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今江克隆のルアーニュースクラブR「リールチューン最前線!オイルの使い分けによるチューニング微調整法」の巻 第1199回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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さて今週は、リールチューニングネタでも少し珍しい、オイルの使い分けによるチューニング微調整法を解説しよう。

ベイトフィネスの定番化になって久しい近年、超軽量スプール、セラミックボールベアリングはもちろん、Wセラミックベアリングなど「超高回転チューンパーツ」が、選択に迷うほど各社から登場している。

その究極仕様が、ベイトフィネスの最高峰KTF(キャリル・チューンド・ファクトリー)チューンであることは、今や疑いもないだろう。

KTFのWセラミックボールベアリング。Wベアリングは回転性能が2倍になる訳ではなく、キャストインパクト時のシャフト圧による回転の鈍りを外側ベアリングで防ぐことで、よりスムーズな立ち上がりを可能にする

チューンしたのに、投げにくくね???

だが、超軽量、高回転型チューンを施してみたのに、何気にピッチングしたら「投げにくね???」って、自分がヘタと思われそうでいえないけど、実は内心思っている人も多いのではないだろうか。

特にルアーの実質総重量が7g以上(シンカー+ワーム+ラバー、フック等の総重量)になると、いわゆるピッチング時の「前落ち」、すなわち、狙ったスポットに届かず、手前に結構なスピードで刺さるようにルアーが落ちてしまう現象に悩まされることがある。

この「前落ち」現象は、スプールが超軽量になればなるほど、ベアリングの回転が速くなればなるほど、実は多発する。

特に5g以下のベイトフィネスに特化したチューン仕様だと、実質総重量が10g前後(例:3.5gスモラバに3.5インチ程度のバルキーワーム)になると、途端にキャストがヘタになったかと思うほど、扱いにくくなることがある。

いわゆる「ピーキー」と呼ばれる現象だ。

メカニカルブレーキを調整してもなかなか修正が難しいのが、実はこれらオーバーフィネススペックチューン(ピーキーセッティング)の最大の泣き所なのである。

しかも、近年は実質総重量5g以下のワーム系は、スピ二ングPEパワーフィネスの著しい進歩でベイトフィネスの出番が激減したともいえ、そのベイトフィネスリールで7g以上のリグを投げる機会が増えたことで、さらに感じている方が増えているかもしれない。

当然ながら、超軽量スプール、超高回転ベアリングを装着すればスプールの立ち上がりは爆速になる。

特にKTFの特許である「KAHEN」スプールは、マグプレートが高回転になるとせり出してマグに近づきブレーキ力が増すため、優しいキャストではブレーキがほぼ効かない遠心力ブレーキに近い抜群の超軽量ルアー低弾道キャスト性能がある。

ゆえに、超軽量ルアーを優しいアプローチでプレゼンするには究極のセッティングともいえる。

しかし、逆にそこそこ重いルアーをやや強めにアプローチするとインパクトの瞬間はせり出したブレーキがよく利くが、その直後には、良くも悪くもマグフリーな感覚になるため「手前落ち」、「刺さり落ち」が多発する結果になるのだ。

オイルの粘度

今回のテーマは、そんなピッチング時の「前落ち」に悩んでいる人に、オイル粘度の違いだけでピーキーなピッチングフィールをマイルドに簡単に変えられる方法である。

簡単に一言でいえば、ピーキーなハイスペックリールに、あえて中~高粘度オイルを使って立ち上がりのピーキーさを抑え、逆に立ち上がりが重いドノーマルスプールには、超低粘度高性能オイルを使って立ち上がりを軽快にしてやることが簡単にできるということだ。

「KAHEN」超軽量スプールと、超高性能Wセラベア搭載のKTFフィネスチューン。超軽量ルアーには最高だが、近年増えてきた実質重量7g前後のフィネスには、少しピーキーで扱いにくい。だが、それもオイル次第で激変する

例で簡単に説明するとシャフトレス、Wセラベアの「グラビアスAURORA/KTF」の場合、「フィネスモデル」でも「ネオモデル」でもオイルを中粘度、場合によっては高粘度に変えると7g以上の前落ちは明らかに軽減し、パフォーマンスも明らかにイージーに扱いやすくなる。

逆に、シャフト式ノマールステンレスベアリングの「グラビアス」ノーマル機体のシャロースプールでは、高性能超低粘度を入れてやると、ピッチング時の立ち上がりが速くなり、前落ちではなく逆にテンプラ気味になる「7g以下」のピッチングパフォーマンスをかなり向上させることができるのだ。

「グラビアス シャロースプール」のデフォルトは、ステンレスベアリングだが、脱脂し超低粘度を点すことで実質7~10g前後なら、実はセラベアよりイージーで快適なピッチングフィールを得ることができる

超低粘度、高粘度、基準は?

オイルチューン最初の基本は、ベアリングの脱脂。脱脂直後は結露で水分が付くのでドライヤーで乾燥させてオイルを点すのが重要。大雨後はオイルが乳化しパフォーマンスが変わるので、脱脂&再注入はマストである

このオイルチューンは、とても簡単にリールのピーキーさを抑えたり、逆に鈍さを改善させることができるが、実は少々厄介な問題もある。

それは、現在、市販されている高性能オイルは超低粘度~高粘度まで存在するが、その粘度の「標準数値化」がされていないことである。

すなわち、A社のオイルが中粘度と表記されていても、ブランドによってはB社の中粘度よりはるかにサラサラで低粘度に近いってこともあるし、その逆もあるということだ。

ゆえに粘度数値どれぐらいを点(さ)せば、ベストなフィーリングになるかは一概にいえないということで、自分で色々点し比べて、好みの粘度のオイルを探さなければならないということである。

ここが難点なのだが、自分のフィーリングにリールを変えてくれる粘度のオイルが見つけられれば、オイル一滴で他をイジらなくても劇的に自分好みの立ち上がり、自分好みの低弾道キャストに調整できるといっておこう。

新進気鋭のチューニングパーツメーカー「MC SQUERED」の超低粘度~高粘度オイル。高粘度はかなりの粘度で、高回転仕様のスプールでビッグベイトを扱うときなどに使うと、立ち上がりをマイルドに抑えられる。詳しい使い分けは、三原に訊け!です。めちゃ美しい…

「グラビアス」にジーニアスプロジェクト青木代表がオススメする中粘度万能型オイルがコレ。とても高耐久でピーキーさを抑える用途や、ガン巻きに適したオイルである

オイル選びとそのキモは??

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