今江克隆のルアーニュースクラブR「廃盤ルアーの活躍とZONEへのトリガー〜バサーオールスタークラシック2023参戦レポート〜」の巻 第1168回
バサーオールスタークラシック4位入賞
TOP50遠賀川最終戦から連戦となった2023バサーオールスタークラシック(BasserAllstarClassic2023)が閉幕した。
既報されている通り、最終成績は4位入賞。
優勝こそできなかったが、今年TOP50で2日間連続ノーフィッシュとなった鬼門の霞ヶ浦水系で、地元強豪たちが集うオールスターの表彰台に立てたことは、来季への大きな自信となった。
最大の難敵、霞ヶ浦にここで一矢報えた事実は、自分にとって意味のある試合だったと思う。
練習では…
今回のオールスター戦の練習は、昨年以上にTOP50最終戦からの試合間が短く、実質6日間しかできなかった。
この短期間で、各河川流入最上流までを含む霞ヶ浦水系全域、さらに利根川水系全域をチェックすることは物理的に不可能であり、最初から自分のスタイルに合いそうなエリアを絞って、オールスター戦ならではのサプライズのあるキールアーを見つけ出すことに徹した。
絞ったエリアは三ヶ所。
最も経験値が高く、数こそ少ないがバスのサイズがデカい「北浦」、JBトーナメントのリリースエリアであり、バスが最も多い「北利根川」、そして「霞ヶ浦大山会場から近い流入河川の河口近辺」の三エリアだ。
利根川水系は、移動時間のロスと経験値の圧倒的少なさから今回は除外し、霞水系だけで勝負することにした。
これらは、水温が流入河川上流より河口付近が高く、成長した15cmほどの今年生まれのイナッコが水温が一番安定し冷え込みにも備えられる流入河川河口周辺に溜まる状況と仮定しての練習プランだ。
このイナッコパターンには絶対の自信を持つ「ジャバロン140」、さらに「ジャバロン110」の「イナッコ」カラーをメインに使用。
昨年のオールスター戦の影響で「ジャバロン140」は多くのアングラーが霞ヶ浦ですでに使っているので、メインを「ジャバロン110」特注カラーの「イナッコ」にし、タックルも「ロデオライド・ライナースピン」に大口径スピニングリール、フロロ6~8lbという、TOP50最終戦・遠賀川で活躍したパワーフィネス繊細仕様をメインに考えた。
同時に、テナガエビ系のシャロー活動限界ともいえる15~17度にはまだ到達していないので、川絡み、河口付近のハードボトムや太めの杭、沈船など硬モノが絡んだアシも狙いに入れた。
北風が予想されたので、モロにウィンディサイドではなく、ウィンディサイドとカームサイドの境界に当たるアシ、そこに風除けになる縦ストが絡むことを条件にスポットを絞った練習だ。
このエビパターンは、バスがどんなルアーのどんな動きを好むのか分からなかったので、キールアーは現地で絞り込むことにした。
いきなり「ジャバロン110」が!
