青物が増えている
青物が増えている。
10年前と比べるまでもなく青物が増えている。大阪湾では、いまやシーバスと青物の数は逆転していて、関西エリアではシーバスが釣れていたポイントで青物が釣れるようになった。
そう話すのは宮川靖氏。関西を代表するシーバスアングラーであり、シーバス攻略メソッドをライトショアジギングにも応用する同氏に話を聞いた。
「数年前に『青物の大阪湾』を造り出そうとブリの子供のモジャコを放流したり、ブリの養殖が低迷していてモジャコ漁の漁獲が減少したのが原因ではないかと考えています。いまで尼崎フェニックスでブリが釣れたり、武庫川の河口のシャローで90㎝のサワラが釣れるようになりました。湾のかなり奥まで青物が入ってきている現状です」
湾奥の青物は気難しくセレクティブ
青物が身近なフィールドで釣れる。こんなに喜ばしいことはないが、難しい一面もある。
「磯の青物と大阪湾の中に入った青物では性格が違う。青物がシーバス化するんです。磯のメジロはルアーを見つけるとすっ飛んでくるイメージですが、湾奥のメジロはセレクティブでナーバスです。これは水深が関係していると思っているのですが、大阪湾のポイントはフラットで水深10m程度と浅い。その影響で習性が変わるのではないか。あるいは、ベイトフィッシュがカタクチイワシになることやハイプレッシャー化することが原因かもしれない」
ともかく気難しくなる。
青物ゲーム・ショアジギングという言葉から想像されるようなハードでヘビーなタックルが通用しづらい。
「アーバン青物という言い回しが浸透しているかはともかく、大阪湾のライトショアジギは繊細でシビアです。すごい人ですからね。人気の沖堤防になると営業開始時間に行っても朝一番の渡船に乗ることができないくらいです」
ルアーローテが必須に
メタルジグの標準サイズは、20~60g。60gはほとんど出番がなく、メインは30g。
「基本、ギャロップを使ってましたが、今はあまりメジャーではないのですが、ドランクレイジーのパールダイバーを使用しています。このジグもヒラヒラ感がめちゃいい感じでスイミングします」
ショートピッチのジャカジャカ巻きと超スローのワンピッチジャークを交互に試すのが宮川流。ただメタルジグも1日中、活躍するわけではない。
「朝一、ナブラ狙いで水面の早巻き。その後、中層やボトムからのシャクり上げでも効果はありますが、青物がシーバス化するというのはシーバスのルアーが効果的になるということです。メタルジグだけではカバーできない時間帯がある」
ジグからメタルバイブにローテーションする。メタルバイブで反応がなくなったらスピンテールを投入する。
「だんだんとスピードがスローになる。ブレードは表層のただ巻き、中層からの巻き上げ、中層でのリフト&フォールと多彩な攻めが可能です。フォールはフリーフォールでもカーブフォールでも反応があるのでどちらも試します」
スピンテールは、ネクストスピン。また、プラグの出番もある。
「ダイビングミノーのセットアッパーは世間の評価が高いですね。中層に潜るんですが、シーバスルアーの感覚からすると動きが大きい。この大きめの動きが青物にちょうどいい感じですね。深めに潜るレンジと大きめのアクションは、マヅメの時合いが過ぎた堤防で効きます。中層をのんびりクルーズしているような、ニュートラルな活性のメジロの口元を通過するとバイトが出る」
ほかにはポッパーとペンシルベイト。
「近年、マイワシが増えているんですよ。カタクチイワシに比べて大きい。だから大きいルアーの出番が増えていますね。ポッパーならポップクイーン130とドラドポッパー。ガポンと音を立てて止めて浮いた瞬間に食う。遠くから連れてくる力があります。ペンシルはエバーグリーンのバス用ルアーですがシャワーブローズをよく使います。ヒラマサを釣った実績もあります。ペンシルは、一か所でネチネチとドッグウォークさせるイメージでリトリーブはスローに操作します」
ルアーカラーはシルバーベースを軸に
ルアーのカラーはシルバー系がベースになる。
