今江克隆のルアーニュースクラブR「ライブサイトのニュースタイルとオールドスタイルの限界」 第1236回
ライブの達人が使うルアー
ちなみに今試合でライブの達人たちが高確率で使っているのが「サカマタシャッド5インチ」、次に「ジャバロンスーパーリアル110」である。
今回も上位4人の口から「サカマタ(シャッド)5インチ」は、スポンサーに関わらず使用したことが語られたし、シングル入賞した藤川プロも「ジャバロンスーパーリアル 110」と公表している。
だが「サカマタ」のダートによるリアクションは喰わせの一手としてすでにTOP50の誰もが知るところだ。
だが、藤川プロがビッグフィッシュ賞を獲得した「ジャバロンスーパーリアル 110」は、バスを引っ張り出す能力がダントツに高いので昔から愛用しているそうだ。
奇しくも自分がオジサンライブ桧原湖で同じ「ジャバロンスーパーリアル 110」を使ったのも、群れの中でデカいスモールを呼ぶ力がデカいからという、全く同じ理由である。

ライブサイトでは逃がしが効く「サカマタシャッド5インチ」がTOP50では人気だが、「サカマタ」とまた違った喰わせ能力をもつ「ジャバロンスーパーリアル」シリーズも密かな人気になっている
憧れの最強テクニック
だが、ここまでは公に明かせるNEXT LEVELライブサイトの現実だ。
本当にライブ格差が出てしまうその最大の差は、藤田京弥プロが言っていた「喰うまで追いかけまわします」という当時の自分には意味不明?だった言葉に意味があった。
一つだけ言えることは、バスが出てくるまでを毎投凝視続けることはできても、使っているルアーを知っても、そこからどう喰わせるかは現実、自分には絶対にできないと、絶望の淵に突き落とされるほどのことだった。
それを苦も無く当たり前のように1日平然と続けられることが喰う確率を上げるのであれば、もはや50歳を超えるバスプロが日米ともに急激に成績を落としている事実も裏付けられる。

バスを見つけるのではなく、ルアーに興味をもって出てきたバスを聞いて驚く高度な技術で仕留めるのがNEXTLEVELライブサイトだ。逃がし程度は、もはや基礎の基礎
今回の不甲斐ない結果を各方面に報告した折、決まって「アナログスタイルで勝ってほしいです!」と言われることが多々あった。
だがその気持ちは痛いほどわかるが、伊達に40年もトーナメントの最前線で戦い続けていないので、もう未来はライブサイトを基本テクニックとしてリアルサイト同等レベルに身に付けていないと、優勝、表彰台、年間上位を狙うという言葉も虚しい強がりにすら聞こえてしまう。
確かに大雨激濁りや大増水、爆風のような予期せぬイレギュラーな事態が起こった時限定、もしくは激浅(ゲキアサ)で多魚種だらけの霞水系なら、アナログスタイルで通してハマれば表彰台に乗れる可能性はまだあるかもしれない。
だがそれだけでは「偶発的・限定的条件下」であって、年々下部カテゴリーから昇格しTOP50の過半数を占めるデジタルネイティブ、ライブネイティブの20代の若いプロ達と競い、年間を通じて年間TOP5に入ることはもはや不可能なのかもしれない。
もしライブサイトを完全に捨て、自分本来の釣りに徹すれば全試合で15~30位前後に入ることはできるかもしれない。
でもそれでは最初から表彰台を捨てた、ただ年間残留のための試合になってしまう。
永久シードを授けられている自分にとって今さらそれは意味のある戦いとはどうしても思えない。
だからこそ、今年が最後の戦いになったとしても、自分はNEXT LEVELでのライブサイトの戦いで最低表彰台獲得、願わくば歴代最高年齢での優勝を目指して自分の41年にわたるバストーナメント人生を終えたい。
どんなに惨めな結果になっても、ライブサイト世代の台頭や、ライブサイトが嫌だからという理由で引退することは、バスフィッシングを全方位で極めることを目標としてきた自分の矜持がまだ許さないのだ。
それほどライブサイトは、バスフィッシングの歴史上、全米トーナメントにすら即通用する憧れの最強テクニックだからだ。
今は仕事を辞めてでも毎日ライブの練習がしたい。

トーナメント人生晩年になって現れた稀代のゲームチェンジャー・ライブスコープ、ライブソナー。もしこの存在がなかったら、バストーナメントはスポーツの中で稀に見る高齢者でも若者と互角以上に戦える競技だったかもしれないが…