サワラ、サゴシ、サワラ、サゴシ…。
SNSを開けば、そこかしこにサワラ(サゴシ)の姿。そう、全国的に盛り上がってます「BLJ(ブレードジギング)」が。
そんなに楽しいなら、ちょっとやってみたい。でも。
なんでサワラなの?タックルは?釣り方は?どうやって始めるの?
…という訳でブレードジギングならこの人に訊け。第一人者で草分け的存在、シャウト!小野誠さんにブレードジギングを始める際に気になる4つの気になることを聞いてみました。
①:何故、サワラなのか
まず、気になるのはここ。ゲーム性で言えば魅力的な釣りモノは他にもたくさんいるし、また食味にしても美味しそうなターゲットは他にもいそうな気がする。何故サワラなのか。
小野さんいわく、一番の理由はここ。つまり、ジギングをしていてサワラが混じることはあっても“サワラを専門に狙える釣り方がなかった”というのが答え。
その極めて流線型の魚体から、ハマチやブリよりも遊泳力が高いとされるサワラの引き味はバツグン。また釣ったサワラのその食味は味わったことがある方ならわかると思うんですが、刺し身はもちろん、煮ても焼いても揚げても…何をしてもバツグンに美味い。
つまり、そもそもがターゲットとして十分に狙う価値のある魚。ただし、“サワラカッター”と称されるようにその鋭い歯によって、ダートさせてヒラヒラとフォールさせる一般的なジギングで狙えばラインブレイクが多くなり、効率の悪い釣りになってしまう。これは、先述した通りサワラはハマチやブリよりも遊泳力が高い=早く泳げる魚で、急な方向転換ができないため左右へジグがダートすることでバイトミスを起こしていると言うのが原因。
で、ブレードジギングの特長はブレードジグをとにかく早く巻くこと。…もうおわかりですね、真っ直ぐに引くことでバイトミスも起きにくく、かつハマチやブリが追いつけないスピードで巻くことでサワラだけを狙って釣ることができる。さらに言えば、早巻き中にガツーン!とロッドをひったくられるようなバイトがヤミツキになるとも。
これが小野さんの言う、みんながこぞってサワラを狙う理由なんです。
②:タックルは何が必要?
サワラに興味が湧いてきた、それなら一度釣ってみたい。続いて気になるのは…何で釣るのか。
シャウト!のBLJ専用ロッドのラインナップを見てもわかるように、2タックルあれば十分と小野さん。
その使い分けは水深。2~30mまでの水深に対応するタックルと、それ以上の深さ40m~に対応するタックルがあれば良いとのこと。
まず、水深が2~30mであれば使用するジグは重くてもせいぜい40g。そしてそのジグをキャストして広く探ることが必要となるので、7ft前後の硬めのシーバスロッドやエギングロッドがあれば対応可能。一方40m以上の深い水深を釣る時は、ジグのウエイトも60~100g、あるいはそれ以上の重さのジグを使用することもあり抵抗も大きくなる。したがってライトジギング用のロッドなどを使用し、脇にグリップを挟むことで安定して巻けて、かつ早巻きの大きい抵抗を受け止めるべく100gくらいのジグをシャクることができるパワーが必要となる訳です。
逆に自分が釣りに行くエリアの水深が事前にわかっていれば、1本のタックルで十分成立する極々手軽な釣りと言えるとも。
ちなみに小野さん、リールはシマノ5000番台のHGを浅場・深場共通で使用。早巻きであればXGの方が良さそうな気もしますが、その分巻きが重くなり体への負担を考えHGを使用されているんだそう。ラインもPE1.5号にリーダーはフロロの6号を共通で使用。
ロッドだけ2本用意しておけばリールはそれぞれの水深で流用が可能。オフショアの釣りといえば、あれこれたくさんのタックルを揃える必要がある気がしますが…5000番台のHGクラスならショアジギなどでもど真ん中の番手。タックルは少なめで流用もできる=初期投資がかなり押さえられるというのも人気の理由かもしれませんね。
ジグはもちろん「ブレードジグ」。ただし、タックルのようにジグも1つあれば良いのかと言えばそうでもない。
ジグを選ぶキモは“ベイトのサイズにジグのサイズを合わせること”。ベイトであるカタクチイワシの群れに着いたサワラを狙うこの釣りでは、特にベイトサイズに合わせることが重要なんだそう。ただ、潮が早く着底がわからない時やディープエリアを釣る場合はもちろんヘビーなウエイトを使用することもある。
またカラーについては、サワラが釣れる場所=カタクチイワシが湧く場所=プランクトンが豊富な場所=富栄養化によって濁っている…というケースが多い。なので、チャート系やグロー系といったアピールカラーがメイン。他方で日が昇り視認性の良くなったタイミングではナチュラルカラーが効くこともあり、ジグに関してはウエイト(シルエット)別、カラー別にやっぱり数種類持っておくと安心とのこと。
③:サワラの釣り方は?
で、肝心の釣り方について。
よく煙が出るまで早く巻け!なんて言いますが。小野さんによると、それが良いときもあるし、ややゆっくり目に巻く方が食いがいい事もある。高水温の時は活性が高く早巻き、逆に低い時は活性も低くややゆっくり巻き…というのを基準にすれば良いそう。
ここで重要なのは「何故、サワラなのか」でもお伝えしたように、なるべくジグを暴れさせないで真っ直ぐ一直線に引くこと。少しアクションを入れたほうが食ってきた、なんていうケースも過去にはあったそうですが、ジグを安定させ一直線に引いてくることでバイトミスやハマチなどのバイトを避けるという意味でも重要とのこと。
また、早く巻くことに囚われ過ぎるとティップがブレて、結果ジグに不必要にアクションを加えることになる。そのため極力ティップをブレさせないように巻くことを意識した方が良いです、とも。
④:どんな船に乗る?
タックルや釣り方も大事ですが、何気に小野さんが一番大事と言うのが「どんな船に乗ればいいのか」。
自分で魚を探して釣りに行くショアとは違い、ある程度船長任せになってしまうオフショア。たしかにショアで言う“ポイント選び”くらい重要な気がします。
…といえばやや語弊がありますが、一般的なジギングの船は瀬や魚礁など、“何か”に着いている魚を狙うのが基本。一方、BLJは回遊するベイトに着いているサワラを狙うのが基本。つまりそもそも狙っている場所・魚が違い、また船の流し方なども違う。
小野さんいわく発祥の地でもある広島県、またゲームとして定着しつつある東京などのエリアであれば、サワラ狙いの遊漁船が多くわかりやすい。ただ、流行り始めの大阪などのエリアでは、まだまだ遊漁船の数は少ないのが現状。そのため、小型のシーバス船を4~5人の仲間でチャーターして「ブレードジギングでサワラを狙いたい」と船長さんにリクエストするのが◎。また小型の船なら価格も比較的リーズナブルで、仲間同士なら気を使うこともなく心置きなく楽しめるというのもポイントですね。
あとは釣るのみ!
サワラの魅力がわかった。釣るためのタックル、釣り方、船の乗り方もわかった。
後は…そう、サワラを釣るだけ!
今年は暖冬の影響か水温が高く、例年に比べ海中の季節の進行が遅れているという話もあり。また日本海側、舞鶴などのエリアはこれからがハイシーズンとなってくるタイミング。
これまでに40kgを超えるカンパチや、JGFA80ポンドラインクラスで当時の日本記録となる23キロのヒラマサなどの魚を手中にしてきた小野さんが「これはおもしろい!」と太鼓判を押すブレードジギング。この機会に始めてみては、いかがでしょうか。