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NEWソルティーステージプロトタイプ! いよいよ出荷始まる! ㊙情報・開発ストーリー・裏話も全て公開

連載:トモ清水「ガッ釣りソルト」
寄稿:トモ清水
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連載「トモ清水のガッ釣りソルト」第151回

『NEWソルティーステージプロトタイプ! いよいよ出荷始まる! ㊙情報・開発ストーリー・裏話も全て公開』

こんにちは、トモ清水です。
一気に冬の空気に入れ替わった10月下旬。とはいえ海水温は依然として25℃の高温を保ったエリアもまだ多く、海の中はまだまだ秋、それともまだ夏!?

この秋が深まると同時に、さらなる荒食いが期待出来るのがソルトフィッシング。
さすがに1月中旬になると海水温もグッと下がり冬の海になり、狙えるターゲットもグっと絞られますが、それまでは色々な魚種が狙える最高シーズンの到来です。

今年は幸いにも大型台風の直撃もなく、比較的に天候に恵まれた秋。気温も過ごしやすく釣りにはもってこいの季節が続きます。

 

NEWソルティーステージがいよいよ出荷開始

秋のハイシーズン真っ只中、10年ぶりとなるフルモデルチェンジされたNEWソルティーステージの出荷がいよいよ始まります。今回はこのロッドにこめられた想い、開発コンセプト、開発者のこだわりなどの開発ストーリーを一部ご紹介したいと思います。

「仏作って魂入れず」

ロッド職人としては、それはいつも避けたいことなので、ソルティーステージに込められた魂がどういったものか、少しでもお伝え出来れば幸いです。

 

出荷直前の検品

新しいソルティーステージ・プロトタイプ
SaltyStage KR-X PROTOTYPE

先週は倉庫で検品作業。

品質検査は3回重ねて行われるのですが、今回は最終検査。
結果、非常にスムーズに終えることが出来ました。

検品がスムーズにいった理由としては、まず完全塗装レス仕様で、当然ながら汚れや変色、気泡などの塗装不良は皆無だという事。

またTAF製法は、製造現場の視点で見ると、ブランクスの曲がり不良、スパイン不良率が極めて低く、歩留りが高い。

よってそれらの不良もほぼ皆無。

メディアでは釣り人目線でのメリットを語ることがほとんどですが、開発者、設計者としては、当たり前ですが製造現場、つまり生産技術の観点から、ものづくりを強く意識しています。

だからこそ製造現場のお姉さん達の声はとても重要。

ロッド製造というのは、素管と呼ばれるブランクスの品質が良ければ良い程、結果、仕上がりの質が非常に高くなります。

何故ならばTAF製法はブランクスの曲がり不良が極めて低く、真っ直ぐな素管が出来上がります。すると後工程の塗装やガイド取付、組立など非常に作業し易くなります。

ブランクスが曲がっていると、どうしても作業しにくく、結果的に塗装も汚く、スレッドのエポキシ、UVコーティングも汚く、いびつになりがち。結果的に何回もリワークし、さらに汚れや傷の原因に繋がります。

だからこそ、製造現場の視点で考えた時も、ブランクスはロッドの心臓部、だということが出来ます。

不良率を下げるというQCサークル活動は、廃棄ロスに繋がり、環境に配慮できるということ。
それはまたコストダウンが図れ、お客様に還元できることに繋がります。

今後、さらに持続可能な開発が強く求められる時代に。

 

ソルティーステージ誕生秘話

こちらのカタログ写真は、2000年、私が以前の会社マミヤOPという釣具メーカーに入社した年のカタログになります。当時マミヤOPはAbuGarciaの日本総代理店。

その後マミヤ・オーピーは釣具事業部から撤退し、日本支社として今のピュア・フィッシング・ジャパンに引き継がれました。

この年あたりに立ち上がったソルティーステージ。
それから数えると、このシリーズは20年以上の歴史があります。

当時、ルアーロッドとしては、大きく分けてバスロッド、トラウトロッド、ソルトロッドと3つに分かれていました。当然、今みたいなアジング専用、エギング専用といったものはほぼゼロで、ソルトではシーバス系ロッドとオフショアロッド、ライトロッドというくらいなもので、非常にざっくりとしていました。