「シーバスだとゴールドベースでもいいんですが、同じ場所で釣る場合にも青物を釣るならシルバーベースがいいです。釣り比べた結果、ゴールドよりもシルバーの方が反応がよかった。目の構造がシーバスとは違うんでしょうね。コンスタンギーゴというシルバーベースにオレンジの縦ジマカラー。これが妙に調子がいいですね」
フックの基本セッティング
フックはトレブルRB MHをセットする。ルアーのバランスで前後のフックが干渉する場合には、トレブルSP MHを使うこともある。
青物にはMHよりもHのフックが向くように思うかもしれないが、ロッドがミディアムクラスの場合は、トレブルRB MHの方が一番バレにくいところまで深く刺さりこみやすい。
深く刺さってしまえばブリクラスでも、バレるほど伸びることは少ない。
繊細さを求めたタックルセレクト
ダイナミックな攻略よりは繊細さを求められるため、ヘビーさやタフさよりもシビアな操作性を優先したタックルが宮川流セレクト。
「まず、長さですが9.6フィートですね。10フィートでもいいですが、11フィート以上の長さは、足場のよい港湾部では出番が少ないです。短い方が軽く疲れず1日中振り回すことができるのでチャンスも増えます。短いほどリトリーブコースやアクションの微調整が可能なので、神経質な都会の青物には欠かせません。磯と違って根に入られることはないので、港湾・沖堤ならシーバス同様に9.6フィートが使いやすいです」
シーバス用ルアーから青物ルアーまでキャストするとなると、1本ですべてをカバーするのは難しい。
「強さはMとMHの2種類はあった方がいいです。30g前後のジグやシーバス用のメタルバイブ、スピンテールならM。13cmオーバーのボリュームのあるプラグや60gのジグならMHを使います。それ以上の強さは、大阪湾では僕は出番がないですね。ブリクラスでも十分に取り込めます。10フィート、10.6フィートは足場が高めの沖堤防や磯、サーフで出番があります。静岡のサーフとか、ブリが釣れたりするような場所ではコヨーテ100MHがぴったりですよね」
MスタートでMHにスイッチ。ロッドの長さや強さの他、機種もある。ラグゼでいえば、チータR3、コヨーテ、コヨーテS。
圧倒的な操作感のラグゼ・チータR3
出典:ラグゼ
「チータは圧倒的に操作性がいい。感度が必要な時に。ともかくシャープですね。主にシーバスがメインで青物が混じるときに。ハマチ、サゴシ、シーバスがメインターゲットです。
一方、コヨーテシリーズは生粋のライトショアジギロッド。チータと比べてティップセクションにパワーがあり、青物用のジグやプラグがキャストしやすい。
【ラグゼ・チータR3の公式製品ページは→コチラ】
ファイトの安定感と高い感度
激戦区の武器となるコヨーテ
出典:ラグゼ
「コヨーテは万が一、ブリクラスが掛かっても安心。ここ近年の大阪湾ではサワラの80~100cmは普通に回っています。青物を意識したロッドなので無茶が効く。ハマチ、メジロ、ブリ、サワラを狙うならコヨーテですね」
コヨーテは中上級者向け。トレカT1100Gという強度の高い高弾性素材を用いることで、ショアジギングロッドにありがちな持ち重りを排除している。持って軽く、感度も高い。
1日中、キャストやジャークを繰り返すショアジギングでは、この軽さが体の負担を軽減してくれる。もちろん、ファイト時にはトルクフルなファイトが可能。
また、気難しいメジロのチェイスを敏感に感じることができる感度が激戦区では武器になる。
【ラグゼ・コヨーテの公式製品ページは→コチラ】
高性能エントリーモデル
コヨーテS
コヨーテSは、ラグゼに新しく加わったSシリーズのショアジギングモデル。エントリーモデルながら、ライトショアジギングシーンを幅広くカバーするラインナップ。少しマイルドな味付けとなっていて、テスターの中には素直なベンディングカーブは曲げていて気持ちがいい、魚がバレにくいと高評価なニューモデル。
【ラグゼ・コヨーテSの公式製品ページは→コチラ】