山田ヒロヒトが明かす! エギング超重要キーワード『ふわふわスローフォール』と「食わせの間」について
月イチ連載 山田ヒロヒト「ヤマラッピワールド」
エギング超重要キーワード『ふわふわスローフォール』と「食わせの間」について
連載「ヤマラッピワールド」は月1回の連載頻度なんですが、この連載原稿を執筆するたびに、ひと月が経つのが非常に早く感じてます。
さぁ、今年のエギング前半戦を振り返ると、全国的に型がよかったように思います。
数こそイマイチなエリアでも型はよいケースが多く、私を含めて、みなさん楽しいエギングができたのでは?
さて、私の近況ですが最近は、製品のテストに追われています。
現場での釣りをガッツリやり過ぎて、デスクワークが全く追いつかない状態なんですが、その分、現場の釣りを目一杯楽しんでいるともいえます。
では、本題の連載に! まずは種子島(鹿児島県・たねがしま)のレッドモンスターについてお話ししたいと思います。
山田ヒロヒト (hirohito yamada) プロフィール
レッドモンスターというと、沖縄でのボートフィッシングが、有名だと思います。
でも、実は屋久島(鹿児島県・やくしま)、そして、そのお隣の種子島も昔からレッドモンスターが狙えるエリアとして、かなり知られた存在なんです。
私自身、そんな種子島にはじめて釣行したのは、今から10年ぐらい前のこと。
今では考えられないのですが、当時は、自宅の奈良から自走で1000キロ、鹿児島まで走って、そこから高速船に乗り、種子島のショアを楽しんで、また高速船から自走で帰る…そんな2泊3日の強硬日程で数回、釣行しました。
釣行予定の週の火曜日とか水曜日とかに、「週末・木曜日の夜出発して種子島に走ろう!?」と友達を募っての遠征。
もちろん、友達からは「えっ!? 種子島って、あの種子島ですか?」 という返しが返ってきて、私は「そうそう、行こう」と、まるで行くのが普通ってな感じで、1台の車に5人乗って運転を交代しながら自走していました。
今考えると、フェリーも使わないで自走で鹿児島って、色んな意味で、本当にヤバいですね(笑)。まぁ、でも、釣り仲間とワイワイやりながらの道中は、とても楽しく有意義な時間でしたね。
ちなみに、ここ数年は、種子島のお隣の屋久島へは、毎年・年に数回、飛行機を使って通っているのですが、種子島に関しては、自走していた頃以降は、2、3年前前にロケで一度訪れたぐらいで、長い間、通っていない状態でした。
ボートからレッドモンスターをガッツリ狙ってみようと、久々に種子島へ!
そんな中、今年は久々に種子島にも足を運んでみました。
久々に種子島に向かおうと思ったのは、ボートからレッドモンスターしっかり狙ってみたかったからです。
種子島での滞在にはゼウスハウスを利用
今回のレッドモンスター狙いでは、いつもお世話になっている、錦江湾の遊漁船ジャンボの平田船長、そしてジャンボの平田長から、種子島の遊漁船すみ丸の船長と遊漁船と漁師兼用「満海」の宇都 船長を紹介してもらっての釣行となりました
なお初日は、鹿児島の釣友も加わっての釣行となりました!
今回の釣行は、YouTube動画用に撮影現在。現在、編集中ですのでお楽しみに、お楽しみにしていてください!
ひとまず、結果をお知らせすると、3600gを頭に、いい釣りをさせていただきました。
プロトのテスト中にも3キロ台はガンガンきました!
※まだ詳細を明かせないプロトエギにつき、モザイク処理してます! すいません!
種子島のレッドモンスター狙いは沖縄のレッド狙いとは少しアプローチが違う
種子島のレッドモンスターの釣りはどんなモノなのか? なんですが、実は沖縄のレッドモンスター狙いとは少しアプローチが異なります。
種子島のレッドモンスター狙いで攻めるエリアは、水深が少し浅めで、船を「どてら」で流す(船を風に任せて流していく釣り)というよりも、船を立て気味(立てる船も多くあり)にして、比較的バーチカルな釣りとなります。
潮はえげつなく速いことが多く、実際私が行った時も3ノット(5.55km)以上流れることもあります。
私自身、沖縄でのレッドモンスター狙いの経験があったので、種子島も同じようなスタイルで勝負できる! と思ったのですが、実際は全く違いました。
種子島でのレッドモンスター狙いで使用するエギの重さやラインの太さ、そしてロッドの選択、など全ての面で沖縄より繊細なモノが必要とされたのです。
正直なところ、実釣を開始直後は、私自身、特にライトなタックルにしなくても、重いリグでクイックにアクションさせて簡単に口を使ってくるのでは? と、甘い考え方で釣りをはじめました。
最初こそ、それで調子よく釣っていたのですが、途中で、壁にブチあたりました!
