伊東由樹が考えるジャークベイトの3つの機能とは?
ところで、一口にジャークベイトといってもその性格は様々。いったい何を持って、ジャークベイトはジャークベイトたり得るのでしょうか? 伊東が定義するジャークベイトの機能は以下の通りです。
1.しっかりダートすること
左右へのダートはもちろん、上方向にダートするライズアップダートや、その両方が交じった3次元的なダートを演じること。ダートが一定でないことや、長い距離をダートすることもバスへの訴求力につながる。
2.ジャークの許容範囲が広いこと
ジャークベイトはタックルセッティングに動きを左右されやすい。しかし、タックルのパワーや長さ、アングラー個々の個性に左右されず、確実にダートアクションを起こすものでなければならない。
3.適度なローリングによる明滅効果
ダート時の復元性を確保しつつも、適度なローリングによってフラッシングを放つこと。光の明滅でルアーより下層にいるバスにアピールし、浮上させるものであること。
もちろん、ワンテンはこのすべてを満たしたルアー。
何かひとつに突出したり、特殊な動きをしたりするわけではなく、飛距離、動きのレスポンス、フラッシングなど、ジャークベイトに求められる基本性能を高い次元で満たし、それらを確実に実行できる。
このことが、1つのミスも許されないトーナメントシーンにおいて、ONETEN(ワンテン)がアメリカのプロから高い評価を得ている最大の理由となっているのです。
ビジョンはリアルに。そしてさらに進化を続ける
こんな背景があって、2000年9月にアメリカでデビューしたワンテン。
伊東は国内での需要はまだ先になると考えていましたが、意に反して、それからわずか2か月後には日本国内でも販売が開始されました。
それは、米国向けのワンテンが逆輸入の形で日本国内に入り、プレミアム価格で流通したことが原因でした。
ワンテンを広大なアメリカに行き渡らせるためには、せっかく送った商品を逆流させるわけにはいかない。そこで国内仕様を発売し、逆輸入を止めたのでした。
またその翌年には、日本向けにアユをモチーフにしたビジョン95を発表。アメリカと並行して、日本のアングラーがジャークベイトに触れる土台作りも着実に進めていった。
日本国内でもONETEN(ワンテン)がブレークし、伊東の構想(ビジョン)は、現実のものとなった
そんな努力の甲斐あって、ワンテンははアメリカで大ブレーク。
やがて日本国内でも一般アングラーがその有効性を認知することとなったのです。
最初は自分に向けて開発したワンテンだが、ジャーキングの普及を見据えた伊東の構想(ビジョン)は、現実のものとなったのです。
伊東由樹 談
「ワンテンが発売されてからブレークするまでには若干のタイムラグがありましたが、実はアメリカのトーナメンターの多くは、早い段階からワンテンを使ってキッカーフィッシュを獲っていました。ただそのなかにはメガバスのサポートを受けていないプロも多く、公表できないシークレットルアーという扱い。それが、あるきっかけで白日の下にさらされてから一気に全米に広まり、それが日本にも伝わったというのが真相です。そこからの加速感はすごかったですね」