【ベイトタックルのグリップ考】そのキャストが決まらないのはグリップが原因かも?
先日「大人の夏休み」と称し、INX.lableオフシャルスタッフの“知久さん”と二人旅へ。
ベイトタックルでのライトソルトゲームが普及してきておりますが、「キャストってみんなどうしているのだろうか」…というような内容になったんですね。キャスト技術には“グリップが重要”だったりするのですが、その知久さんの解説が実にロジカルで合点がいったんですよ。
それ、そのまま記事にしたらおもしろいんじゃない?というわけで、今回は知久さんにその辺りの話をしてもらおうかなと。たまにはこういうのも良いですよね。
レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
ベイトタックルのグリップ考
読者の皆さん初めまして。INX.lableオフシャルスタッフの知久と申します。
今回、代表のレオンより執筆依頼がありましたので、僭越ながら担当させて頂きます。よろしくお願いいたします。
知久 正二三(Masafumi Chikyu) プロフィール
さて、近年ますます盛り上がりを見せるベイトタックルによるライトソルトゲームですが、入門者のハードルとなるのがまず“キャスト技術”だと思います。
中でも皆さんも真っ先に思いつくのがバックラッシュだと思いますが、それを抜きにしても、ベイトキャストって真っ直ぐ飛ばせない、キャスト動作がしっくりこないなどと感じたことはないですか?キャスト動画や写真を見て真似ようとしても、どうしてもキャストがギクシャクしませんか?
これまで話題に上がることがほとんどなかったのですが、実はこれはベイトタックルのグリップが大きく関係しています。ということで、今回はキャスト技術にとても重要な「グリップの問題」についてお話しします。
ベイトリール/パーミングの在り方
まず、ベイトロッドにリールをつけずスピニングロッドのように軽く握ってください。
この状態で手首をブラブラ振ると、どの方向にもスムースに動きオーバーヘッドキャストの動作もスピニング同様にできるはずです。
次に、親指を開いた状態で手首をブラブラ振ると、動かしにくくなることがわかりますか?
これではオーバーヘッドキャストの動作も、スピニングと同じ方向への振り上げが難しくなります。
ベイトキャストでは親指でスプールを押さえるため、ロッドは4本の指と手のひらでグリップしなければなりません。上から被せる親指が使えないと、すっぽ抜けないようにどうしても4本の指に力が入ってしまいますし、力が入るほど手首の動きを制限してしまいます。仮に親指を閉じた状態であってもしっかり握りこんで指に力を入れると、とたんに手首が動かしにくくなります。
野球でもゴルフでも構えからスイングの最中には強くグリッピングしません。グッと握り込むのはインパクトの瞬間だけです。キャストの基本も似たところがあり、特に軽いものを投げる時ほど手首が柔軟に動く必要があります。
手首の動きが制限されると、ロッドを真っ直ぐ振ったつもりでも軌道が曲がってしまい、意図しない方向にルアーが飛んでいきます。またギクシャクしたタイミングの悪いスイングはバックラッシュの大きな原因にもなります。つまり、グリッピングはギュッと握らない方がロッドを振りやすくなり、方向精度も距離も格段に良くなるのです。
ではパーミングする指をリラックスさせ、かつしっかりとスイングするためにはどうすれば良いのでしょうか?
グリップはワンフィンガー?ツーフィンガー?
ベイトキャストでよく話題になるのが、ワンフィンガー(トリガーに人差し指がかかる状態)が良いのか、ツーフィンガー(トリガーに中指がかかる状態)良いのか…です。ここまでの説明で想像できるかもしれませんが、どちらでも自分がリラックスしてグリップできる方を選んでください。どちらが良いかは人によって違うのです。
私は手のひらの部分にシリコンゴムが貼り付けられた薄手のグローブを着用しています。滑りにくくなると、指が格段に楽になるのは想像できると思います。人によっては本当に劇的に改善するので、ベイトタックルを握りにくいと感じている方はぜひ試してください。手のひらが小さい人、指が短い人には特におすすめです。
どんな形状のグリップが向いているのか?
現代では軽量化のためにグリップ部分を大幅に肉抜きし、トリガーも比較的に浅い角度で小さくしたロッドや、“トリガーレス”のロッドなどもあります。しかし、これらは元来バスフィッシングでのブッシュ打ちなど、ボート上から比較的短い距離をピッチングキャストやフリッピングキャストでハイピッチに打ち続けるためのひとつの工夫であり、基本的にフルキャスト(遠投)がデフォルトであるソルトショアゲームには向いていないと言えるでしょう。
確かに軽量化やシンプルさそのものにはアドバンテージも魅力もありますが、パーミングの安定度が低い分、何より我々「極軽リグの遠投がデフォルト」であるアングラーには不向きなスタイルだと言っても過言では無いはずです。
オールドスタイルでもありますが、片手でゆるく握ってキャストしてもしっかり振れて、かつすっぽ抜けしないようにトリガーも長め。まさしく銃の引き金のように“アール”が付けてあり、グリップエンドも銃床のような形状になっています。そしてこれも、基本的にはボートゲームや狭い渓流などタイトなシチュエーション下での“ショートキャスト”が命題の作られ方であるはずです。
基本的に中距離から遠距離キャストに主眼を置いた、ダブルハンド及びセミダブルハンドの代表的な形状であり、トリガーの角度や長さも長い歴史の中で磨き抜かれ必然的に結論づけられた形状と言えます。
釣りは非常にパーソナルな趣味であり、個々人において様々なやり方や考え方がありますが、それでも少なくとも広い海へ向かってフルスイングでキャストする事がデフォルトである我々ソルトアングラーにとって、この形状こそが必然であると私たちは考えています。さらには、「極軽リグをバックラッシュさせずに遠くへ飛ばす」という、ジャンル的にも最も難関である問題を解決し実現させるためにも、これは欠かせない要素であると考えているのです。
ダブルハンドで投げる
これは判りやすいですよね。両手を使えば、指から力を抜いてもスッポ抜ける心配がありません。しかしダブルハンドで投げても指から力が抜けていなければ意味がありません。意識的に指をリラックスさせる事が大事です。
また、ダブルハンドは注意しないと、逆に腕の動きが制限されてしまいます。最初からグリップエンドを掴んでいると肘が上がらないなどがその例になります。※動画参照
インクスのベイトロッドは基本的にダブル、またはセミダブルハンドルのロッドになっていますので、ショートロッドでもダブルハンドで投げられます。テニスのラケットや野球のバットなど多くのスポーツで手首は柔軟に動かす必要があり、そのために脱力は基本的な技術ですし、グリップが滑らないように色々工夫されています。スポーツの世界では当たり前のことなんですよね。
ベイトキャストの上達ために色々試しても上手くいかなくて悩んでいる方は、騙されたと思って一度試してみてはいかがでしょうか。
関連動画
仕事が完全OFFな三日間は一体何年ぶりだろう?
だってね、釣りに行くとどうしても仕事しちゃうからねwしかし、やる事無いから連日ジムに行ったあげくあちこち筋肉張ってしまってマッサージ受けなきゃならん状態って、これどうよwww… pic.twitter.com/CavkC87nSv
— 加来 匠™️ (@MEBALEON) August 15, 2023