そして練習初日、北利根川の桟橋絡みの縦ストを「ジャバロン110」のデッドフォール&ボトムドリフト釣法で狙ってみると、あっさりとグッドサイズが釣れてしまった。
そして前半は、昨年の「ジャバロン140」を彷彿させるサプライズな釣れっぷりとなり、これによりイナッコ絡みのややこしい縦ストに「ジャバロン110」のノーシンカーは鉄板の軸となった。
ただ、オールスター戦メンバーだけに同種の狙い方を練習期間中に同じような場所でやってくることは十分考えられるため、本番が近づくにつれ「ジャバロン」が効きにくくなる可能性も感じていた。
バサーオールスタークラシックは、優勝のみに照準を絞った試合なので、バックアップパターンではなく、新たにサプライズな釣り方を模索することに中盤からは注力した。
「ジンクスミニ」以外の選択肢
そして練習中盤、秋の定番である巻きモノを徹底的に試している中で「ジンクスミニ・シェルブレード」で、ちょっと意表を突いた使い方をした時に突然キーパーが表層直下で喰ってきた。
「コレかっ!」と思ったが、その後、延々続けるも再現ができない。
やはりバスがスピナーベイトは見慣れてからだと感じたが、しかしその特徴的な喰い方とアプローチ、喰ってきた場所の類似スポットが多いことが気になり、「ジンクスミニ」以外でそれ以上の効果を発揮できるルアーがないかをストレージを漁りマクっては、次々と試していった。
その際に、ものすごく気にして探した条件が「スピナーベイトのような巻き感と抵抗感」があり、なおかつスピナーベイトより「アプローチ精度を究極にタイト」にできるモノだった。
スモラバ、アンクルゴビーシャッドテール、そして…
最初に試したのはスモラバ3.5g~5g&「アンクルゴビーシャッドテール3インチ」。
だが、全然パワーがものたりない。
そこで「アンクルゴビーシャッドテール3.5インチ」にすると、少しパワーがでた。
さらに幻の?「アンクルゴビーシャッドテール4インチ」にすると、がぜんパワーがよい感じにあがったが、スモラバの小さく細いフックに4インチがデカすぎてアンバランスでNG。
そこでシンプルにテキサスリグにしてみたら、ラバーがないので4インチでも巻き感スカスカ、スイミング速度が速すぎた。
さらにはアシに当たるとシンカーとワームがすぐに曲がってしまいブサイクでNG。
次にジカリグにするが、これもラバーがないと巻き抵抗感、水押しパワーが出ない。
そこでエバーグリーンから急遽、福島健プロが遠賀川で驚異的トップウェイトをだしたラバー付きジカリグ「スタビル」を送ってもらった。
これに4インチの「アンクルゴビーシャッドテール」を3.5インチに寸詰めして試したところ、「ジンクスミニ」と同様の釣り方でキッカーが表層直下モンドリングで喰ってきた。
「コレかっ!!」と思ったが、まだ巻き感、水押し感がスピナーベイトのそれに比べると圧倒的にものたりない…。
そこで、たまたま家を出る時に、在庫ルアーの引き出しの中で偶然目にとまった、すでに廃盤のオールドワーム「ブシドー4インチ」をワンパックだけバッグの中に入れていたことを思い出した。
今思えば、よくまあ偶然目について持ってきていたものである。
「ブシドー4インチ」は10年以上前、当時「パカクロー」がアメリカで流行した折に作ったバタフラ系のワームで、すでに廃盤となり社内在庫も一切ないワームだ。
コレを「スタビル」3.5gにセットし、投げて巻いた瞬間、「キターッ!!コレ、マジヤベーッ!!」と船上で叫んでいた。
その後の展開は、同船し一部始終を見ていた河野正彦プロが、「コレはすごい!十分優勝もありますね」と唸るほど、ビッグフィッシュとリミットメイクを同時に期待できるほど力のあるパワースイミングメソッドだった。
勝負ルアー
自分が求めていたのは、スピナーベイト並みの集魚力と展開の速さを持ち、同時にスピナーベイト以上のタイトなスナッグレス性能をもち、表層直下をできるだけ「ためを効かせて」ゆっくり泳がせられる「パワースロースイムジグ」だった。
今ではドン引きするような「ブシドー4インチ」の「エッジの効いたツメのデカさと縦板」こそが、これを実現できる鍵だった。
勝負ルアーは決まった。
ともに10年以上前の廃盤ルアー、「ジャバロン110」のデッドフォール&ドリフトと「ブシドー4インチ」と「スタビル」のスイムジグ。
その後、船上からスタッフに電話しまくって、廃盤の「ブシドー4インチ」と「ブシドー3インチ」を、なんとか試合までにかき集めてもらった。
意外だったのは、霞ヶ浦のプロスタッフの多くが自宅に大量に在庫を持っており、難なく「ブシドー」のベストカラーと3インチ&4インチ両サイズを手に入れることができたことだ。
みんなが口をそろえて「コレ、復活させてほしかったんですよ!」と、今さらのようにいっていたのが印象的だった。
バサーオールスタークラシック、2日間の戦い