度の低下は、スミス開発担当さんと相談し金属の配合を調整してクリア。

魚特有のヌルッと感にもコダワリ

私の本業が彫金師(結婚指輪やアクセサリー職人)という事で金属加工には自負があり、納得のいくまでひたすら原型を彫り、顔の意匠もリアルとデフォルメのバランスにこだわり、ボディ側面はゆるやかな膨らみを持たせて魚類特有のヌルッと感を再現してみました。

サイズは状況やタックルバランスに合わせられるように28gと38gの2サイズ展開。カラーは定番からリアル系、アピール系まで10色展開、カラーにより使う状況が異なる事を考慮してホログラムのパターンを変えています。

サーフのみならず、湖でも効く理由

実釣テストはサーフの海アメ海サクラを中心に、それ以外のシーズンは湖でも重ねました。ここ数年、北海道を代表するカルデラ湖の支笏湖や屈斜路湖では、ロングロッドで表層の広範囲をジグで探って回遊型のトラウトを狙うメソッドが確立されており、淡水域でのジグの有効性と需要が高まっています。

湖での表層の釣りは水面が波立っていることが好条件となり、強風下でのキャスティングが常です。海ではシケて釣りにならないような風の中でもしっかりと飛距離を稼ぎ、浮力の低い淡水でも安定したアクションで泳ぐことが淡水でも釣れるジグの絶対条件になります。

逆を言えば海での早巻きでしか動いてくれないジグは、湖で使い物にならないということです。テストと試作を繰り返し、湖でしっかり釣果を出せるようになりやっと自信作が完成したと感じました。

動きはワイドなウォブリングアクション、ゆっくりめのリーリングでもしっかり泳いでくれるのでスピードの緩急はつけやすい、ストップをかけた場合はリアからバランスを崩しながらヒラヒラとフォールする。テスト中もただ巻きからのストップで何度もヒットしている。ウォブリングでしっかり興味を持たせ、ルアーに着いてきた個体に喰わせの間を与えてあげるイメージ。

使いにくさを削り、武器を磨いたクセの少ない操作性なのでビギナーからベテランまで満足してもらえると思います。

魚食性猛禽類の鶚(ミサゴ)の名を冠したルアー。トラウトの聖地、北海道で大型のマス族をターゲットにテストを重ね、叩き上げた実力。今後スリムジグの新基準になってくれると期待と自信を持っています。

海サクラのシーズンももう間もなく始まる。今シーズンの海サクラ狙いは是非ミサゴジグを試していただきたい。

ミサゴジグ

ウエイト 全長 標準小売価格
28g 85mm ¥950+税
38g 96mm ¥1,000+税

11月発売予定

スミス公式「ミサゴジグ」詳細ページはこちら 

SMITH(スミス) プロフィール

1970年創業。日本のルアーフィッシング創成期からそのノウハウや楽しみ方を提案し続けている。バス、ナマズ、ライギョ、トラウト、ソルトと展開するジャンルも多岐に渡る。展開するタックルはスミスオリジナルのロッドやルアーに加え、プラドコやゲーリーヤマモトといった海外製品の輸入販売も行っている。
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