ヤマガブランクスの2021年新製品「EARLY NEW SERIES」について深掘り解説していく特集記事の第二回目!
前回はサーフ用フィネスモデル「EARLY 99ML for Surf」の詳細をイロイロとお伝えしたんですが、今回は注目のサーフ用ベイトモデル「EARLY105MMH/B」について、特長や開発の経緯などなど、お伺いしたことをガッツリ詳しくお伝えしていきます!
サーフ用の10ftを超えるベイトロッド…さて、どんなロッドになっているのでしょうか。
「EARLY 105MH/B for Surf」開発の経緯
前回の99ML編でも触れさせて頂きましたが、EARLY for Surfは先に2018年秋に103M/105MH/109MMHの3機種が立ち上がっていました。
実はその時点で10ftクラスの長尺ベイトロッドのプランも立ち上がっていたんです。本格的に動き出したのは、各地で行われるフィッシングショーやショップイベント等でサーフ用10ftクラスのベイトロッドのニーズやご要望の声を多数を頂いたことがキッカケでした。
サーフでのベイトロッドの利点
これまで無かったサーフ用長尺ベイトロッドの開発において、“サーフゲームにおけるベイトロッドの利点”を突き詰めることから始まりました。
スピニングタックルでは遠投の際に飛距離を出すための一つの手段として、ラインを細くするといった方法があります。
ですが、ベイトの接岸するサーフでは同時に様々なフィッシュイーターもベイトに着いてやってきます。その中にはランカーシーバスや座布団ヒラメ・真鯛・青物にオオニベなどといった大型の魚もルアーの射程圏内に入り、サイズを選べない状況が多発。波があれば、引き波のパワーも当然ながら強くなり、両隣にアングラーがいる状況ではできる限り迷惑を掛けないように迅速なファイトを心がける必要も出てきます。
そういった条件の中で、PE0.8~1.2号クラスでは少し心許ないと思ってしまう場面が多々。
そんな時にベイトタックルならば、ライン放出の方向とスプール回転の方向が同じであることから、1.5~2.5号といった太めのラインや長めのリーダーを入れても飛距離を落とさずパワーファイトが可能。これは、ベイトタックルの大きな利点です。
そしてもちろん、太めのラインという事でファイト時にはしっかりとプレッシャーを掛けて迅速なファイトもおこなえますし、最後の難関である波打ち際の攻防で引き波に持って行かれそうになっても、クラッチを切ってサミングかけていなすことも容易に行えます。
負荷に対しレスポンスよく対応できれば、フック伸びや身切れを防ぐこともできます。これらベイトタックルの利点を意識すると、安心感を持って大型魚にも挑むことができますし、千載一遇のレコードフィッシュのチャンスもモノにできるのではないかと。
さらに面白いのは、ベイトタックル特有のタイトな巻き感度によって、多くの情報量が得られること。
ルアーの引き抵抗による、カレントの流圧変化や地形変化等の情報を元にした攻略の組み立ては、スピニングタックルとは違う面白さがあります。
もちろん、デメリットもあります。キャスト時につきものである「バックラッシュ」という不安材料もありますし、使いこなすことに慣れが必要であることから「敷居が高い」というイメージもあります。
しかし、昨今のベイトリールの進化は目覚ましく、細かな設定などはありますが、バックラッシュを軽減しつつ遠投性能も非常に高くなっています。特にデイゲームにおいてはスピニングタックルと大差ない扱いやすさになっていると言えます。
着水のやラインスラックの見えにくいナイトゲームではやはり少し難しい点もありますが、それでも現行のベイトリールの性能は過去とは比べものにならないほど扱いやすさは向上していると思います。
YAMAGABlanksが求める長尺ベイトロッドとは?
「EARLY 105MMH/B」が求めたものは、長時間の釣行でも疲労を軽減する「軽さ」と、進化を続けるベイトリールの性能を誰でも快適かつ楽に引き出すために必要な「キャスト性能」をブランクに詰め込むことでした。
加えて、遠投性能が必須条件であるサーフゲームにおいて、誰もがキャストという行為を楽しめるモデルというところを目指しました。
また、サーフゲームにおいて、様々なベイトパターンやシチュエーションに対応するためには、幅広いルアーウェイトが扱えるといった性能も必要です。つまり、10gの小型ルアーも扱えるしなやかなティップに、50gのヘビーウェイトルアーも余力を残してフルキャストできるバットパワーのあるロッドが必要ということ。
ただ、同時にしなやかなティップは魚のバイトに対しての弾きを軽減させる役目にもなりますし、粘り強さと硬さを両立させたバットは波打ち際の攻防に安心感をもたらしてくれます。
サーフゲームでの遠投性能や取り回しを考慮、またサーフモデルに止まらない汎用性も視野に入れ、調整を繰り返した末に辿り着いたモデルが、10.5ftのレングス設定でMクラスのティップにMHクラスのバットを融合した「105MMH/B」なのです。
軽さと実釣での機能性
10ftクラスのベイトロッドと聞くと、重くてゴツいイメージをもたれていらっしゃる方も多いかと思います。
「105MMH/B」のWeightは189gです。実際にを手に取るとそういったイメージが払拭されるほどの「軽さ」を体験できると思います。
しなやかなティップに強いバットを持つブランクスは、キャスト時のテイクバック時にはしっかりと曲がりつつパワーを溜め込むことが可能。スムーズなベンド移行でルアーを送り出してくれます。
結果、バックラッシュが起こりにくく、誰もが「楽に遠投できる」、長尺ベイトタックルを「楽しめる」モデルに仕上がりました。
YouTubeチャンネル「YAMAGABlanks」で、フィールドスタッフの郡司氏が宮崎サーフにおいて、5cmクラスのカタクチイワシがベイトとなるマイクロベイトパターン時に小型のルアーを使用し、波っ気もなく気難しい状況でヒラスズキ・青物を攻略している動画をアップしています。
このときの釣行ではルアーの扱いに特化したティップと、波打ち際の攻防を制するバットパワーが実釣面で生きることを証明してくれました。
求めた汎用性
また、前述しました「サーフ以外の汎用性」ですが、ベイトの接岸に大きく左右されがちなサーフでは、必ずオフシーズンが訪れます。
そんな時でも105MMH/Bは、遠投して広範囲を探る磯や大河川のシーバスゲームを始め、磯のサラシ打ちのヒラスズキゲーム・マルスズキゲームは勿論の事、5㎏未満を目安とした堤防や磯の青物ゲーム・ロックフィッシュゲームを「軽さ」「遠投性」「パワー」をもって対応できます。
サーフゲームがメインのロッドですが、105MMH/Bのブランクスには他のシチュエーションにもチャレンジして欲しいという私たちの想いも詰まっております。
「EARLY105MMH/B for Surf」をエキスパートの方はもちろん、これから長尺ベイトモデルに挑戦される方にも是非、その性能と軽さを実感して頂きたいと思っています。
第1回目の記事はこちら
【ミドルクラスを網羅】ヤマガブランクスNEWロッドシリーズ「EARLY(アーリー)」について訊く/その1:高まる繊細な攻略の必要性
ヤマガブランクス(YAMAGA Blanks)