釣具とは、読んで字のごとし“魚を釣るための道具”である。
そう考えると、このアイテムは立派な釣具だ。
…他でもない、山波商店 × MINOWA VEST LABORATORYが贈る 「Mobility vest/モビリティベスト」のこと。
山波商店 × MINOWA VEST LABORATORY 「Mobility vest」
例えば職人が使う道具であったり、漁師が使う漁具であったり。それらを“美しい”と感じることがある。ムダをいっさい省いた機能美と呼ぶその美しさをこのギアに感じるのは記者だけだろうか。
他方で、渓流師は山を登り、沢を登り、高巻きも厭うことなく、日が落ちれば幕を張り、その渓流の先の先に、未だ人に出会わずして生きる渓魚を求める。
その渓魚を釣るために、ムダを省き、必要最低限の要素を盛り込み、機動力を高めに高めた釣具。…それが山波商店の「モビリティベスト」。
コンセプトは「機動力」
お伝えしているように、モビリティベストのコンセプトは「機動力」。ムダを省くことで機動力を最大限高めたベスト。
バックパックとベストが分離式になっているのが最大の特長。食料や最低限の着替えなど、どうしても荷物が多くなる源流釣行などではバックパックを使用。一方、里川や本流など比較的手軽にアプローチできるフィールドではバックパックを外して使用することも可能。
ベストのモチーフはトレイルラン用のベスト。動きを妨げない範囲で、メインポケット×4、ファスナーポケット×2、インナーメッシュポケット×2、D管×2と容量を十分確保。
また、メインポケットはあえてドローコード式を採用し、歩きながら開閉することが可能で、素材には高機能素材コーデュラ®を採用。軽く、擦れに強い仕様に。
また、フォーセップを挟み込むパーツのサイズも絶妙。大きすぎればブラブラと安定せず、また小さすぎれば取り付けにくく、細部にまで並々ならぬこだわりあり。
背面は背面で最大限軽量にすべく、“ポリエステルメッシュ素材”を大胆に採用。そして、このポリエステルメッシュは涼しくて水はけの良いという点もポイント。収納関連はランディングネット用D管×1、大容量メッシュポケット×1、D管×2とかゆい所に手が届く仕様。
もちろん、バックパックにも多数のこだわりあり。
シンプルな形状は山歩きの際に、木の枝などが引っかかることを抑制するデザイン。
そして、ベストの肩の部分にはバックパック側のハンガーを引っかけるパーツが配されており、5段階式で調整が可能。またサイド両側に2ヵ所ずつ固定するパーツがあり、強固にバックパックを固定することできると。ちなみに固定するためのベルトには劣化に強いゴム素材が採用されていて、動きに合わせて追従、使用感は申し分なし。
さらに細部に目をやると、上部は“ロールトップ”。荷物の容量に合わせて調整が可能。
また、上でもサイドでも止められるよう、2ヵ所にバックルを配置。
また、フロントのファスナーを引くとバックパックの容量を拡張することができ、季節や状況に合わせたパッキングが可能。
バックパックの収納関連は両サイドにメッシュポケットを配置。右側にはロッドを差すことができるよう、ロッドベルトも採用。そして、かなりこだわった…というのが、ボディ下部のベルクロでサイズまで調整できるドリンクホルダー。
歩きながら両サイドのポケットからドリンクを取りだす、という作業は何気に難しい。よりレスポンスよく取り出せるようセンターのこの位置に配したとのこと。
また、D管+両サイトにランディングネットを取り付けることができるパーツを配し、好みの位置にランディングネットをセットすることができるという釣り人目線の要素も、やっぱり釣具を思わせるファクター。
そう、このバックパックはより軽量であることを目指して、“あえて”防水仕様ではない。ただ、やはり防水でないと困る…というニーズはある。
そこで、市販のビニール袋を固定して瞬時に防水仕様にできるギミックを搭載。ロールトップ部分が2重構造になっていて、プラスチックボタンを装備。ここにビニール袋を挟み込み、荷物をそのビニール袋に収納すれば大事な中身が濡れない…という仕様になっている。
…そのベストは釣具ですか?
全身を使って、沢を登り、山道を歩き、高巻きを繰り返し。その淀みに、そのボサに、その反転流に、タイミングを見計らって絶妙にルアーを送り込み、心震える瞬間を狙う。
その時、着用しているベストが“釣具”であれば、よりストレスを感じないだろうし、より攻めた攻略が可能になるだろうし、もっと言えばより深い没入感を味わうことができるはず。
…今、着ているそのベストは“釣具”ですか?