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「鰆/サワラの刺身は皿までなめる」…か

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ブレードジギング入門

あぁ、その罪深さたるや。

ひとたびその味を舌が覚えてしまえば、霞みゆく他魚の味。人肌恋しいこの季節。 汝「鰆/サワラ」に思いを馳せ。

美味、サワラ

声を大にして訴えたい。サワラはウマいということを。もっと言えば、まだまだ多くの人にその市場価値が誤解されているということを。

あえて皮を引いた「炙り」も絶品

例えば職場で、あるいは家族、友人と話しをしていて、ウマい魚や高級魚に話が及んだとき、果たしてその話題に「サワラ」は登場するでしょうか。

…おそらくはしない。あるいは話が及んだのであれば、その人は釣ってしっかり処理を施したサワラを口にしたことがあるか、あるいは料亭などで旬の味覚として味わったか。

サワラのエサとも称されるシャウト!の「ブレードショーテル」

サワラがウマい理由

ここまでくれば、お気づきの方もいらっしゃるでしょうか。

大好きなんです、サワラが。いや。釣って、きちんと血抜き処理をして、しっかり冷やし込んで持ち帰ったサワラが。大好物、一番好き。

…もちろん、10人いれば10通りの感想があって然るべき。こと食味に関しては、人それぞれ好みもあり一概に言えないのは百も承知。でもやっぱりウマい。記者という職業柄、なまじっか様々な魚を釣る→食べることはある。さらに取材やロケで地方へ行くことも多いし、加えて40歳を目前に肉より魚の方が好ましくなってくる頃。そう、うまいとされる魚を口にする機会は多い方だと思うんです。それでもサワラには適わない。

皮が口に残るようならしっかり目に炙ると◎

そこで、ぼんやり考える。なぜそんなに好きなのか。

①:ギャップ

堂々と熱くサワラ愛を語る記者も、そもそもはスーパーなどで見かける大衆魚のイメージが強かったのです。岩国沖でサワラが釣れるぞ!と聞いた所で「なんだ、サワラかぁ」という程度。それが初めて自分で釣ったサワラを口にした時の衝撃たるや。これが名の知れた高級魚であれば、感想はあくまで「なるほど」…なんです。大衆魚のイメージとのギャップ、これは大きな感動を生むもの。

②:味

真っ白な身は硬くなく、柔らかすぎることもなく、モチモチと。噛みしめれば口いっぱいに広がる脂とねっとり濃厚なうまみ。そこにクドさはなく、もう1切れ、2切れと進む箸。語弊を承知で言えば、マグロほど“くどく”はなく、そして青物やカツオほどの臭みもない。それでいて淡泊すぎる訳でもない。思いつく限りパーフェクト。

③:何をしても美味

80㎝を超えてくるサイズともなれば、贅沢な話どんなに美味でも毎日刺身ばかりじゃ飽きてくる。炙り、キズシ、焼き、煮つけ、蒸し、揚げ…何をしても絶品。そこまで汎用性の高い=利用価値のある魚は他にいないんじゃないかとも。

 

④:捌きやすい

捌きやすいと思うんです、サワラって。第一に大きなウロコがなく台所が散らからない。無論、大型であれば、その分捌きにくいという解釈にはなりますが、それでも身はもっちり柔らかく包丁がスンナリ入る。個人的には身割れもそんなには気にならないレベル。そして流線形の長細いカラダをしているため、真ん中で半分に割ってもなお捌きやすい。何をしてもウマいと前述しましたが、もし骨に身が残ればそのまま煮つけても良い訳です。

ピチットシートにて6日間熟成したサワラの身

もちろん、魚に優劣はつけることはできないし、釣り人である以上どんな魚にだってその価値を見出すべき。それでも、ヒト目線で考えて、上記した付加価値を鑑みてなお、スーパーで売ってる大衆魚でしょ?と言えるかどうか。

これぞ釣り人の特権だ

断じてサワラはウマい。

「鰆/サワラの刺身は皿までなめる」という俗諺があるように、古くより人々に愛されてきたサワラ。

私たちは釣り人、その食味に加えて釣りモノとして駆け引きをも味わえる訳です。だからこそ、この飽食の時代に、その価値を見直したい、いや見直すべきではないか…なんて思ったりする、秋の夜更けでした。

 

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