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今江克隆のルアーニュースクラブR「残念なご報告と新プロジェクト始動!」の巻 第1082回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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ルアーニュースクラブRの読者のみなさま、あけましておめでとうございます。

本年もルアーニュースRともども、「今江克隆のルアーニュースクラブR」をよろしくお願い申しあげます。

さて、コロナ過に揺れた2021年も終わり、気持ち新たに期待に溢れる2022年が始まったが、今週は年始早々、とても残念極まりないご報告と、同時に新しい時代へのプロジェクトの始まりをご報告したいと思います。

すでに年末には様々な情報が交錯していましたが、「ピュア・フィッシング」との契約期間の関係上、ABUファンの皆様にご報告がかなり遅れたことをお詫び申し上げます。

ピュア・フィッシングとプロ契約終了!

ことの起こりは2021年11月6日、TOP50最終戦弥栄湖を5位入賞で終え年間3位を獲得した翌々日、自宅に到着したピュア・フィッシング・ジャパンから一通の封書だった……。

中には印刷された一枚の紙が入っており、そこにはわずか5行で「今期2021年12月31日の契約満了にともない、ピュア・フィッシングと今江克隆様とのプロ契約を終了する事を通知いたします。」と書かれていた……。

2021年11月6日、TOP50最終戦を終えて弥栄ダムから帰宅した自宅に届いていたのは、ピュア・フィッシングからの「契約解除」の通知書だった

そしてクリスマス前、ピュア・フィッシング・ジャパンのホームページにJB/NBCの協賛終了のお知らせが公示された。

これにともない、JB/NBCトーナメントでのピュア・フィッシング製品、AbuGarcia製品、バークレイ製品のロゴ露出が禁止され、Fマーク商品も2021年年末にて出荷停止となることが明記されていた。

JB/NBC協会本部にすぐに問い合わせたが、これによって2022年以降、JB/NBCのトーナメントでABUのリールを使用する際には、「PURE FISHING(ルアー及びその他タックルも含む)」、及び「AbuGarcia」のロゴマークをテーピングで隠すか、削る、塗る等の露出禁止処置しなければ使用できないことになった……。

ピュア・フィッシング本社から当時の総裁トム・ベデル氏の直筆入りで送られた貢献感謝状。日本人でこの証書を頂いたのは自分が最初で最後だろう

ことの起こりは、もうかなり以前の話になるが、ピュア・フィッシング創設者であり総裁で、旧知の仲であり、米国の自宅に滞在したこともあるトム・ベデル氏が高齢のため引退し、ピュアフィッシングを大手投資会社(NEWELL)に売却した頃から経営体制に変化が起こり始めた。

ABUのスウェーデン本社にて、通訳ナシで行った開発会議は、今も記憶に鮮明に残っている。この会議で「レボ・オーロラ」が誕生した

根っからのバスアングラー経営者だったトムの時代とは違い、経営トップが投資関連会社に移行したピュア・フィッシングの経営体制は徐々に変遷していく。

旧OTG、ピュア・フィッシングの創設者であり、オーナーだったトム・ベデル氏との想い出は数え切れないほど多い。日本のバスプロをリスペクトしてくれ、日本のバスフィッシング市場に多大な影響と貢献を残した恩人である。「フェンウィック」、「FLWツアー」の創設にも深く関わった人物でもある。氏の引退が日本のバス業界に落とした影は想像以上だ

その後、2018年12月にピュア・フィッシングは再びM&Aを受け、現在は、米国投資会社「シカモアパートナーズ」に売却された。

この頃から、日本のバスフィッシング市場の縮小傾向も影響し、ピュア・フィッシングはグローバルスタンダード戦略と銘打って、安価で入手しやすい世界共通スペックのリール開発へと方針転換していく。

ただ、その中でもピュア・フィッシング・ジャパンは、日本のバスマーケットの世界的に珍しい専門性、特殊性から、「LTZ」や「レボMGEXTREME」等、ジャパンスペシャルを四苦八苦しながらも日本独自開発してくれたことには、今も深く感謝している。

