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ベイトリールの心臓部!ZPIスプール生産現場に潜入取材

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ベイトリールのキャスト性能に最も影響を与えるパーツはスプールで間違いないだろう。

ZPIといえばカスタムパーツ専門メーカー時代から高精度スプールを世に放ち、多くのアングラーを魅了してきた。そして、総合メーカーとなった現在でもその血脈はアルカンセリールへと繋がれている。

アルカンセリールの特長についてはルアニューでも度々紹介してきた。

今回はそのアルカンセリールの心臓部であるスプールの生産現場に潜入取材。

圧倒的な「飛び」と「トラブルフリー」を両立するスプールの秘密をレポートする。

※企業秘密により鮮明にお見せできない画像がある点をご了承下さい

切れ味抜群のキャストフィールで愛用者急増中のアルカンセリール

組立&検品工場に潜入!

駐車場には大型四駆がズラリ。スタッフのバスフィッシング熱が伝わってくる

今回潜入したのは、三重県鈴鹿市にある組立&検品工場。

カーレースの本場、鈴鹿サーキットの正面にあるこの工場は本社事務所の役割も兼ねているという。

品質管理チーフのT氏と対面

迎えてくれたのは、品質管理チーフを務めるT氏。

もちろん釣り好きで、自他共に認めるタックルコレクターでもあるという。

スプールに込められた思いをT氏に伺った。

最近はエリアフィッシングにもハマっているというT氏

T氏「特別なことは何もしていません。開発スタッフや契約プロの方々が入念なテストを繰り返して製品を完成させる。それを量産する際に、全ての製品がバラつきなく高いパフォーマンスを発揮してくれるように、設計通りに組立てを行い、正しい寸法に出来上がっているか検査する。それが私の仕事になります。作業の一部を実際にお見せしましょう。」

T氏はそう言うと組立て前のスプール部品を持ってきてくれた。

組み立てを待つ部品たち

超軽量スプールがもたらす圧倒的レスポンス

最初に見せてもらったのはスプール本体部分。

外観検査を終えたばかりというスプールを手渡されると、まず一番の驚きはその衝撃的な軽さ。スプール単体の重量はなんと4gを下回るという。

アルマイトの僅かなムラ等は最初のこの検査で不良と判定される

T氏「A7075という超々ジュラルミン素材でできています。無垢材のA7075を削り出し加工して、超軽量と高剛性という相反する要素を高いレベルで実現しています。

強度計算を十分にした上で、不必要な安全マージンを削ることによってキャスト時の圧倒的なレスポンスの良さに繋がっているのです」

軽さ、精度、剛性。全てにおいて妥協のないスプール

スプールの軽さはキャスト時のバックラッシュのしづらさ、つまりトラブルフリーにも貢献しているという。

T氏「軽いスプールほどブレーキの効きも良くなります。パッと素早く立ち上がり、止めたい時にはピタッと止まる。雄大プロもyoutubeの動画で紹介してくれていますが、荷物満載の車と空荷の車、どちらがコントロールしやすいかを考えれば軽いスプールがいかに大切かイメージできると思います」

続いて見せてもらったのはメインシャフト。こちらはスプールと違う素材感がある。

ステンレス製のメインシャフト

シャフト検査。最も神経を尖らせる工程

T氏「メインシャフトはとにかく剛性と精度が命。強度の高いステンレス素材でできています。文字通り回転の軸になる部分なので、僅かな妥協も許されない部分です」

メインシャフトは組付け前に寸法検査を実施し、社内の基準を満たしているか厳しくチェック。検査に用いるマイクロメーターは1/1000mm(0.001mm)まで測定可能な超高精度タイプを使用しているとの事。

軽量スプールと高精度シャフトのコンビネーションによって、安定した回転を作り出しているようだ。

スプールとメインシャフトそれぞれが検査をクリアした後、組付け作業に移る。

スプール軸に圧入したメインシャフトを専用の接着剤で固定していく。

ここまで来たら後は残りのパーツを取付けして完成!と思いきや、まだ検査があるらしい。

T氏「メインシャフトの接着後、回転ブレの検査が入ります。この検査機は詳しくはお見せできないのですが、こちらを使って回転するスプールにブレやバラつきが無いかを検査していきます。既に寸法を確認した部品同士を組み合わせているので、NGが出る事はほぼありません。が、接着にも人の手が加わっているので万が一の思わぬミスが無いとは言い切れない。念には念を入れての検査になります。」

こちらは1/100mm単位でバラつきを計測していく。測定機器は企業秘密のためモザイク加工済

回転ブレの検査をクリアしたら、今度こそ仕上げの段階へ。

ブレーキディスクとベアリングを取付けしていく。

全ての部品の取付けが終わると、全数の外観検査を実施して遂にスプールが完成!

T氏「このスプールの作り方はカスタムパーツ時代から守り続けてきたやり方。正直、コストは掛かりますが、高品質なリールをアングラーの方々に届けるためには譲れない部分でもあります。ZPIのリールを通じて多くのアングラーが良い釣りを出来るよう祈っています。」

ZPIのキャストフィールの秘密を垣間見た一日となった。

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ZPI(ジー・ピー・アイ) プロフィール

元々はカスタムチューンメーカーとして高い評価を受けていたZPI。2019年、ZPIは総合釣具メーカーへと生まれ変わった。元来の技術力の高さを生かしたリール「アルカンセ」を皮切りに、リールのみならずロッドもリリース。「アルカンセシリーズ」としてバスフィッシング界で新たな注目株となっている。また、偏光グラス「エアエピック」やフック「EZオフセット」など、分かりやすく使いやすい、それでいてハイスペックなアイテムをさらに拡大中。社名の由来は「Z Performance Technology Inc.」Z:究極の、Performance Technology:性能・技術、Inc.:会社。
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