昔から私が大切にしていたことを、改めてじっくり考えさせられる出来事が起こったのです。
どういうことか? というと…。
種子島では、底付近を繊細にフワフワ漂わせる誘いが釣果アップの秘訣となっていました
種子島では、狙う水深こそ沖縄よりも20mほど浅い、35mぐらいがメインなのですが、よりフワフワとしたイメージでエギを扱う方が釣れるというのが定石になっていて、実際、ショア用のエギに仮面シンカーの20g~50gを使い分けつつ、より繊細に底付近を漂わせるのが釣果アップの秘訣となっていたのでした。
この底付近を「ふわふわ」と漂わせるというのは、まさにショアからの産卵場所を釣る時のイメージと同じ!
じっくり、ゆっくり、まったりと攻める必要があったんです。
今回、私は最初、25号のシンカーにエギを装着して急降下、そして急激にスピーディに上げては落とすという作業でスイッチを入れ、あとは、ゆったりまったりと見せるという攻めを行っていました。
でも、それだと食わないどころか、全然食わないという状況に…!
そこで、ショア用のエギエメラルダス・ステイ4号に50gの仮面シンカーを装着して落としてみると、それまでの反応の悪さがウソのように即反応、一撃でヒット! それからハイペースで連発したんです。
私自身、ショアのエギングで重要なこととして「フォール速度」と「エギの重さ」のバランス、要するに「食わせの間」が大切だと言い続けてきましたが、今回のボートからのレッドモンスターに対しては、リアクションを意識しすぎていた傾向にあり、結果、バイトが取れないという状況を作ってしまっていたのです。
沖縄の深場での「どてら」の釣りでは、重めのエギで素早く動かしスイッチを入れて食わせることに重きを置き、それで釣れる時もあったので、種子島でも、重いシンカーで速く落としたとしても丁寧に食わせる間を作ってやれば食ってくるはずだと決めつけていたんです。
しかしながら今回、それが通用しないエリアもある、と言うかその釣りでは自分は限界を感じる場面があると実感させられたというワケです。
ちなみに、今回、そんな感じで、考えを改めさせられるキッカケとなったのは、船長から出てきた、「アオリイカってふわっと落とす方が釣れるんですよね」という言葉。これは私がこの20年以上、常々言い続けてきた言葉でした。
沖縄のレッドをやり続けてきたことで、自分の感覚が、とてもズレたものにもなっていたと認識。またエリアを変えれば、まるっきり違う釣りが成立することがあることを、再認識させられました。
種子島では、まさかの3キロのメスも出現!
このメスとペアリングするオスは軽く5キロを越すはず
ショアからでもボートからでも、アオリを釣るためには「食わせの間」が重要
さて、ここからは、ショアのエギングの話をします!
基本的には、アオリイカを釣るために必要な「食わせの間」というのは、エギの重さが絶妙な重さ、すなわち着底が分かりづらくなる重さがキーです。
ショアもボートもそれは同じです。
最後に抱かせることができるか? できないか?は、そこにかかってくるといっても過言ではありません。
ショアの釣りで、底取りが分からない初心者の人に教える方法として、私はよくエギを重くしてもらう方法を取るのですが、これはエギのフォール速度を速めて着底を分かりやすくするためです。
エギは、通常1mを3秒から4秒くらいでフォールするように作られています。
これはアオリイカがエギを抱きやすい速度で、ゆっくり落ちれば落ちるほど、着底した時のエギの速度が変わらなくなるので当然、当然、着底が分からなくなります。
この着底が分からなくなる速度っていうのが、アオリイカを釣るためにとても大切です。
「エギングって着底が分かりにくい、分からない」と言う方が多いのですが、逆に着底がハッキリ分かるような速度のエギを使っても、結果は根掛かりを誘発するか、また「食わせの間」が取りにくくなり、釣果が落ちるという現象が起こりがちです。
だから、水中をイメージすることがとても大切になります。
確かに、フォール速度を速くすることで、アオリイカのスイッチを入れる場合もあるのですが、それはあくまでスイッチを入れることで「食わせる間」をしっかりと取るということとは相反することとなります。
エギはできるだけゆっくりと「フワフワ」と落とす方がいい
また、春の産卵期には、速く動くモノを、かなり嫌う傾向になると私は考えています
今までショアで産卵場所のアオリイカを観察してきて思ったことですが、エギはできるだけゆっくり「ふわふわ」と落とす方が嫌って逃げにくいのです。
でも「ふわふわ」が、エギング初心者からするとネックで、エギが今、水中のどのあたりにあるのか? 把握することを難しくしています。
では、どうすればよいのか? ですが…。
「産卵の居残りの良型」ををゲットするために、現場にてやるべきこと
