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究極のディープクランク「アベンジクランク400」とコンパクトスピナーベイト「アベンジスピン」、誕生秘話をバスプロガイド礒村雅俊が語る

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冬のバス釣り特集2020

アベンジクランク400誕生秘話

琵琶湖のバスプロガイド礒村雅俊とアベンジルアーデザイナー赤松拓磨が、はじめてタッグを組んで創り上げたルアーがアベンジクランク400。

礒村雅俊(Masatoshi Isomura) プロフィール

礒村雅俊(いそむら まさとし)…ラグゼプロスタッフ。琵琶湖におけるバスフィッシングのプロガイド。釣れるテクニックをわかりやすく解説し、スキルアップできるうえに高確率でデカバスに会えるとして人気。繊細なワームの釣りはもちろん、トップ、ビッグベイト、クランクベイトなど、ダイナミックなゲームも得意。南湖をメインにフルタイムガイドとして活躍し、その季節とタイミングに合った釣りを心がけている。同じく琵琶湖プロガイドである関根健太とルアーメーカー「KID」も立ち上げている。1985年生まれ。趣味はサッカー観戦。

「つかみ合いの殴り合いとまではいかなかったですけど、いったい何度、いい合いになったことか(笑)」

頭の中でイメージするクランクのアクションを追求する礒村と、流体力学に基づく科学的なアプローチから礒村のイメージを具現化する赤松。しかし、物理的な限界というものがある。

「このルアーとあのルアーのいいとこどりとか、そういうオーダーだったら楽だったんでしょうけれど」

この世に存在しない、こんなアクションがあったら釣れるに違いない、いや、釣れる!という感覚的な世界のイメージを形にする。

まぁ、人様の頭の中にしかない空想上のものを形にするわけだから、デザイナー側はたまったものではなかっただろう。当時は、まだ、知り合ったばかりのふたりである。

動きは大きく、巻き重りは小さく。そして感度は高く

アベンジクランク400

「ルアーの動きは大きく、でも、ロッドに伝わる巻き重りは限りなく小さく。これを水深4mまで到達させること」

礒村のオーダーである。通常、ルアーの動きを大きくすれば、それが抵抗を生み、巻き抵抗は重くなる。

「抵抗の大きいルアーは、1日中、投げ続けることが難しいし、巻き感度が悪くなる」

感度とは、岩などのストラクチャーやボトムへの接触を伝えること。

幾度となく繰り返されたテストから生まれたアベンジクランク400

「硬いボトムはもちろんですが、敷き詰めたウィードの頭に接触した瞬間のモサッのモを感じ取って、リトリーブをストップしなければならない。これができるのとできないのでは、釣果が劇的な差になる。使える技の種類が減るというか、藻に当たったことに気づかずにそのまま藻の中に突っ込ませてはバイトが得られない」

リトリーブ抵抗の小さいルアーであればわずかな変化をとらえやすい。実際、このタイプのプロトサンプルもあった。ただ、アクションまで小さくなってしまった。

「ただ単に巻きの軽いルアーでは魚を呼べませんでした。やはり、動きは大きくなければならない。でも、動きを大きくしようとすると巻きも重くなる。なんとかしろ、と赤松デザイナーに詰め寄って、また、言い争いになる(笑)」

膨大なプロトを作成した。いくつめだっただろう。

「このころには僕もリップを削ったり、アイを調整したりしていました。そして、この無理難題をクリアするのは、無理なんじゃないか、と半分、あきらめかけていました」

だが、かなりイメージに近い感触があるプロトがあった。

「これでも、まぁ、アレやコレと同じくらいには釣れるし、動きの大きさはでてなくもない。これでよしとするか、あるいはお蔵入りするか。デザイナーにはこれ以上はどうしようもない。ボディやリップはいじれないといわれていましたし。物理的には限界なのかもしれないな、と思っていた」

最後の可能性を信じてラインアイをあぶり、1mm、ボディ方向に沈めた。

「あの衝撃はいまでも忘れられませんね。『キタ!コレだ!』って。頭の中のイメージに現実のアクションが寸分たがわずピタリとハマった。1匹釣れる前に、『出たよ、アクション。もう、できた』って赤松デザイナーに電話しました」

わずかなリップ形状の調整、これが最高のアクションを生み出すことになった

年間200日、バスガイドとして琵琶湖に繰り出す職人・礒村が磨き続けた絶対的な感性によって鍛え上げられたアベンジクランク400。その完成の答えは、すぐに釣果で証明されることになる。

アベンジクランク400の特徴

ところで、アベンジクランク400はどんなときに活躍するのだろう。

「濁っているときですね。風が強いときとか。ベイトはいないよりはいた方がいいですが、それよりも濁りという要素を僕は優先します」

ささ濁りならオーロラギル、ベイトにハスが絡むならメッキハス、濁りがあるなら、ホットタイガーかブルーバックチャート。濁りがあってフラッシングが欲しい時にはクロキン。夕方もクロキン。

「あと、冬はシークレットチャートじゃなくて、なんていう名前になったんだったかな? メロンチャートか。これは小バスやギルの体色が白くなる冬に。クリアレッドは春先に水がクリアな時に」

そして、台風後のド茶濁りで頼りになるのがバニッシュクロー。どれも礒村が厳選した実績カラーだ。これらクランクを基本、何かしらの濁りが発生しているときにキャストする。

 

巻きの軽い、大きなアクションのアベンジクランク400。他にどんな特徴があるのだろう。

「ディープクランクは2種類あって、急潜行タイプと横入りタイプがある。急潜行タイプは一気に潜って一定のレンジを長く引くためのクランク。横入りタイプは、中層でもバイトをとれるし、最大深度より浅い場所の藻の先端に当てて止めたりもやりやすい。アベンジクランクは横入り系のクランクで、16ポンドフロロラインのミディアムリトリーブで4mに到達する。速巻きなら3.6m。12ポンドに落とせば、もう少し深く潜るようになる」

