今江克隆のルアーニュースクラブR 第975回「令和時代のロッド最先端情報」の巻
ブランクス選びとパーツ選び
まぁこの「RRR」シリーズは、サンプル製作段階から全ての構成素材にプロの一切の妥協なく、とにかくコスト完全無視で好きなモノを作ってよいと言う、普通では出来ない許可のもとに製作したロッド。そこで分かったことは、全パーツに無制限に選択許可をすると、プロが選ぶ素材は、価格を見なくても結果的に最高価格の素材しか選ばないという事実である。
結局、こだわり抜くとトルザイトリングチタンフレームを選ぶし、ブランクスは三原直之も南一貴も薮田和幸も同系統の最高ランクのブランクスしか選ばなかった。
彼らが共通して選んだ「RRR」のブランクスは企業秘密なので詳しくは言えないが、構造的には通常のシート状カーボンをマンドレルに竹の子状に重ねて巻きつけたブランクスとは製法が全く異なる。
むしろ「カレイド・クワトロクロス30度狭角高密度全身ベール」に極めて近い対ネジレ特性を持つ特殊なブランクスである。
要はカーボンシートではなくテーピングに近いほどの薄く細身のシートを「ミイラ状」に巻き上げていく製法だ。これは昔から海外最高級ロッドに存在する対ネジレに高い効果を発揮する特殊な工法ではあるが、非常に製造工程が複雑で手間が掛かるため、相当な販売量と量的ディスカウント見込めない限りコストがあまりにも高すぎるのが一大欠点である。
ブラック塗装の三原の「バトルクライ」では見えないが、クリア塗装の南や薮田の「RRR」では、その特徴的なカーボン刃紋がまるで匠の柳刃包丁のように美しい。
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