アラバマリグとアラバマリグを用いたワンフックという2種類のアラバマリグ
今では琵琶湖だけでなく、各地のフィールドでも定番となりつつあるアラバマリグ。
当時、5本のアームの先にジグヘッド+シャッドテールワームが付いた強烈なインパクトのリグを見た時は〝こんなの釣れるの〟と不思議に思ったが、使ってみるとその衝撃的な釣果に驚かされたことを思い出す。
礒村雅俊(Masatoshi Isomura) プロフィール
礒村もまた、アラバマリグのすごさにいち早く目を付け、琵琶湖におけるバスガイド時に推奨するパターンに取り入れた。
「アラバマリグは集魚力がずば抜けて高い。他のルアーにはないアピール力です。まだアメリカからの輸入物しかなかった時に、これなら作れそうと思って、ホームセンターでワイヤーとスリーブを買ってきて色々試しに作ってみました。ワイヤーの太さや長さを変えたり、5本を6本、7本と増やしたり。色々しましたよ(笑)」
現在は市販で売っている7本アームのアラバマリグをそのまま使う礒村だが、唯一「ワンフック」と礒村が呼ぶアラバマリグだけは、市販の物を自作チューニングしている。
アラバマリグのワンフックとは何か?
もちろんワンフックもアラバマリグの一種である。ただし、ハリの数は1本だけになる。センターのアームだけにジグヘッド+ワームを装着し、残りの4本にはブレードを付けた物である。
礒村はアラバマリグが、はやり出した当初からこのワンフックを自作し使っていた。そのため、こだわりは強い。
「ワンフックはバランスが重要で、ただブレードを付ければいいだけじゃないです。ブレードを回転させるためのスイベルをちょっと特殊な物にして、しっかりと上下左右を作ってあげる必要があります。するとアラバマリグ本体が無駄に回転せずに巻くことができます。他にもキーポイントがあったりしますが、今回は秘密です(笑)。けっこう奥深いですよ」
アラバマリグとワンフックはどうやって使い分けるか
一見すると、ワームを付ける数以外に大きな違いのないアラバマリグとワンフックだが、礒村には明確な使い分けがあるという。
「アラバマリグの場合は、魚を引っ張って中層で食わせる時に使います。ベイトがウィードから離れて浮いている時とか、バスがウィードの外にいる時ですね。ワンフックはその逆。ウィードにかすめながら使い ます。ウィードの中にいるバスを引っ張り出すイメージです。スピナーベイトでもできる釣りですけど、ワンフックの方がより魚を引っ張れます」
ワンフックはウィードに当てるため、少しでもウィードの引っ掛かりを減らす狙いでフックを1つにするのだ。また、キャストしアラバマリグが着水した地点に垂直に沈めることができるので、クランクベイトよりも長い距離をウィードのトップに当てながら巻けるのもワンフックの強みだと言う。
「他のルアーに食ってこない時でも、アラバマリグやワンフックなら魚が釣れます。魚を引っ張る力がとにかく強い。あと、琵琶湖の今のベイトサイズにマッチしてますよね」
ひところはブルーギルがメインベイトとなっていた時代もあり、そのころは平べったいタイプのビッグベイトやワームが一世を風靡した。
だが、そのブルーギルが減り、いまはワカサギやコアユなどがメインベイトとなっている。これらのベイトはサイズが小型であり、群れで行動する習性がある。こういった群れで横方向に回遊する魚がメインベイトとなりつつある琵琶湖だからこそ、アラバマリグやワンフックが有効なのだと礒村はいう。
アラバマリグとワンフックをキャストするためのロッド
アラバマリグやワンフックは、総重量をみるとビッグベイトと同じぐらい重い。それによって使用するロッドも専用ロッドに近くなる。
「今はイフリートのB70H‐RFでアラバマリグ、B70MH‐Fでワンフックを使っています。ワンフックは巻きが軽いので問題ないですが、アラバマリグの方は本当は正直しんどいです。イフリートって高弾性だから、こういったリトリーブ抵抗が大きい巻きモノとなると、使えはするけどジャストマッチとはいかない」
アラバマリグはボリュームが大きい事もあり、ルアーに掛かる水圧も大きい。そのため、高弾性のイフリートでは、ロッドがルアーに引っ張られてラインテンションが張り過ぎになり、バイトが浅くなる事がある。またキャスト時にも釣り人側にかかる負荷が大きい。
礒村がアラバマリグを使用するに辺り、理想とするロッドは7フィート5インチほどのルアーウエイトをロッドにしっかりと乗せてキャストしやすい長さに、ラインテンションを緩めることができる弾性率の低いカーボンを使用した物。
それでいてウィードを切ることのできる絶妙な張りと、ルアーやラインの操作が行いやすく、感度も良いロッドがアラバマリグには向いているという。柔軟さと張りを備えつつ、長くて、しかも疲れずに1日中振れるロッド。なんともわがままオーダーである。
「イフリートの時もそうですけど、これは無理だろってロッドを目標にした方がいい物ができる気がします。無難な物を目指すと無難な物しかできないですから。がまかつの場合、かなり高度な要求をしても、それを形にできる技術がありますから」
これまでどちらかというと、ワームの釣りに特化したモデルの多かったイフリートだが、アベンジクランク400にアベンジスピンと礒村が要求したルアーができた事により、イフリートでも巻きモノ系ルアーを使う機会が増えた。もちろん現行のイフリートでもそれらのルアーを十分に使うことはできるが、より特化したモデルのロッドを現在考えているらしい。
「まだ企画段階で、どこまで実現できるかはこれから次第ですけど、人気機種のS66M‐F solidの兄弟ロッドなんかも考えてます。かなりライトなフィネスモデルからパワーフィネスなモデルまで対応する66シリーズって感じですね」
礒村の無理難題を形にしてきたイフリートシリーズだが、この先も新たなモデルを加え、より充実したラインナップになりそうだ。
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