この後ろ姿は…。
………
振り向けば…
いそっち!
いそっちこと、ラグゼプロスタッフ礒村雅俊さんである。
ルアーニュースでもおなじみのプロアングラー。
ところがバスをキャッチしたルアー、これが全然おなじみではない。
実はコレ、ラグゼの新ブランドAVENGE(アベンジ)から出されるクランクベイトのプロト。
ラグゼの公式インスタグラムやラグゼスタッフのSNSなどで、アングラーを興奮させる(!?)ボカシがかかっていたルアーがコレ。
最終段階に入っているものの、細部をさらに詰めて「永く愛されるクランクベイト」を目指し、リリースはまだ先になる。
いよいよベールを脱いだ、いや脱ぎかけではあるのだが、そんなアベンジクランク(便宜上、そう表記する)についてコンセプトなどを礒村雅俊さんに直撃した。
ディープクランキング
まずアベンジクランクは4mダイバーとなるようで、いわゆるディープクランクといえる。
琵琶湖をはじめとするビッグレイクでも、特にウイードエリアのディープクランキングはひとつのキーとなっていると感じる。
アベンジクランクはロングキャストして、巻いて潜らせ、そしてウイードにコンタクトしたら止める、すると少しキックバックしてリアクション的にバイトを誘発させるという。
ウイードへのタッチ感、これに加えて巻き抵抗は軽く、さらには手元に伝わるルアーの動き(振動)が非常に伝わりやすい、「全部乗せ」なディープクランクになるという。
言葉にすると実にサラッとしてしまうが、その難易度は高い。いわば上級者のディープクランキングを誰もが出せる、そんな課題に挑んでいるのがアベンジクランクである。
非常に高い「ウイードへのタッチ感」
礒村さんはこう語る。
「アベンジクランクはまずウイードへのタッチ感が非常に高いです。ウィードに当たった感触がスゴく分かりやすい。ウイードにタッチしたら止める、これにはまず、ウイードにタッチしたことが分からないといけないのです」
実際にディープクランキングをしていると、回収した時にウイードが付いていて「えっこんな拾ってた?」なんてことは〝あるある〟ではないだろうか。釣れないばかりか、魚をスレさせる原因にもなる。
ウイードタッチが明確になれば、その後の止める・ほぐすといった動作にも自信をもって移れる。「タッチしたかな?いや勘違いかな?と疑心暗鬼な状態が一番よくないのですが、ディープクランキングではそういった場面が思いのほかあると感じている皆さんが多いと思います」と礒村さん。
リップ先端の面でウィードタッチを感じる
リップはディープクランクでは少ない、先端がカットされたような形状で面を持つ。
これによりウイードにタッチした時に面で若干押し込むようになり、負荷が伝わるのでタッチしたことが非常に分かりやすいのだという。
もちろん先端が丸いリップはウイードを縫っていく性能に長ける。しかし、そういったクランクで「ウイードをすり抜けたな」と感じ取れる中・上級者はよいが、実際のところ「すり抜けたことに気づかない」ことも少なくなく、それは好ポイントにルアーが入ったことに気づかないことにもつながる。
そこでアベンジクランクでは面でウイードを受けるフラットな面を設け、それでいてほどよいスリ抜け感も有しているという。
ウイードに対する絶妙なスタック感、これがアベンジクランクのリップ形状である。
引き抵抗は軽く、手元には大きくアクションが伝わる
そしてもうひとつ磯村さんが求めたのは、引き抵抗の軽さとそれでいて手元にはブルルルッと細かく伝わるアクション。
これまでのディープクランクに引き抵抗の重さを感じていたという礒村さん。
今一度上の写真を見てもらうと、リップとボディの接続部はかなり細く、最も広い部分から急テーパーだ。ほかのディープクランクではパッと思い浮かばないほどの細い付け根部分は、広い面で受けた水を受け流し、非常に軽い巻き心地を得られるという。
さらには、これによりウォブルのみならず若干のロールアクション(軽いヒネリ)が生まれ魚を呼ぶ力が生まれたという(しっかりリアがはためく)。
ささ濁りといった「ディープクランクを使うか迷うな…」といった条件でもルアーパワーがあるためバイトが増えているのは、そんなところが要因といえる。
そしてリップの厚みは比較的薄めで、そういったアクションに「キレ」をさらに加える仕様になっている。
礒村さんは「コレは実際に世に出て使ってもらうと分かると思いますが…」と苦笑した上で、「シャッドのような高音な感じが伝わる」という。
高音で手に伝わる振動は、シャッドのようだという。
早く試してみたくなるではないか(笑)。
浅めの潜行角度で中層バイトを拾う
またリップの角度は浅め。潜行する角度も比較的緩やか。角度については良し悪しあるが、そこには狙いがある。アベンジクランクが狙ったのは中層バイトの増加。
一気にボトムへ向かうのではないため、中層のバイトが拾いやすく、また見せる時間が長くなるため下からの突き上げバイトも増したという。
アイの高さが性能を決定付けた
そうした巻き抵抗の軽さ、手元に伝わる振動、ウイードのタッチ感を完成させたのがアイの高さ。
リップ、ボディ、アイの位置や相互関係を見ながらテストを続けながら、アイのちょっとした高さの違いが実際に感じる動きや手元に伝わる振動に大きく作用したという。
現場では何度も調整され、上の写真は礒村さんがライターであぶり高さを調整していった時のものだ。
またウイードに当てて止めると自動的に若干のキックバックを見せるよう、やや後方に浮力を持たせているそうで、高いウイードタッチ感で当てたら止める、基本的にはこれだけで使える「万人に使いやすい、上級者のテクが出せる」アベンジらしいクランクとなる。
ここまできてようやくプロトも最終段階に入っているアベンジ。
ウエイトは固定重心のほかにタングステンボールが1つ内蔵され、フックにはトレブルRB-Mの#3(ナノスムースコート)がつく予定だという。
出典:ラグゼ
さて、ディープクランクには苦手意識を持っているアングラーの皆さんも多いと思う(ワタクシもです…)。
敬遠しがちだったディープクランクを、「これならできそう!巻いてみたい」と思わせる礒村さんの口ぶりであった。
ここまで書いておいてアレですが…。
発売は少し、いや結構先です(笑)。首を長くして待ちましょう!!
ロッド:ラグゼイフリートB70MH-F
リール:スティーズA TW 5.3
※匠ベアリング・メイン本多式、ハンドル自転式
ライン:フロロドレイク14lb
ルアー:アベンジクランク
ロッドにはトレカT1100Gとナノアロイ技術適用樹脂を採用したイフリートB70MH-Fをセレクト。ディープクランク、スイムジグ。5/8ozまでのスピナーベイトなど、ミディアムヘビーパワーで扱えるルアーに広く対応するバーサタイル。