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【冬エギング】ヤマシタ川上英佑の「真冬のアオリイカの釣り方」

寄稿:川上 英佑
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サイトフィッシングや中型の数釣り。様々なシチュエーションで楽しめるエギングの盛期である秋を過ぎると、気温、水温の低下に伴いアオリイカの反応も一気に渋くなる冬。

私がエギングを始めた20年程前、当時エギングは12月にはオフシーズンを迎えると言われていました。しかし現在では冬でもフィールドへ出るアングラーも増え、商品や技術も向上し、厳しい時期ではあるものの、関東以南の太平洋沿岸や関西以西の日本海側では通年アオリイカが狙える状況になりつつあります。

冬季のエギングでも釣れる条件や狙いどころを押さえておくことで、釣果の確率が高まります。技術だけでなく、アオリイカの行動や生態を知ると、厳しい時期でも自ずとアプローチの条件が見えてきます。

今回は冬季の少ないチャンスをモノにするための条件と、狙うべきタイミングをご紹介いたします。

川上 英佑(KAWAKAMI EISUKE) プロフィール

ショアをメインにオフショアからのエギングにも精通するYAMASHITAエギングマイスター。 エギング歴は20年に及ぶ。エギングが認知されてまだ間もない頃からYAMASHITAのプロスタッフとして活動、その活動範囲は国内外問わず幅広く、東南アジアからオセアニア、ヨーロッパ、南アメリカと世界中に及ぶ。また世界各国でエギングを行い、またエギングセミナーを開催。ロジカルなセミナーは海外でも人気が高い。

 

冬季のアオリイカを狙う条件

冬エギング攻略のために必要な条件は、優先したい順に挙げると、水温、水深、時間帯の3つ。

全て条件が揃えば理想的ですが、釣行できる日がベストな条件になる事はまず少ないので、なるべく1つでも条件が多く揃うようにプランを組んでいます。

 

①:水温

アオリイカの生息限界の水温は13~14℃と言われています。一般的に沿岸の水温が14℃以下になると、アオリイカは深場へ移動し、摂餌のために浅場で滞在する時間は少なくなります。ですが、過去の経験の中で、13℃の水温でも釣果を得られた経験もあるため、完全に死滅してしまうというわけでもなく、移動する個体が多く、ただ摂餌行動を行うには厳しい条件であると捉えています。

当然のことながら、水温は高い方が釣果の確率は高いため、この時期釣行する際は、気象庁や海上保安庁、水産技術センターの海水温の観測ブイの情報を毎日チェックしています。その際に水温変化の推移に着目することが非常に重要です。

 

私の住む関東エリアは冬季は水温が13度台まで落ち込む日もありますが、黒潮の流路により、水温が上昇するタイミングがあります。冬季でも水温が15~16℃台まで上がり、その水温で安定した状態が2~3日続くとチャンスが高まります。

そして、釣行する際には水温計を携行することをオススメします。インターネット上の水温は広範囲にわたって表示されているため、実際の釣り場とは微妙に差異があります。例えば海岸で泳いでいて、同じ湾内なのに海水が温かい場所と冷たく感じる場所があったりしますよね。同じ湾内でも潮流の流路、水深によって水温は微妙に異なります。

つまり同じ海域でも地形や水深、川の流れ込みなどがあれば、水温もネットの情報との差が発生するのです。そのため温度計を常備しておき、水温を測ってそのエリアでも水温の高いポイントで粘る事がアオリイカへの近道となります。この冬季のエギングでは1℃が明暗を分けることも少なくないため、水温の推移は細かくチェックしています。

 

②:水深

冬季のエギングでは、水深も重要になってきます。水深があるポイントは、潮の太い流れが生まれやすい事と水温が安定しやすいという利点が挙げられます。

水深があれば底層、中層、表層という狙い所の選択肢が増え、冬季でも回遊してくる泳層はボトム付近とは限らず、潮が動いて強い流れを感じるゾーンであれば中層、表層でも当たってくる事があります。狙う層にも選択肢が増え、強い流れも出やすいことから、なるべく冬季は水深のあるエリアを選びたいですね。

 

③:時間帯

冬季のエギングでアタリが集中するのは朝・夕マヅメと夜間

水温が比較的高いエリアであれば、日中でも回遊が見込めますが、光量の少ない時間帯の方がアオリイカが浅場に差す確率も高くなります。特に冬季は潮も澄んでいる日が多いため、光量の落ちる夜間、マヅメ時の方がアオリイカも外敵から見つかりにくく、摂餌もしやすいと考えられます。

その光量変化や夜間のタイミングに潮が動けば、さらに期待が持てます。アクションさせた際に腕に伝わるエギの重さに変化を感じるような時。今までよりも急に抵抗が大きくなった、エギが重くなったと感じる場所は太い流や潮が動き始めたというサイン。逆に重さが無くなったときはチャンスが薄くなったサインでもあるので休憩したり移動するのもひとつです。

 

さらに現場の情報収集が出来ればさらに確率は高まる

冬エギング攻略として、釣行する際の条件を挙げさせて頂きましたが、これらに加えて現場での情報収集ができれば、真冬の難易度の高いエギングも釣果の確率が上がります。

釣り場の近くの釣り公園や堤防のサビキやカゴ釣りの釣果を調べてベイトの種類と有無を確認したり、天敵となる青物等の回遊を調べたりと、場所やタイミングに加えて現場の情報収集を揃える事で、シビアな冬エギングで釣果をモノにする確率は少しずつ上がっていきます。

 

いくつの条件が重ねられるか、自身でそのカケラをひとつひとつ揃えられるように思案するのも釣りの楽しみの1つ。厳しい時期に思案を巡らせ、あれこれとトライする事は、その後訪れる春、秋のエギングにも大いに活きてきます。釣行前から条件を予測したり、情報収集した上で得られた釣果は、ハイシーズンの数倍も価値があるものです。

難しい冬季のエギングですが、価値ある1パイを獲るためのプロセスも是非楽しんでくださいね。

ヤマシタ

「ヤマシタ(YAMASHITA)」は、神奈川県横浜市の老舗釣具漁具メーカー「ヤマリア」のエギング、イカ釣り、タイラバ、タコ釣りなど、海釣り用品に特化したブランド。特にエギングへの造詣は深く、エギのスタンダートである「エギ王」シリーズや、「ケイムラ」カラー、「490グロー」カラーなどを送り出し、最新のテクノロジーでエギングの世界を変え続けている。
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