伊東由樹「ムシムシする日はムシでいけ!」の巻
伊東由樹(YUKI ITO ) プロフィール
「虫パターン」シーズン到来!
日本全国、梅雨明けから一気に本格的な夏模様となった。連日のフィールドテストでは、1.5Lのペットボトルのドリンクが瞬時に空になる勢いで水分補給を迫られている。
早朝から元気なセミの鳴き声にフィールドは支配され、だれもが「虫パターン」シーズンの到来を体感していることだろう。
元祖ムシパターンとなった「ポップX」
メガバスとアイティオーエンジニアリングでは、まだ日本で「虫パターン」なるものが確立される以前から、オーバーハングブッシュの奥へとトップウォータールアーを放り込み、ネチネチと動かして水面へと誘い出すポップXの釣りがあった。
ポップXの「ネチ釣り」は、いまや世界中のバスフィッシングシーンにおいて、日本のフィネス・フィッシングカルチャーを象徴する「超定番の釣り」となっており、元祖「虫パターン」の釣りの起点にもなったルアーのひとつである。
ただし、ポップXは、見た目がベイトフィッシュ。
過去には限定カラーとして「セミカラー」などがあったが、落下昆虫の羽根のバタつきを演出するには、やはり、羽根モノルアーを使った方が、セミの鳴き声をBGMに釣る夏時期のアングラーのマインドにもフィットするだろう。
そこで、メガバス社とは開発のアプローチが異なるアイティオーエンジニアリング社からは、羽モノデザインによるインセクトイミテーターとして、SIGLETT(シグレ)やビートルXがリリースされている。
デビューから現在に至るまで、圧倒的な釣果を叩きだし、現在も数多くある虫系ルアーの中で、頭ひとつ飛びぬけた驚異的な販売累計数の記録を更新している。
とりあえず虫の季節、オーバーハングにSIGLETT(シグレ)を投げておけば、魚の顔は拝めるはずだ。
ビートルXが密かにチューニングされていたこと、知ってましたか?
ところで、ビートルXがブラッシュアップされていたことは、あまり知られていないようだ。
前期型は、クローズドタイプのウイングがついており、リトリーブ中に時折ダイブ(水中に潜り込んで)してフォーカスのインパクトを高めるセッティングだった。
現在販売されている現行タイプのウイングは、「ガル・オープン」タイプが装着され、ウイングのしなりも前期型よりも柔らかいものとなり、ボディ全体の浮力も前期型よりも高められている。
いわば、より水面を浮上しやすいセッティングで、チェイシング・フォーカスをぼかす、「ホバリング指向」のチューニングがされている。
前期型、後期型どちらにも熱狂的ファンがいて、どちらが良いとは言えないが、個人的には現行タイプの「ホバークロール」が使いやすくて気に入っている。
デカバスへのアピールだったら前期型、という人もいて、そこらへんはお好みのチョイスでいいだろう。
なお、虫パターンでの誘いはいたって簡単「ネチネチシェイク」で誘い、「ハイピッチクロウル」でピックアップするだけ。
具体的にどんな誘いなのかは?ぜひ動画をチェックしてもらいたい!
虫ルアーはムシムシする夏の定番だけど、秋の破壊力にも要注目!
さて、SIGLETTとビートルXは、夏のド定番といわれて久しいが、実は、ターンオーバー時期の必殺ルアーなのだ。
秋も彼岸を起点として中秋の名月を拝む季節にもなると、今度は秋の虫たちが落下昆虫に加わるようになる。晩夏に羽化した夏のセミや甲虫、バッタに加えて、秋の虫であるコオロギ、鈴虫などなど、実は、秋こそ「虫パターン」本番、水面ネチネチゲームの佳境を迎えることになる。
さらにターンオーバーが加わると、魚の足はスローになり、上下動のタテの動き以外はフィーディングの動きが乏しくなりがちだ。
だから秋こそ、「虫パターン」が理にかなったアプローチになることが多いのである。
メガバス(Megabass)