宵姫爽インプレby山本康典
宵姫爽の最終プロトモデルを手に、アジとメバルを狙った山本。
「正直、最初に値段を聞いてなかったら、僕は勘違いしたでしょうね。宵姫華の後継機種……とまではいかないまでも、華に肉迫した性能ですから。そうですね、3万円台前半くらいだと推定したに違いありません」
山本 康典(Yasunori Yamamoto) プロフィール
宵姫爽、その仕上がりに驚愕
宵姫爽は、この春デビューを迎える宵姫三姉妹の末娘。価格を2万円台前半に抑えながらチタンフレームSiC-Sガイドを搭載している。
「ガイドも驚きですが、やはり性能がすごい。性能というか、造りこみというか、セッティングの部分ですよね。これ、相当、現場でやりこんでますよ。アタリの出方とか負荷に対するロッドの追従具合とか、アジやメバルにちょうどよすぎる」
アジングとメバリングで「爽」を操る
山本が手にしたのは、宵姫爽S63ULソリッドと宵姫爽S78Ⅿソリッドの最終プロトロッド。
「S63ULソリッドはアジングで、S78Ⅿソリッドはメバルでテストしました」
山本の住む北部九州では、2月いっぱいまでアジが釣れる。産卵のため、3月にアジが抜け、4月になると戻り始める。
「11月ごろから30cmを超えるアジが釣れますね。だいたい33~37cm。40cmを超えるようなのはなかなか釣れない。40cm、50cmは離島ないし僻地にいかないと難しいです」
メバルは冬から春にかけてハイシーズン。アジと比べるとシーズンは短い。
「11月~3月ですね。その時期を過ぎると散ってしまいます。深場や磯に移動するので、4月中も磯ならメバルを追うことはできますね。僕の狙うメバルはクロメバルのブルーバック、いわゆる回遊型ですね。アベレージサイズが20cm後半~尺とデカいです」
メバルにおける山本の自己記録が34cm。良型ばかりを短時間でまとめるスタイル。
「ブルーバックのメバルは回遊系なので、時合いが短い。ラインブレイクすると時合いが終わってしまうこともある。だから、30cm前後のメバルに主導権を与えず、確実に取り込めるロッドが望ましい」
薄明るい時間が時合い。ポイントは岩礁帯のスリットや波止の切れ目、堤防の基礎の敷石、テトラ沿いなど、ハードなストラクチャーの際になる。
「水深30cm~2mが狙うレンジになります。リグはジグヘッドとフロート。ジグヘッドは1.5g~2gで、フロートは浮くタイプの10gクラス。アジはシンキングのフロートも使いますが、メバルの場合はフローティングがメインです」
宵姫爽S78Mソリッド
ジグヘッドとフロートの両方が宵姫爽S78Mソリッドで操作できる。
「体感ですが、宵姫爽S78Mソリッドは、宵姫華の77Ⅿソリッドと80MHソリッドの中間くらいのパワーに感じます。どういうことかというと、華の77Mよりもフロートがキャストしやすいんです。僕の使った感想ですが、全体的に、宵姫天や華よりも宵姫爽の方が、使えるリグの幅が広い感じがします。その分、宵姫天や華は特化した性能があるわけですが、1本でいろいろやろうと思ったら爽の方がバーサタイルですね」
モデルNo. | 標準全長(cm/ft) | 希望本体価格(円) | 標準自重(g) | 仕舞寸法(cm) | パワー | 使用材料(%) | 継数(本) | ルアーウエイト(g) | 適合ライン(PE/号) | 適正ライン(ナイロン/lb) | 先径(mm) | グリップ長(mm) |
S78M-solid | 234(7’8″) | 25,000 | 66 | 121.5 | M | C99.5 G0.5 | 2 | 0.7~16 | 0.2~0.5 | 1~4 | 0.9 | 290 |
※C=カーボンファイバー、G=グラスファイバー
夕方前の明るいうちにスタンバイしておいて、真っ暗になる前の、薄暗い時間帯にブルーバックのメバルが回遊してくる。
「ヘッドライトはいらないけど、偏光グラスは意味をなさない時間帯ですね。それくらいのわずか30分程度にヒットが集中します。朝まづめなら真っ暗闇からようやく薄明るくなった時間帯」
テトラ際から飛び出てきた尺メバルの引きに、グッと耐える。ここでためきれないと根に潜られ、システムを組みなおす間に時合いは終了してしまう。なるべくラインをこすられることなくランディングに持ち込むのが望ましい。
「78Ⅿソリッドはパワー抜群で実に安心感のあるやり取りができます。このパワーを持ちながら、どこまで繊細な釣りに対応ができ、感度が優れているかが評価するポイントです」
流れがある中で、風が吹いていても、ストラクチャーにリグが触れる感触がある。そのうえで(コン)という小さいバイトをどこまで感じ取ることができるか。ライトゲームロッドは感度が命である。感じ取れる情報量がそのまま釣果に直結するし、ゲームの奥深さや操作の精度、ひいては上達の速度をも決定づける要素。
尺メバルのわずかなバイトも捉える感度
「尺メバルのバイトって、案外、小さいんですよ。ゴンッ!というよりは、コツンまたは(コン)。これを感じ取ることができるか。かつ、障害物への接触と見分けがつくのかが、感度の評価基準ですが、宵姫爽の感度は必要十二分です。びっくりしました。コストパフォーマンスがよすぎです。ただ、華や天と対等ではないですよ。そこはさすがに差がある。爽だけを使い続けていたら手になじむし、不満はないと思いますが、天や華と使い比べたら戻れなくなる(笑)。余裕があるなら、そりゃ天や華をすすめます。でも、本格的なライトゲームロッドが1本、ほしいというユーザーの想いには、宵姫爽は十分な満足感を与えてくれます。あとは、ジグヘッドロッドはあるけどフロートロッドが欲しいとか。複数本、揃えたいときには選択肢が増えたことは喜ばしいですね」
宵姫爽S63ULソリッド
アジで使ったという宵姫爽S63ULソリッドはどうか。
「30cmオーバーの良型アジを釣るために使いました。S63ULソリッドは、まさに全く同じ長さと強さの設定が宵姫華にもあるので、使い比べる事ができました。そもそもの性能として、キャスト性能、操作性、感度、パワーは申し分ない。完成度は高いですよ。さすが宵姫天を設計した設計者が作っただけのことはあります。超本格派のライトゲームロッドです。正直、アジングはこの1本があれば、十分にこなせます」
モデルNo. | 標準全長(cm/ft) | 希望本体価格(円) | 標準自重(g) | 仕舞寸法(cm) | パワー | 使用材料(%) | 継数(本) | ルアーウエイト(g) | 適合ライン(PE/号) | 適正ライン(ナイロン/lb) | 先径(mm) | グリップ長(mm) |
S63UL-solid | 190.5(6’3″) | 22,500 | 54 | 99.5 | UL | C99.5 G0.5 | 2 | 0.1~4 | 0.1~0.3 | 0.8~2 | 0.8 | 205 |
※C=カーボンファイバー、G=グラスファイバー
使うほどに手になじみ、もっと使い込んでみたいと思わせるほどの魅力がある。
「そのうえで、爽と天の差をあえて語るとすれば、わずかな重さとマイルドさがありますね。あと感度が少し少なめ。爽にするか、天にするか、華にするか。あらゆる意味でユーザーのみなさんにはいい選択肢ができましたよね。宵姫爽は自信を持ってすすめられるというか、ぜひ、使ってみてほしい!」