カバー最強のワームが欲しい。
そう河辺さんに伝えたのは2010年の暮れでした。この年、某紙のオールスター戦、前年度が準優勝で、今年こそはと気合を入れてのトーナメントでしたが、増水した霞ケ浦、妙技水道の葦で、バッティングした選手にことごとく釣り負けてしまい、後にも先にもオールスターで一番悪い成績となってしまいました。
それまで、葦撃ちにはそれなりに自信も持っていました。なので、この悔しさは半端なかったと覚えています。
小森 嗣彦(Tsuguhiko Komori ) プロフィール
カバー最強のワームができるまで
葦撃ちのテキサスリグと言えば、この頃の私はゲーリーベビークロー一択でした。もちろん今でもよく釣れるワームですし、これでトーナメントの上位に行ったことは何度もあります。
しかし、葦、カバー撃ちと言っても、それはルアーを入れたらパクリと食べてくれるバスばかりではありません。確かにそこに居るのだが、落とすだけでは反応しない、そのバスを釣りたいのです。
オールスターでは水温の下がり始める秋だっただけに、そういった特殊な食わせ方にアジャストできなかったのが敗因でした。
葦やカバーに着く魚にはバイトの仕方が何パターンかあります。
①”落ちパク”パターン
さきほど話した、入れたらパクリ、すなわち落ちパクです。バスが元気だとこれが大半ですが、この場合はルアーがフォール中にアピールをするもの、あるいはバックスライドなどで釣果に差が出せます。
②着底後にバイトするパターン
ルアーが着底してからバスが反応する場合もあります。この時、バスは落ちてくるルアーを見ているので、フォールの姿勢、アクションと着底後の姿勢がキモになります。
③ボトム付近でアクションをさせてバイトするパターン
渋いときはボトム付近で少し誘って、ようやく食ってくるときもあります。これは最近ではカバーネコなどで狙っていますが、テキサスリグならば微波動の出せる小さいパーツが多いワームが良効果的でしょう。
④ピックアップ時にバイトするパターン
ピックアップ時に誘うもの。この場合もパーツがとにかく動いて欲しいですね。
⑤吊るし系パターン
中層~表層のレンジで誘ってバイト。
私が得意としていたテキサスリグでは、このピックアップとこの二つが比較的弱点にあると感じていましたし、惨敗したオールスターはまさに⑤のシーンでした。
しかし、1つでこの①∼⑤全てをチェックできるワームとなると、当時実はほとんどなかったことは、その後の検証でも明らかに。 でも…もし、ひとつのルアーでこれが全てできたら…それはチェックも早くなるし、効率が良くなる。ステキですよね?
カバー最強のワームの開発に当たっては、徹底して既存のワームで釣りをし、この①~⑤のパターンで「どのワームが、どこでのバイトが多いのか」を何日もかけて検証しました。 そうしたデータを元に、どんな条件でもバスに口を使わせることができることを目指して生まれたのが、この”モコリークロー”なんです。