ABU最後の今江克隆シグネチャーとなった「LX992RS/REVIVE」。2022年TOP50では「ABU」のロゴは消さなければならないが、今江的ベイトフィネスの絶対的主戦力、専用機として必要不可欠な存在である。もはやパーツの供給すらしてもらえないが、潰れるまでは使い続ける

そして世界を未曾有のコロナ過が襲った2020年、大きな変化が起こった。

それはコロナ不況ではなく、コロナによる未曾有のアウトドア・ブームだ。

コロナ禍によって野外の安全なレジャーとして欧米では未曾有のアウトドアブームが起こり、ピュア・フィッシングも2020年には過去最大級の記録的好景気となった。

しかし、これは残念ながらアジア圏、特に米国製品の輸入に頼るピュア・フィッシング・ジャパンにとっては追い風ではなく大きな逆風となる。

ただでさえ厳しさを増し弱小化する日本のバスマーケットは、コロナバブルに沸く欧米市場に比べ、日本のバスフィッシング市場スケールの小ささが一段と際立ってきていた。

特に世界スタンダード製品の大量生産大量販売を目指すピュア・フィッシング本社にしてみれば、異常に精密で面倒くさく、コストも破格に掛かるのに生産オーダー数は少ない、日本のバスフィッシング向けジャパンスペシャルは、当然のように生産が後回しにされるのは仕方のないことだったのだろう。

コロナ過におけるピュア・フィッシング・ジャパン・スタッフの苦悩は、長年の付き合いから身に染みて理解できるものだった。

そして2021年、社長が交代となり、経営方針転換を図ることになったと聞いている。

正式な契約解除通知が来る直前に、その方針転換は担当社員から事前に少し聞いており、その際に自分は契約金ゼロ、リールの無償提供無しでもかまわないので、ABUに残らせてほしいと訴えていたが、協議の場を持つこともなく、モニターとしての残留すら拒否され、契約解除に至った。

どの道、ピュア・フィッシングがJB/NBC協賛「全面」撤退を決めた以上、自分がABUに無条件モニターとして残ったとしても、プロモーションできる場もないのでは、同じことだったのではあるが……。

今の正直な気持ちは、スポンサーとして35年ものABUとの付き合いを一方的に絶たれたことの悔しさもあるが、「ABU FOR LIFE(一生アブガルシア)」を標榜し、40年以上、ABU一筋にバスライフを歩んできた自分が、奇しくも100周年を今年迎えた「AbuGarcia」をJBトーナメントで使えなくなったこと、ABUの魅力を伝える機会を失ったショックは、とてつもなく大きい。

今江克隆のルアーニュースクラブR「ABU創業100周年!ABUと私、今江克隆のABU FOR LIFE」の巻 第1042回

35年にも及んだABUとの繋がりは、単に仕事上の契約だけではない。最新は最善かもしれない。だが、日本特有のバスフィッシングの歴史と伝統、経験と実績を軽んじて未来は決して成り立たない

自分にもはやプロとしての実力、商品の販促売上げ実績、信頼、そしてABUとの歴史が「数字的」にもあきらかになくなったと自他ともに思われているなら諦めもつくが、TOP50ランキングTOP3に返り咲いた翌々日、協議の場すら持たない問答無用の通知には返す言葉を失ったとしかいいようがない。

だが、これもコロナ過、そして欧米特有のドライな外資系企業ならではといえば、それまでなのだろう。

JB/NBC協賛終了、そして長年様々な形で貢献したサポートプロとの契約終了……ピュア・フィッシング・ジャパンが、日本のバスフィッシングマーケットの中で、これからどう成長するのか、はたまた衰退していくのか、その結果は同じ「経営者」としての視点から見れば非常に興味深いところである。

また、結果次第では逆に外資系企業だけに、今後のまた再び大きな方針転換も起こりえるのかもしれない。

「5600c赤ベロ」、自分のバスアングラーとしての最後の夢は、現代技術を持つスウェーデン製の丸型赤ベロを復活させ、トーナメント 引退後のバスフィッシングの余生を楽しむつもりだったのだが……今はそのチャンスが再び来ることを信じ、ガマン強く待とうと思う

2022年、ベイトリールに関しては……

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