藻に絡んだ後の動きには、ことのほかこだわりがある。

「レンジありきで、飛距離が出ること、浮力があること。そして、ストップの際にキックバックすることですね」

4mギリギリのレンジまで潜らせてウィードの頭に当てたい場合にはラグゼ・イフリートB70MHを用いる。硬質で情報収集能力が高い。

ウィードの高さが高く、3mや3.5mでウィードに絡ませ、ほぐして食わせる場合にはラグゼ・アベンジB70MHを選択する。アベンジはロッドの吸収力が高く、ソフトなマテリアルであるウィードに触れた際、クランクが食い込んだり、深く潜り込んだりしないようロッドがサポートしてくれる。

こうして仕上がったアベンジクランク400はプロトの完成とともに、礒村に60センチオーバーのバスをもたらした。

「僕が投げて釣った事実も大事ですが、僕の技を誰でも再現できる。僕のやりたいディープクランクの世界を誰もが見ることができるのがアベンジクランク400のすごいところです。秋に製品版の最終プロトが仕上がって来て、ガイド中、お客さんに投げてもらって60cmオーバーが2本でましたね。これはすごいものができてしまったなと。ガイド仲間のインプレッションが楽しみでなりません」

アベンジスピン

もうひとつのサーチベイト、スピナーベイト。

「1/4オンスは本当にコンパクト。オカッパリで重宝します。体積が小さいので軽くても飛距離が出る」

ブレードの水かみがよく、低速から回るため、スローロール~ハイスピードまで対応するバーサタイルモデル。3/8オンス、1/2オンスもコンパクトである。一方、アベンジスピンシリーズ最大の3/4オンスは開発コード・ビッグバンブレードの異名を持つ礒村こだわりのモデル。琵琶湖で大活躍する。

「ふつう、このクラスになると巻き抵抗が大きくて、1日中投げ続けるのが難しい。それに、巻きの重いスピナーベイトは、チェイスやブレードアタック、あるいはストラクチャーへのコンタクトがわかりにくい」

アベンジスピン3/4オンスはブレードがボリューミーだが、実際に巻いてみると軽い。

「巻きの重さは排除していて、でも、ブレードが回転するピッチは伝わってくる。巻きが軽いので、何かしらのコンタクトがあれば敏感に感じ取ることができます」

ブレードの回転抵抗のほかに、巻き抵抗を生むのがワイヤーの形状と硬さ。

「巻きがただ軽いだけではなく、絶妙な巻きの重さというか水のつかみ感が大事で、釣れると釣れないの境界線になる要素。柔らかすぎず、細すぎないワイヤーのセッティングには苦労しました」

低重心ヘッドを採用することで、浮き上がりにくく、レンジキープ能力が高い。また、障害物にコンタクトした際にも横を向きにくく根掛かりしづらい仕上がりとなった。

ところでスピナーベイトが活躍するのはどういった時だろうか。

「昔は、風が吹いているときといわれていました。でも、いまは割りといつでも投げる。ベイトフィッシュを模すこともできますが、それだけじゃもったいないですよね。スピナーベイトはバスルアーの中でもっともルアーらしいルアー。何物にも似ていない」

ワイヤーの生む振動、ブレードのフラッシング、そしてスカートがバスにアピールする。

「この3つの要素がひとつのルアーに詰め込まれている。しいていえば、アラバマリグが類似したジャンルのルアーです。魚のコンディションを確認するのに向く」

最大の特徴は、深いレンジを横に長く引けること。

「沈めてから巻けば自由なレンジで横に長く引くことができるし、斜め上に巻き上げることもできる。もちろん、ロッドを立てて水面直下をガーグリングで巻くことも可能」

バイブレーションのようにサーチベイトとしての能力が高い。

「水がクリアでも反応するし、ベイトがわからないときに投げる」

もちろん、ベイトパターンでも出番は多い。

「3/4オンスのビッグバンブレード(開発コード)はハスパターンで効きますね。あとは、アユにボイルしているときのガーグリング。横系の動きをするベイトが多いときに強い。あとは、ウィードの中に小バスが多いときとか。本当に万能。ただリトリーブ速度はそんなに速くはないないです」

単純なスピードでいえばクランクベイトの方が速い。なお、一定速でゆっくり巻いた場合、1/4オンスが水深50㎝、3/8オンスが水深1m、1/2オンスが水深2m、3/4オンスが3.5mの潜行深度を目安にしている。

「ただレンジは、ロッドの角度やリトリーブ速度でも調整できる」

では、色はどうだろう。

「まず、ブレードのカラー。水がきれいなときはガンメタかシルバー。朝と夕マヅメは光量が目まぐるしく変わるんですが、薄暗いときならコパー。斜めから光が差し込み、微粒子かプランクトンが反射して光の刺す角度で濁りが入っているように見えるときもコパーがいい。雨や風で完全に濁りが入っていてシルエットをはっきり出したいときはブラックですね」

ボディカラーはどうだろう。

「アベンジスピンは、ブレードカラーを使用状況にあわせて選択すれば、ボディカラーは必然的に状況にあったカラーとなるようにセッティングしているので、ブレードカラーで選ぶのが間違いないです」

ブレードのカラーとボディカラーは想定される使用条件を加味してバランスのよいセレクトがされている

GAMAKATSU(がまかつ)

1955年創業。大阪府大阪市に本社を置き、シンガポールに本店を置く。釣り竿、釣り針、ウェアなどをメインに製品を開発・製造・販売を行っており、ルアー部門では「ラグゼ シリーズ」が有名である。
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