始まりは延べ竿だった。ロッド作りに携わって40年、レオン”加来匠” ロッドを語る。
いくつかのプロダクトを進める中で、最も楽しく最も難しいのがロッド。
プラグやワームその他を作るのもとても楽しいし難しい局面もあるのだが、釣具の中で「右腕」とか「相棒」と呼べる立ち位置に相当するのは、やはり釣り竿だろう。
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レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
楽しくて難しいロッド作り
僕が最初に竿作りの一環にたずさわったのは相当古い。もう40年も昔のことになる。当時師事を受けていた師が大手メーカーから依頼されて着手した、カーボン製のメバル用延べ竿がソレだった。
まだメバル専用の竿は延べ竿ですら無い時代の話で、僕らは渓流竿やヘラブナ竿を代用していた。そんな時代に、専用竿の開発チームの一環に位置づけて貰えた僕は実に幸せだった…。
そしてそれから20年の時を超え、今度は僕が主幹となってメバル専用のルアーロッドを手掛けさせて貰える事となった。声を掛けて下さったのはブリーデン社だった。
そしてこの時代もまだ専用品に納得が出来るものが無く、僕がそれまで使用していたのは、チヌ筏竿のティップを20cmほど落としてガイドを付け替えた自作のカスタムロッドであるし、また気に入ったバスロッドのLクラスなどを代用していた。
そうしてでき上がった三本のロッドはそれまでのライトゲームロッドの流れを一気に変え、「ブラック3兄弟」と呼ばれて多くのメバルファンを虜にし、現在でもその人気を保ち続けているTRシリーズの68ストレンジ、74エレクトロ、83ディープだった。
とまあ、前書きがとても長くなったのですが…(笑)
何を言いたいかというと、僕のモノ作りには背骨に一貫して流し込んでいる骨子という物があるのです。
それは伝統と最先端の融合です。つまり温故知新でもあります。
特に釣り竿に関してはこの観念は忘れてはならない物だと僕は思っているのです。 お江戸の時代から先達(日本の釣り師たち)が長い年月を通して熟成させてきた釣り竿理論には「普遍の物理的真理」という物が存在するからです。
つまり、投げる。操る。感じる。掛ける。いなす。浮かせる。寄せる。取り込む。抜く。という一連の作業に必要な要素(物理)には古いも新しいも無いのです。 いくら時代が進んでも、新しくなったのは素材や組み立てる技術であって、決して釣るための物理理論が進化したわけでは無いのです。何せ普遍の真理なのですから(笑)
したがって僕がやる作業は、釣り竿作りに必要な新素材や新技術の存在を踏まえ、また対象魚の特性や使用するルアーの特性も踏まえ、どうこの普遍真理を融合させるかなのです。 これこそが長年釣具の変遷を実体感してきた僕の仕事だとさえ思えるのです。
ということで、ガンガン前に進んでいます。現在スピニング3機種、ベイト2機種のロッド企画が進んでおりまして、それぞれの開発スピードに差異はあるものの、日々楽しく取り組んでいる毎日です。
そして今回チラッとお見せ出来るのは、完成形(量産型)前のプロトではありますが、先がしっかりと見えた二本。おそらくこの2機種が最も早くリリース出来ることになります。
双方共にベイトモデルですが、一本はレングス710の「FXB-GP710ML GARIMPEIRO」 。
これは、我々ライトゲーマーが港湾部などへ釣りに行って遭遇するおおむね最大級の魚、つまりシーバス、オオモンハタ、キジハタ、マダイ、ヒラメ、マゴチ、クロソイなど普段のライトゲームでは大物ゲストと称される魚達に的を絞ったロッドです。だから名前もガリンペイロ。つまり大物発掘人なのです。陸からもボートからも取り回し出来るレングスと、カサゴクラスの小物からランカーシーバスまで幅広い対応力を持つロッドです。
そして、次の一本は真逆のテイストで5.2フィートのショートロッドFXB-ES52UL el SERA です。
コチラは携帯性と軽快さに加え、メバルやカサゴや小ハタなどいつもの獲物達とスリリングなやりとりを楽しむロッド、エルセーラ。 堤防から。源流で。野池で。また、そのピンキャス能力を活かしてボートからの穴打ちなど。これはこれでキャストもとても楽しめるULロッドに仕上がってきています。
発売までにはまだまだ1年近く掛かるでしょうが、二本のプロトを使った実釣動画をお楽しみください。