そんな中、ターゲット魚種毎に専用化されたソルティーステージというAbuGarciaのサブブランドが誕生したのです。

新しいソルティーステージも初代のSのロゴを踏襲しているのがご理解して頂けると思います。

実は初代が発売され、2009年、2012年、そして今回の2021年で3度のフルモデルチェンジされてきたソルティーステージ。

魚種完全包囲でラインナップされてきた、その数は優に200モデル数を超えます。

この20年間で、日本のソルトシーンは進化し、細分化してきました。また同じシーバス、アジングでもエリアによって釣り方が変わるローカル性も高く、その地域に合った特化したモデルも開発してきました。

こちらは現在の日本のAbuGarciaのソルトロッドのヒエラルキー

ハイエンド機のみに搭載されてきた「TAF製法」を今回新しくなったソルティーステージに搭載されたのが一番の変化。

ロッドの心臓部のブランクスにTAF製法という国産100%のカーボンプリプレグを使用し、最もコストをかけて全く別物へと進化させ、完全塗装レス、スレッドの単色化、無駄な装飾を排除することで、コストダウンを図りました。

ハイエンド機に採用されているガイドは、チタンフレームのトルザイトリングですが、ソルティーステージプロトタイプには、ステンレスフレームのSiC-Sリングを搭載。

SiC-Sの-Sは、従来のSiC(素材がシリコンカーバイト)をさらに薄くしたリングで、その薄さはトルザイトリングに匹敵するほど。

 

ロッドの名前に刻まれたプロトタイプの意味

Prototype:プロトタイプとは、試作品、原型、未完成を意味する言葉。
なぜ量産型なのに試作品という名前を付けているのか?

ロッドが完成に至るまでのプロセスとして、まずは塗装なしのロゴなしの無骨なまでのプロトタイプのロッドでテストが行われます。テスター陣、開発陣でまずは、その強度やアクションチェック、使い勝手や感度、パワーやルアーウエイトの適正範囲などを細かくチェックしていくのですが、その段階ではコスメは不要です。

そして最終的に塗装や製品名のロゴ、飾り巻きなどを施して、見栄えをよくして量産していくのが一般的です。

しかし今回は、TAFブランクスの性能を100%引き出したかったのと、その塗装や飾り巻きの工程を省いてまで、ロッドの心臓部にコストを集中させ、ロッドの本質性能を高めたかったのが理由で、完全無塗装、見た目がまるでプロトタイプのような仕上がりになっています。

 

ちなみに余談ですが、「完全無塗装にしよう」と決めたのは、3年前に韓国の済州島で、ピュアフィッシングの韓国チームと珈琲でも飲みながら会議し、その雑談の中で閃きました。

 

真の完成品

全体の塗装が無いばかりか、ブランクスにロゴやスペックといった表記も入れていません。完全塗装レスのブランクスです。これにより、TAF製法ブランクスだからこその軽さを維持できるし、環境への配慮にもなります。

また塗装しないということは誤魔化しが効かない、つまりブランクスによほど自信がある、という表れでもあります。

カーボン剥き出し・完全無塗装という自己主張こそ、“Prototype”のプライドの証となります。

「ブランクスの塗装時にカーボン繊維を痛める可能性がある」というのはご存知でしょうか。

通常、カーボンに塗装する際に、まず塗料をカーボンに密着させるためにスコッチという工程を入れます。
これはスポンジみたいのでブランクス表面を少し傷を入れる作業です。これ自体はさほどブランクス強度に影響を及ぼすほどではありません。

スコッチの後、エポキシ塗料等で下塗りという工程を2~3回入れて、同時に平滑する研磨作業も行います。
この研磨作業の工程で、下塗りを削ると同時にブランクスのカーボン繊維を痛める可能性があるのです。

熟練者でも100本のうち1本、少し傷つけてしまうほど、研磨作業は気をつかいます。

よって完全無塗装は、ほんの少ない痛めてしまう可能性も排除させたい狙いがあります。

最高のブランクスを、最高の状態で使って欲しい。
ということですね。

自分らしさを求めるすべてのアングラーへ、「BE YOUR STYLE」というメッセージ、想いが込められています。

Be your style

新しくなったソルティーステージに込められたBe your styleというのは、どういうことかと言いますと、
ロッドというのは、あくまで釣り道具の一つに過ぎません。

主役は道具ではなく、釣り人である「あなた」ということです。
そのあなたの相棒もしくは右腕として、長く使ってもらいたく、本質を極めた道具を提供したい、という願いが込められています。

