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数々の名作を世に送り出した「34(サーティフォー)」のモノづくりへのコダワリとは

連載:家邊克己の「週刊!アジングマニアックス」
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ジグヘッドができるまで

ジグヘッドを作るために最初にやることは、作ろうとするジグヘッドの線径と長さを決め、アイ(リーダーなどを結ぶ丸い穴)と針先と返し(魚がハズれないようにする部分でバーブともいう)を付けてもらった生バリ(焼入れしていない柔らかい鋼材)をもらい、それを適当に思いつくままに曲げていくことからはじまります。

大体50種類ほど思いつくがままに曲げていきながら作成。ただし、アジのジグヘッドを作る場合「ある条件」があります。

過去にアジのアタリのメカニズムを分析したのですが、その中で分かったことがあり、それ以来34のアジングフックの形状には1つの約束事ができました。

ある時、水面下に浮いているアジを釣りながらよく観察していると、ワームを吸い込んだり吐き出したりしているのを発見。

しかしロッドには何も伝わってくることはありません。ロッドが原因かもしれないと色々なロッドを取り替えても結果は変わらず不思議に思いました。

後日、水槽に飼ってあるアジの前でビデオカメラを置き、糸につけたワームを垂らし、アジの口にどのようワームが入るのかを観察。

 

するとアジが口に入れて吐き出すまでの時間、平均0.2秒と凄まじいスピードであることが判明。

人間の反射神経では絶対に反応できない速さで吐き出していました。少なくともアジがワームを吸い込んだ瞬間にアワセることは人間業ではまず不可能。

それでは僕らが感じる「コンッ」という金属で石を叩いたようなアタリの感覚は何なのだろう? と観察を続けることに。

すると、アジが喉の奥までワームを入れてしまい、吐き出せない個体がエラを開き、首を振りながら必死で吐き出そうとしている光景を目の当たりにしました。

このようなアジがワームを吐き出す時間は平均3秒。この時間なら例えば10m沖の5mの水深のボトムであっても私たちが反応するには十分な時間。

さらに観察を続けると、このようなアジが結構居ることが判明。盛んに吐き出そうと、もがいていました。

アタリの正体はアジが吐き出せない時に出されるシグナルだと、この時に初めて分かりました。

とするならば、吐き出せなくするとアタリの数は必然的に増えるハズ。

それを実現させるには既存の針の形状ではなく、まったく新しい形状を考えることが必要。

通常の針は「いかに違和感なく飲み込みやすいか」を追求していて、「吐き出しにくさ」を追求した針は、その当時は1本もありませんでした。

そこで生バリをもらって自分で曲げるようになったわけです。

吐き出しにくい針形状=フトコロを広く(オープンゲイブと言い今では当たり前のアジングフック形状になっていますが)針先を外に少し向けることで、アジが吸い込んだ時に喉のどこかに針先が触れて吐き出せなくする形状。

これこそが34におけるジグヘッドの絶対条件です。アジの収餌方法がその辺りのものを丸ごと吸い込むので、吸い込みやすさを考える必要がなくなり、オープンゲイブ形状が成り立ったわけです。

 

何度もテストを重ねてジグヘッドが完成する

様々な形に曲げた針を焼いてもらい、海でテストをします。その際のテストは、僕1人で数を釣らなければならないので、現在は福岡県にいるので「壱岐(いき)」に行きますが、昔は愛媛県の近くでしたので、愛媛でテストをして50種類の針を10種類くらいに絞り込んでいました。

グリッターヘッドのプロト写真

グリッターヘッドのプロト写真

 

その10種類を今度は5本ずつ同じ形状に曲げ、スタッフと一緒にそれぞれがテストをして3種類まで厳選。

その3種類をまた、それぞれ10本ずつ曲げて今度は10人でテストをし、最終は1種類に絞り込み最終形状を決めます。

フックの形状が決まれば今度はヘッドのデザインを考えます。フック形状により、ヘッドの形状も変わるのでフックが決まるまではヘッドデザインはできません。

すべてのジグヘッドをこのようにして作っていくので、かなり時間がかかります。

しかしこうして手間暇をかけて作ったジグヘッドは絶対の自信を持って世に出すことができるので、これは34(サーティフォー)の伝統として守り続けていきたいと思います。

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