西陣織をまとったテンリュウ天龍ロッドの誕生秘話
【寄稿=天龍 釣具事業部 舟木雄一】
こんにちは、天龍 釣具事業部の舟木雄一です。
テンリュウは国産のロッドメーカーで、国内生産であるからには、日本独自の「文化」を取り入れたモノづくりしたい!という想いを常々、深く意識しています。
そんな中で誕生したのが、西陣織を取り入れた数々のテンリュウロッドなんです。
今回はそんな西陣織をまとったテンリュウのロッドが、どのように生まれたのかをご紹介させていただきます!
カーボンファイバー(炭素繊維)で編み込まれた『西陣織』との出会い
以前、工業製品を集めた展示会を視察する機会があって、様々なメーカーが自社製品をアピールしていました。
そこで私達の目を引いたのが、カーボンファイバー(炭素繊維)で編み込まれた『西陣織』でした。
カーボン調のデザインのモノは、身近な物だと車のパーツやスマホケースなど様々な製品に使われていましたが、
まさか日本の伝統工芸にまで踏み込んだ物が有るとは知りませんでした。
同じ国産に拘っている点として、同じ方向を見ていると思いました。
西陣織とは?
ちなみに西陣織りを簡単に説明すると…
西陣織は、京都府の西陣地区で作られた織物だけを指す言葉で、この地域で織られ認められた物でしか『西陣織』の呼称は認められておりません。
歴史も古く、500年以上前から作られてきた伝統技法であって、着物の帯などでは最高峰の織物となっています。
絹の繊維を何百本、何千本と編み込み、仕上がるまで途方もない行程が掛かります。
その絹繊維で織っていた織物を、カーボン繊維で織り上げた物を展示会場で見つけたのでした。
カーボン繊維で織り上げた生地をロッドに使えないか?
さっそく織元に出向き、その工程や技術などを見せて頂いたのですが、
絹糸とは違いカーボン繊維を同じテンションで織ってしまうと、繊維が切れてしまったり綺麗に織れないなど簡単には出来ず何度も失敗を繰り返しながら完成させたとの事でした。
そこで私達からの提案だったのが、このカーボン繊維で織り上げた生地をロッドに使えないかと伝えました。
これまでバッグ類の服飾関係や、車のパーツなどに使われていた様ですが釣竿は前例がなく、全てが初めて尽くしでした。
プリプレグ(カーボンシートに樹脂を含浸させたモノ)を作成し、円筒形に成形する工程もあります。
一般的なカーボンクロスと違って、幾重にも編み込まれているため、厚く硬い素材のため単純に丸めるだけでも容易ではなりません。
簡単に出来ない程、活きてくるのが職人達の技でした。様々なクロス(素材)を扱ってきた経験と工夫で形にするのです。
無理と思えた物でも、何度もの失敗を繰り返して何とかしてしまうのが職人で、職人の意地を垣間見ました。
これで出来上がった物を製品に採用する事になったのです。