今江克隆のルアーニュースクラブR 第968回「引退を決意して初めて見えた真実〜2019年最終戦閉幕〜」の巻
あっけない幕切れ
100%、30位以内など絶対にないと思っていた3尾1,780gのウェイトは、よもやの単日26位。
試合終了後最後に最終年間ランキングが発表された時、自分の目を疑う結果がそこにあった。
自分のランキングに影響する選手のスコアが軒並み自分より悪かったという偶然が生んだ、予想もしなかった結果だ。
自分の年間ランキングはボーダーの29位から、驚いたことに逆に26位まで上がっていたのだ。
TOP50正規選手枠残留資格は、あっけなく手元に転がり込んだ。
一度引退を決意した直後だっただけに、なんとも複雑な気持ちだったが、これで2年連続TOP50残留落ちは回避、来期は「正選手」として堂々と戦える嬉しさが徐々に実感として込み上げてきた。
トーナメントの女神様は、最後に本当のドン底と、引退することの無念さ、寂しさ、そして計り知れない悔しさ、その辛酸の全てを自分に存分に本気で感じさせたその後で、「自分の気持ちに正直に、この悔しさをバネに、まだ続けなさい」と、思いもかけぬ26位TOP50クオリファイという救いの手を差し伸べられた想いがした。
思い返せば、今期は七色ダム緒戦から予選落ちすることを恐れ、腰の引けた自分らしくない「守り」の試合ばかりが続いていた
自分のトーナメント人生で表彰台や年間優勝を最初から狙わず、ひたすら安全策をとった年は初めてである。
事実、今年の試合のほぼ全てをポッキー(ロッド)中心のスピニングタックル、そして今試合も含め全試合でウェイインしたバスの8割がスキニーイール3インチ、4インチだったことを見ても、自分らしい個性ある攻めダルマな昔スタイル?を一切封印しても確実に30位以内に復帰することのみに執着してしまった1シーズンだった。
結果、その姿勢が良かったのか、悪かったのか、その目標は達成された。
だが、今年ほど不完全燃焼感、そして欲求不満が溜まったシーズンは過去にも記憶がない。
それほどまでに2年連続TOP50落ちの恐怖は自分を萎縮させてしまっていたのだろう。
そして審判は下った。
これで2年連続TOP50降格の恐怖は消え去った。同時に極限の引退擬似体験もする事が出来、自分がまだ引退したくない事も、トーナメントが大好きな事もはっきりと確信できた。ドン底の気持ちを味わった今期、来季に向けてここに宣言したい。
来期はもうTOP50落ちや予選落ちは一切、気にしない。
誰がなんと言おうと正規に実力で獲得した永久シード権も、使うなら正々堂々と迷いなく行使する。
自分の気持ちに正直に、自分らしいスタイルで、来期は鬼となっても優勝と3度目のTOP50AOYのみを本気で獲得しに行く。