今江克隆のルアーニュースクラブR「早春の絶対定番!今江的推しシャッドと使い方を紹介」の巻 第1088回
一雨ごとに暖かさを感じることができるようになると、春間近。
今週は、2月下旬から3月中旬にかけて最大の威力を発揮する、この時期の絶対定番「シャッド系プラグ」の状況に応じた使い分けや特徴を活かした釣り方を紹介しよう。
早春の推しシャッド!
もう今さら早春のサスペンドシャッドの有効性は周知の事実だが、近年は各メーカーからあらゆるシャッドルアーが発売されており、選択に迷ってしまうこともあると思う。
シャッドルアーは自分的に「元祖シャッド使い」と胸を張れるぐらい、稀代のシャッドの傑作「スーパースレッジ」を筆頭に、多くのシャッドルアーを開発し、結果を残してきた。
驚異的なトーナメント実績を残した「スーパースレッジ」の誕生からすでに25年近くたつが、まず今江的早春の絶対定番は今もなお「スーパースレッジ(以下:スースレ)」&「ジレンマ」である。
「スーパースレッジ」は、今さら説明するまでもないが、イマカツとして開発した「ジレンマ」は、「スースレ」が偉大過ぎるがゆえに影が薄いが、近年その特徴が理解されてきたようで、2022年1月にマイナーチェンジを経て、再販が開始されている。
「スースレ」と「ジレンマ」の使い分け
極めて簡単に「スースレ」シリーズと「ジレンマ」シリーズの使い分けを説明すると、「飛距離」と「簡便性」である。
キレキレのランダムダートを得意とする「スースレ」は、現在その特徴を活かしてキャロシャッドとして今も販売されているが、「ジレンマ」は「スースレ」より逆風時の飛距離が伸び、直進性とダートのバランスで「スースレ」を進化させたモノと考えてほしい。
そして今回のマイナーチェンジでは、その特徴をさらに明確にするため、ソフトタングステンボールからピュアタングステンに変更し、さらに飛距離を向上させている。
同時にフックをワンサイズアップし、BKK製「スーパースライダー」を標準装備することで低重心化、速巻きでの直進性とバラしにくさをアップデートしている。
「スースレ」がキャロでのダート特化に対し、「ジレンマ」はダート性能を維持しつつ、近年の「巻きシャッド」に応じた汎用性を向上させている。
巻きシャッドが効くワケ
近年のフィールド状況傾向として、集魚力を発揮しつつ、無警戒のベイトを演出できる「巻きシャッド」の需要は高い。
個人的な見解だが「巻きシャッド」の威力が近年顕著になった理由は、ジャークしないことによりラインの水切り音がなくなることが大きな要因になっている気がする。
これは固定式低重心のため、直進性が非常に優れる「ワスプ55(ISワスプ55)」が、TOPプロの間でも超高速直進巻き&キルで使うサイト用として今も高く評価されていることでも推測できる事実だ。
「ワスプ」のずば抜けた直進性が、ラインの存在を消し、派手過ぎない細やかな振動が見えバスを怯えさせないのだと思う。
それゆえに「巻きシャッド」では、ルアー自体が発する波動の種類は非常に重要で、その波動をバスが好むか嫌がるかで反応がガラッと変わることが多い。
特に春先の神経質なバスや、連日ハイプレッシャーなレイクのバスは、クランクベイトのような強い波動を敬遠することが多い。
ゆえに日本ではドマッディの霞水系でもクランクよりあきらかにシャッドに軍配が上がるのだろう。
正解の波動は?
残念ながら、この波動には常に大正解はない。
ゆえに実績から判断できる数種の波動違いのルアーを試すことが重要になる。
今江的にはシャッドは「確実に釣るためのプラグ」なので、過去の試合経験から体感的に覚えている「バスに怖さを与えない振動」を、シャッドルアーの開発の基本としている。
その筆頭が「ゲキアサシャッド」、「IxIシャッド」の独特のやや弱めで視覚的変化を伴う振動だ。
「ゲキアサシャッド」と「IxIシャッド」の違いは、「ゲキアサシャッド」が「やや強め」、「IxIシャッド」は「ゲキアサシャッド」より「やや弱め」を狙っている。
これはプレッシャーを避けるためオカッパリから広範囲でのサーチを兼ねる「ゲキアサシャッド」と、試合中、ココ一番の絞り込んだスポットに最低キャスト数で通して一撃必殺を獲る「IxIシャッド」の開発背景の違いからきている。
カリッとした引き感の「ゲキアサシャッド」は、初心者でも分かりやすく明確、少しヌルッとした滑らかさを感じる「IxI」は、プレッシャーに強く、先行者がスポットを流した後でも釣れることを目的にして開発している。
シャッドに必要な能力
そして、ともに共通する能力は「逆風下での飛距離と真っすぐ飛ぶ能力」だ。
これは形状的に風に弱いシャッドにおける究極のアドバンテージであり、特に「IxIシャッド」3兄弟(TYPE-3、TYPE-R、TX)に関しては間違いなくズバ抜けた飛行能力がある。
実はそれが、振動以上に明確な差として現れる最強の実戦力だといってもいいかもしれない。
現在、「IxI」シリーズの次機種として「IxIシャッドType-R」より潜行深度が浅く、シルエットは細身で小さいのに、喰い上げさせる「強さ」を狙った「IXI-Furious(フューリアス)」が、かなり良い線まで開発が進んでいる。
細身ながらパンチの効いた集魚力を発揮させるため、尾部に強力なハイドロダイナミクスを発生させるコブのような部分を持たせた独創的な異形シャッドである。
細身にするため「IxI」のウリでもあったマイクロLBO重心移動を潔く排除、後方のコブ状の膨らみで飛びと飛行姿勢を制御する徹底的に計算された形状になっている。
水深50〜70㎝の喰い上げで勝負するためには、着水直後の動きだしが極めて重要なため、独特の固定重心式にコダワった仕様である。
この独特の形は、細身の小魚にも見えるが、同時に水面直下を泳ぐ「テナガエビ」のシルエットも模している。
完成はまだ先だが、久々にルアーらしいルアーになりそうで楽しみである。
早春〜春のシャッド攻めの要点とは???