アベンジバイブだからできること
もうひとつはアベンジバイブ。
「知らない池でいきなりワームを投げてしまうと、テンポが遅いし、探れる範囲が限られてしまう」
限りなく根掛かりしにくいアベンジバイブを投げることで、ボトムの情報を集めながら釣りをすることができる。
「これはアベンジバイブの特徴で、根掛かりしにくいことと、手元に微細な振動が伝わりやすくしてあることで、何かに当たった時にはっきりと感じやすいんです。こればっかりはバイブレーションだったらなんでもいいというわけにはいかないですね。アベンジバイブは可能です」

アベンジバイブとアベンジ66Mのコンビで投げたおす赤松。リトリーブスピードはスローでもアクションするが、今回はノーマルギアのベイトリールでステディリトリーブだった
「アタッ……あっ」
池の中央部。狙いすましたピンポイントで異変を感じるも、乗らない。
「バイブレーションには、ちょっと澄みすぎなんですよ、水色が。クリアに近い。こうなると、本来はワームがいい。プラグで釣りたいならミノーかトップ。季節を考慮すればミノーでしょうね」
だが、この日の気分はバイブな赤松。
「バイブレーションは濁りの入った水色に強いルアーです。見えない距離から存在感をアクションと音でアピールし、見えた瞬間にリアクションで食う。ミノーのように、見せて止めて釣るルアーじゃないので、どクリアな池では見破られやすい。それならば、光量の落ちる夕マヅメに入りなおしましょう」
池を一周し、これ以上、プレッシャーをかけるとバスがナーバスになる。そう見切ろうとした赤松の目に飛び込んできたのは岸際に寄せられた枯れたウィード。

岸際に密集する枯草は夜に強風が吹いた証。ため池の水位を上昇させた流れ込みもあり、おまけに風が巻き上げたのか濁りも入っていた
スペシャルステージにて、春バス現る
「!!! これ、夜の間中、強風が吹き荒れていたということです。しかも、風の当たるこちらの面だけ濁りが入っている。あっ、ごく小規模ですが流れ込みもありますね」
池の端っこにあたるドシャローでいつもなら見向きもしないポイント。数日前に訪れた時も、干上がっているとまではいわないが、減水していて魚がいないのは目に見える状況だった。
それが前日の雨と、雨が上がった後の暴風で期間限定のスペシャルステージになっている、かもしれない。
慎重に、それでいて大胆にそのインレット(流れ込み)にキャストする赤松。インレット際30cmに1発で決まった。すかさずリトリーブに入る。ルアーはアベンジバイブ。
3巻き目……
「ヒット! おっしゃ、デカい。あ、ヤバイ、バレる」
まだまだ本調子ではないバスがあわててバイトした感触があった。テールフックに掛かっているとファイト開始と同時に赤松がいう。

左右へ移動しながらバスをいなし、慎重に取り込む。テールフック1本のフッキングだけに無理はできない
それがアベンジ66Mの感度なのか、アベンジバイブの情報収集能力なのか、それとも赤松の腕なのか。左右にロッドを寝かせ、自身も右へ左へと移動しながら、不要に走らせず、跳ねさせずに取り込んだのは、47㎝の極太い真っ黒なメスのバスだった。(写真・文 がまかつ)

丸い、太い、黒い。早春ながらコンディション抜群のバスが出た。47cmのメスバスだった
