デザイナーに赤松拓磨を迎え、妥協なき体制に
冒頭で述べた、モニターを見つめていた男。この男性が「アベンジ」のキーパーソン赤松拓磨氏(27)だ。
アベンジはデザイナーとして赤松氏を迎えたのである。
赤松氏は図面作成から削り出しまで、ルアーを「創る」過程を一手に引き受けているのだが、この意味は大きく、アベンジのルアーはゼロから生み出し、それらが世に出るまで自社でできるようになった。
当然、製品の微調整もスピーディーかつダイレクトに、妥協なく行える体制が整ったわけである。
さて、キーパーソン・赤松氏にアベンジについての想いや、今後の展開をお聞きしたので紹介したい。
使い手を選ばない、使って楽しいルアー
アベンジのルアーデザイナーとして迎えられた赤松氏だが、「これまでのラグゼにない」という意味で、最も意識した部分はどこだったのだろうか。
「抽象的になってしまうのですが、〝親しみやすさ〟という部分は意識しました。これまでのラグゼのバスルアーというと、どちらかといえば‶使い手を選ぶ〟ような物が多かった気がしました。うまく使いこなせる腕達者な人はよいのですが、バスフィッシングを楽しんでいる人って、ガチ勢(笑)だけじゃありませんよね。月並みな言葉になりますが、〝もっと気軽に〟アベンジルアーを手にバス釣りを楽しんでほしいなと思っています」
裏を返せば、プロ・上級者にしか出せなかった釣れるアクションを誰もが出せるルアーを創るという意味でもある。
「特別な技量がなくても誰もが扱いやすい、ある意味‶オーソドックス〟なルアーを作りたいなと思っています。この人が使えば釣れるではなく、このルアーを使うと釣れるというのが理想ですよね」
もちろん、そのことが高難度であることも理解している。
「ルアーを見ただけで、何となくこういう動きでこう使うんだろうなと分かる人もいますし、分からない人もいます。どちらの人が使っても、使いやすくて、それでいて魚も釣れる。ハードルは高いのですが、その上で、使っていて楽しい気分になれるルアーが好きです。釣れるけど、なんか釣った感がボヤけたり、使っていて楽しくないルアーは作りたくないですね(笑)」と志は高い。
また、アベンジの具体的な製品展開としてはオカッパリ用アイテムの充実をさせていくと話す。
「誰もが使いやすいルアーとなれば、やはりオカッパリ、ため池などでバス釣りを楽しむアングラーは常に意識しながら、そこは充実させていきたいですね」
そう話してくれた赤松氏。
どうやらアベンジは、これまでラグゼのバスアイテムが少しだけ置いてけぼりにしてしまった感のある、スターターやライト層も視野に入れた製品をリリースしていくようだ…‶親しみ〟を込めて。
さて、それでは次に、実際に2020年に発売が予定されている製品をいくつか見ていきたい。