そして新たなソルティーステージを通じて、あなただけのスタイルを構築してほしい、という想いも込められています。

 

2年近いテスト、試作を重ね、ようやく発売へ

正直なところ、コロナ禍でいつもより開発に時間が掛かり、苦労も多かった今回の立ち上げ。

その苦労した分、個人的にもすごく愛着が沸き、気持ち、魂が入ったNEWソルティーステージ。

コロナ禍で感染に気をつけながら、またはそういうストレス下の中で、全国各地にフィールドテストへ。

またテスター陣だけでなく、釣具店、社内、一般の釣り人にも協力しながらヒアリングを行い、作り上げてきました。感染を防ぐため、リモートという形でのヒアリング。本来なら直接お会いすべきでしたが、その点も苦労しました。誠にありがとうございました、と関わって頂いた多くの方に感謝を言いたいと思います。

 

佐賀や長崎の離島でみっちりテストしたアジング、メバルロッド。
もちろんシチュエーションの違う瀬戸内や石川、新潟の日本海でも。

アジング、メバルロッドは、斬新なデザインを採用しました。
前作のソルティーステージ KR-X アジング SXAS-6102LSS-KRの自重が85g。
今回そのモデルを継承する新しくなったXAJS-6102LSSが54gと、31gもの軽量化に成功しています。

人間で言うと、体重85kgの男性が54kgにダイエット出来たと例えたらさらに、さらに分かりやすいかと思います。

もっと言うと、痩せてやつれたのではなく、鍛えて細マッチョに健康的に痩せたということです。

それほどTAF製法は軽量化と同時に筋肉質なブランクス、強度アップも同時に図れています。

 

クロダイロッドのプロトで船から、オカッパリから釣りマクりました

船からでなく、陸っぱりからも黒鯛は釣りマクりました。

 

冬の日本海でジギングロッドテスト

あまり知られていませんが、わたくしトモ清水、ジギング大好きで20代の頃、もっとジギングをやりたくてバストーナメントを辞めました。ごめんなさい、余談ですね(笑)

 

九州でもジギングテストを実施

 

優秀なテスターたちの意見が盛り込まれているシーバスモデル

ピュアフィッシングには非常に優秀なシーバステスターが揃っています

また数々の釣具店の店長クラスのシーバスコアアングラーのアイデア、企画も多く盛り込まれている、ソルティーステージのシーバスモデル。決して大袈裟ではなく、ロッドにはその魂が入り、それを使うアングラーに必ず伝わると私は信じています。

 

開発者自身の私も彼らの意図を理解しようと、必ず現場でテストします。
これが私のポリシーでもあります。

東京湾ボートシーバステスト

ボートシーバスロッドは、横浜ストライカーのキャプテン、木更津のBASEのキャプテン達の強い協力があってこそ完成しました。

 

 エギングロッドは3シーズン通してテスト

エギングロッドは去年の日本海の秋シーズン、今年の伊豆の春シーズン、そしてまた今年の秋シーズンと3シーズン通してテストしてきました。

 

 こちらはショアジギングのプロトによるクエ釣果

 

 サーフでのライトショアジギングのテスト

三重のサーフで、ライトショアジギングのプロトロッドによるイナダ、ホシガツオなど。

 

 三重の河口で巨大メッキ

 

 

NEWソルティーステージの解説動画はこちら

 

ショアジギングの解説動画はこちら

 

マイクロショアジギングの解説動画はこちら

 

非常に多くの方に関わって頂き、発売まで辿り着くことが出来ました。
色々な方の想いが込められたシリーズ、もう感謝しかありません。

今後10年、新たな歴史をさらにお客様と一緒に作り上げていけると信じています。

NEWソルティーステージの特設サイトはこちら
https://www.saltystage.jp/

 

現在進行形で、2022年、23年と追加モデルもテスト中

現在進行形で、2022年、23年と追加モデルもテストしています。

例えば、ロックフィッシュ、ベイトフィネス、タイラバ、オフショアキャスティングなど、今年発売していないカテゴリーも順次テストし、完成次第リリースしていく予定です。

短命ではなく、長く使って頂ける本質を極めた製品づくり。
本物を提供したい、ただそれだけです。

トモ清水でした!
See you next time!

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