への字に湾曲した形状のスプーン、そのメリットとは?
スプーンと一口に言っても様々な形状がある。その中の1つがへの字に湾曲したタイプのスプーンだ。この形状のスプーンはかなり昔から存在するものだが現存するアイテムはさほど多くはない。その背景として、このタイプのスプーンのメリットを理解し、効果的に使いこなしているアングラーがあまりいないからではないかと考えられる。

スミスフィールドテスター池谷成就さん。北関東地区のルアーフィッシングを牽引してきた一人
スミスフィールドテスターの池谷成就さんは釣り歴の長いベテランアングラーだ。そして池谷さんのスタイルは独特で、現在のように渓流ベイトフィネスが一般化するよりもずっと前からベイトタックルでのトラウトフィッシングを提唱していた。そしてベイトタックルを河川域で使う中で池谷さんが生み出したのがバック&フォース釣法。これは流れに乗せて下流側にスプーンを送り込み、ここぞという場所で上流側に「引く」下流側に「流す」を繰り返すというもの。

池谷さんの使用タックル。かねてからベイトタックルを用いたトラウトルアーゲームを提唱していた
そしてこの釣法に適したスプーンを追求した池谷さんがハンドメイドで作り上げたスプーンがまさにこのへの字に湾曲したタイプだった。これが後に、スミスから量産品として発売されることになる「バック&フォース」のベースモデルとなった。

2013年に発売されたバック&フォース4g。根強い支持のある製品だ
2013年に発売されたバック&フォースはその使用方法が理解されるのに比例してジワジワと人気が拡がり、今ではロングセラースプーンの仲間入りを果たしている。
その一方で新たな要望も生まれてきた。バック&フォースを水深の浅い瀬のような場所で使いたい、流れの緩やかな場所で使いたい、渇水期にも使いやすいウェイトが欲しい、というものだ。そこで再度スミスと池谷さんが開発に取り組んで生み出されたものがバック&フォースの新サイズ3gである。
単純なサイズダウンに非ず

今シーズン発売となったシリーズ最軽量の3g
近年、各河川の減水や渇水、「昔はもっと水が多く、水押しも強かった」などと言われる事も多くなった昨今、もう少し浅いレンジ(深度)も通せればと考えられたのが新サイズの3gだ。
シリーズ最軽量となるバック&フォース3gだが、これは単純に既存サイズをサイズダウンしたものではないという。実は全長サイズ自体は4gと変わらず、スプーンブランクの板厚のみを薄くしているのだ。
これはバック&フォースの使用感はそのままに、操作時における泳層をより浅くし、沈下スピードをコントロールする為にした結果なのだそうだ。このためフックとスプリットリングに関しても4gと同一のものを装着している。3gでは流れの緩やかな場所で使用しても元々の細かい反復運動にイレギュラーな動きがミックスされるようになったという。
3g独自のカラー構成
そしてカラーにも注目してほしい。
バック&フォースの既存サイズ(4g、5g、7g)は共通のカラー構成となるが、今回発売となった3gだけは全く異なる独立したカラーラインナップとなっている。これは使用するレンジが浅く、多用されるであろう時期を考慮した際に無視できなかったのが「水棲昆虫」「陸棲昆虫」の存在だったからだという。フライで言うところのテレストリアルの概念を取り入れたカラーが3gには多数ラインナップされている。クラックバック(ひび割れ)カラーやマット仕上げのカラーはその代表例と言える。
51.レンズ-S
52.レンズ-G
53.BLPM
54.CHPM(マット仕上)
55.ORPM
56.YLPM
57.BKPM
58.チャートCR(マット仕上)
59.チャートBKCR(マット仕上)
60.ブラックCR(マット仕上)
61.BRORCR(マット仕上)
62.サンドBKCR(マット仕上)
63.ブナGL(マット仕上)
64.BKダストGL(マット仕上)
65.スイカ
66.RDGTG(マット仕上)
バック&フォース釣法の可能性を大きく拡げるバック&フォース3g。今シーズン、記憶に残る1尾をバック&フォースで狙ってみて欲しい。
自重:3g
フック:シュアーフックスーパーヤマメ#2
標準小売価格 ¥620+税
2025年3月発売済
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