今江克隆のルアーニュースクラブR「極めて個性的!大注目NEWスピニングロッド3モデルの特徴とポテンシャルを紹介」の巻 第1157回
猛烈な暑さが続く今週は、2023年にエバーグリーンよりリリースされた、まもなくリリースされる予定の明確な個性を持ったスピニングロッド3機種について情報開示しよう。
基本的に「カレイド」シリーズでは、ベイト機種に比べ、スピニング機種のリリースが極めて少ない。
先代の「セルペンティ」シリーズが出てからかなりの年月が経つが、珍しく2023年は3機種のリリースが予定されている。
少しその裏事情を話すと、やはりコロナ禍によるロッドパーツ(特にガイド)の生産や納品の遅れによって、実は2021年に主力としてTOP50で実戦テスト使用していたモノが2年近く遅れてリリースになるというのが、実際のところだ。
海外受注分も含め圧倒的な本数を必要とするベイトロッド主力機種がどうしても納期優先され、すでに完成域に至っていてもスピニングロッドの生産は遅れがちになる。
そんな特殊状況の中で、23年春にようやく今江的バーサタイルフィネスの守護神的存在である「デルジェス63L-ZZ」がリリース完了。
続いて、何気に最もリクエストの多かった通称ネズミ竿こと「ビースティンガーEXTREME(エクストリーム)64ML」が8月、ついにリリースが決定。
そして今江的に、現在、ベイトフィネスに勝る実戦戦力として使用頻度露出頻度も極めて高い、いわゆる「吊るし竿」こと「スパイダースピン611MH」の晩秋リリースがほぼ確実になった。
今回は、どれをとっても極めて個性的なスピニング3機種の特徴とポテンシャルを解説しよう。
デルジェス63L
まず、すでに今春リリースになった「デルジェス」だが、このロッドは、超高感度を実現する「ジグザグガイド」をエバーグリーンとして初搭載したサイト~ダウンショットなど、3.5g以下のフィネスリグを専門に扱うための軽量級スピニングロッドだ。
感度に関しては、ガイドの接触率を高め、同時にラインのバタつきを収束する効果で機械測定でも明らかな伝達感度差を記録している。
ボトムの感じやすさという初歩的な性能がとても高く、ライトリグを苦手な人が落ち着いてじっくり操作できる点が、このロッドの最大のウリである。
すでに特設ページもあるので詳細は割愛するが、スパイラルガイドに匹敵するほどの歴史的常識を超えたガイドセッティングだけに、「飛距離が落ちる」のではないか?という疑問をよく耳にする。
だが、実際に3年以上使ってみて、その差を感じたことは一度もなく、実際にノーマルガイドセッティングにした同ブランクスで投げ比べてみても、晴天雨天問わず全く差は出ない。
むしろ0.4号以下のPEラインでは、放出時のガイド間バタつきの収束がノーマルガイドより速いためか、飛距離は逆に伸びる傾向があり、感度的にも極めて敏感になる。
ガイドに絡みそうにも思うのだが、極小アンチラップガイドのためか、それもほとんど不便を感じたことはない。
この「デルジェス」の難点はG-nius青木哲氏がハンドメイド製作した名竿「インクレディブルセンサー」を自分が使うためにエバーグリーン強度耐久性規格でリビルドしたモノであり、あえて青木哲監修のもとG-nius指定工場で作成されている。
そのため量産に時間がかかるうえ、供給量も少ないため、従来の「カレイド」シリーズのような定期リーピート出荷が期待できない限定生産に近い特殊モデルだという点だ。
エバーグリーン製品だけにアフター保証に心配はないが、店頭在庫があるうちの入手をオススメします。
ビースティンガーエクストリーム64ML
次に、ここ数年、自分的には「ネズミ竿」、「バゼル竿」と呼んで水面系ルアーやカバー際のアグレッシブな操作系パワーフィネススピンとして非常に多用してきたのが、先代「ビースティンガー64L」の正統後継機種「ビースティンガーEXTREME(エクストリーム)」である。
極めて汎用性の高い基本性能を極めたようなミディアムファーストアクション、64のスピニングだ。
先代「ビースティンガー」が、PEラインの使用を考慮していなかったため、0.8~1.2号PEによる40cmUPのブッコ抜きや、カバー際でのかなり荒っぽい駆け引きにも耐えられるように、ブランクス素材を従来の中弾性&高弾性外装補強の構造から、ティップからバットまでフルに「T1100Gナノアロイ」化したのが「EXTREME」たる所以だ。
さらに人差し指に力を入れられる独特のパワーワインディングチェック&グリップ形状で、高速トゥイッチでネズミ系や「(アベンタクローラー)バゼル」をハイスピードで操作し、カウンターで鋭く乗せてしまうフッキング性能にずば抜けた性能を持っている。
陸上で触ると高弾性っぽく硬いのに、使ってみると妙に柔らかく、なのに掛けてみると不思議なぐらい掛かってくれるという「フルT1100G」ブランクス独特の「妙味」を体感できるスピニングロッドだ。
このロッドは、ある意味、恐ろしく普通にあるアクション、昔からある普通な使い心地、いろんなスピ二ング系ルアーに広く潰しが効く汎用ロッドで、「普通っぽいがタフで丈夫で便利さは普通じゃない竿」という印象を自分は持っている。
あと、何を投げてもめちゃよく飛ぶ竿だ。
なので、専門性が低いロケや、状況が分からない湖での取材等では、これ一本でネズミ系、「バゼル」、シャッドプラグからパワーフィネスのサイトフィッシング、普通のイモ系から「スキップドック」など、重めのイモ、9~12インチの細ワームでのネコリグやダウンショットリグ、3〜4インチシャッドワームのミドスト、ホバストまでをカバーできるため、出撃頻度が極めて高くなる。
今どきでは珍しい5~6lbクラスのフロロラインをスピニングで使えるように、ガイド数、大きさのセッティングも今風マイクロではなく、昔ながらの「普通の究極」に仕上げてあるのも特徴かもしれない。
今江的な実績では、霞ヶ浦水系やオカッパリには非常に便利する、普通じゃない普通のスピニング、L感覚なのに実はオーバーMのパワー、それが新型「ビースティンガー64ML」という印象だ。
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