現在、狙い時の「産卵の居残りの良型」ををゲットするために、現場に立ってやるべきことをまとめてみます。
まずは水深を把握する必要があります。
水深を把握しないと、エギを底付近に届けることができなくなります(アオリイカは底付近にいることが多いと考えてください)。
ですので、軽いエギでゆっくりを意識しすぎるがために、中層くらいまでしかエギを通していないということにならないために、底がわからない人は、まずは、重いエギを使って水深を把握! 最悪、1ozくらいのメタルジグを持っていって、周囲にキャストして地形や水深を把握するという作戦もアリです。
普通は重めのエギを使用し、キャスト後、カウントダウンし、ボトムまでどれぐらいの深さがあるのか? を、はっきりと把握します。
例えば、それが20カウントなら、次にエギを軽くした時は20カウント以上かかるということですので、そのあたりを意識してラインの変化を見つつ把握すればイイと思います。
ダイワのエギを例にとると、タイプRを使用してから、ノーマル→タイプS→タイプSSという順で、使用していきます。
タイプSSを使用した場合は、水深が5m以上となると、かなり着底が分かりくくなりますが、頑張ってみてください
こういったエギのローテーションをしていると、なんとなく水中が見えてくると思います。
一気に軽いエギを使用するのではなく、徐々に体を慣らしていくといいかと思います。
軽いエギでボトムを取れるようになれば、その軽いエギをキャストを続ければイイのですが、反応がない状況が続いた場合は、次のローテーションとして、たまにタイプRをキャストすることも大切です。
このローテは、イカの捜索範囲を広げるという意味と、フォール速度を速めて反応するアオリイカがいないか? 見つけるという意味で必要なんです。
なお、タイプRを使用し、ラインテンションをフリーにして落としてあげると、さらにフォール速度が速くなりますので、速いフォールに反応するイカを探す場合には効果的です。
良型のオスを釣りたい時に私が多用しているエギが、エメラルダスステイ
あと、良型のオスを釣りたい時に私が多用しているエギが、エメラルダス・ステイです。
前にも連載で説明していますが、激しくダートさせるというよりも、どんくさいマッタリとした動きを演出してくれるのと、エギの両サイドについているスタビライザーが水を押して、ほかのエギにはない独特なアピールをしてくれるので、とても効果的です。
またステイはボディの浮力が大きいので、潮にうまく馴染んで、「ふわふわ」と落とす作業も得意としています。
あと、もっと「ふわふわ」落としたいのであれば、ステイのタイプSもありますので、ぜひ使ってみてください。
ダイワ公式 エメラルダス・ステイ/同RV
ダイワ公式エメラルダス・ステイ タイプS/同RV
号数 | 標準自重 (g) | 沈下速度 (秒/m) | 本体価格 |
---|---|---|---|
エメラルダス・ステイ/同RV3号 | 18.5 | 4.25 | 1240円 |
エメラルダス・ステイ/同RV3.5号 | 25 | 3.75 | 1240円 |
エメラルダス ステイタイプS/RV4号 | 29 | 3.75 | 1370円 |
エメラルダス ステイタイプS/同RV3.0号 | 18 | 6 | 1240円 |
エメラルダス ステイタイプS/同RV3.5号 | 24 | 6 | 1240円 |
エメラルダス ステイタイプS/同RV4.0号 | 28.5 | 6 | 1370円 |
なお、ステイは、通常のエギよりも重量があるため、遠投性能も抜群ですので、その意味においてもローテーションに入れることをオススメします
このように丁寧に水中をイメージしてエギをアクションし、攻略することができると釣果も伸びると思います。
さてさて、連載の前半でお伝えした今回の種子島レッドモンスター釣行では、ボートをやる上で雑になりがちなところを、もっと丁寧にやらないとダメだということを再認識させてくれました。
できるだけ俊敏なアクションを交えながら、繊細な食わせの間が作れれば、釣果は更に上がるのではないかと考えています。
来年、沖縄や種子島のレッドモンスター相手に色々試すのが楽しみで仕方ありません。
また今回の釣行では、ショアの釣りで大切な、「ふわふわ」させるなど、水中でのエギの動きをより的確にイメージすることの重要性も再認識させてくれました。
イカ釣りは、強い引きも楽しさの1つではありますが、それ以上にエギを抱かせるための「駆け引き」がとても楽しく、エリアとタイミングで有効なテクニックがガラッと変わるという面白さがあります、
これからも日本全国の釣り場でガンガン釣りをしてあらゆるシチュエーションに対応でき、かつできるだけ楽しくその時間を周りの釣り人と共有できたらと思います!
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