今江克隆のルアーニュースクラブR 第971回「なぜ三原直之はここまで釣るのか?」の巻
藤田京弥選手との熾烈な争い
ちなみに三原は、TOP50シリーズでのAOY争いでは開幕戦から最終戦までトップを独走してきたが、経験の浅い晩秋のスモールマウスがターゲットとなった桧原湖戦で藤田京弥選手に逆転を許し、無念の2位となった。
しかしながら、振り返ってみると昨年第4戦桧原湖で入賞して以来、2018スーパーバスクラシックを「ジンクスミニ」の早巻きで藤田京弥選手に惜敗の準優勝。
その後、2019年開幕戦JBTOP50七色ダムではその悔しさを見事に晴らし「ギルロイドJr」を爆発させTOP50初優勝。続くJB2東条湖でも優勝。続いてTOP50第2戦遠賀川を3位でクリアし、第4戦旧吉野川では再び藤田選手との熾烈な争いの末、藤田選手に惜敗の準優勝。ところがその直後、バサーオールスタークラシックの出場権を賭けた七色ダムでのワイルドカード決定戦では2位の藤田選手を下し優勝、今年は延期になってしまったがオールスター出場権をも獲得。
しかしながらTOP50最終戦でも藤田選手に完敗、AOYを最終戦で逆転され奪われてしまう、またしても悔しい結果になってしまった。
ところが若きニュータイプとも呼べる最強ライバル2人の対決はこのままでは終わらなかった。
まず三原は、先週の全日本バスプロ選手権西日本大会生野銀山湖戦で3位入賞し復活の狼煙をあげた。そして2019年最終戦JBスーパーバスクラシック河口湖、実にまだ数回しか試合経験のないワーム禁止でクセの強い河口湖で、初日4,200g、2日目5,038gという完璧なスコアでブッチギリの完全優勝を果たした。
ちなみにこの試合でも藤田京弥選手は6位、因縁の最強ニュータイプ対決は共に1年のビッグタイトルを最後に2人で分け合う「引き分け」で幕を閉じる劇的な2019年締めくくりのビッグトーナメントとなった。
本物の逸材へ
それにしても三原の昨年からの覚醒は驚異的のひと言である。
この熾烈なライバルとの切磋琢磨が、三原の眠れる才能を完全に覚醒させたといっても過言ではないだろう。
私はかつて馬淵(利治)プロのことを100年1人の逸材と評したことがあった。それほど彼の純粋な「釣り」における才能はとてつもない可能性を秘めていたと今も思う。そして偶然にもその後を継ぐようにして現れた三原にもその片鱗は見出していた。
だが、当時それは馬淵に比べるやや見劣りするかに思えたのだが、それが自分の見誤りだったことを今は確信している。
三原の才能と力は、その戦績からもすでに馬淵に勝るとも劣らない「本物の逸材」に完全覚醒したと断言していいだろう。
三原直之、覚醒の理由