今江克隆のルアーニュースクラブR「バス用フック界の黒船来襲か!? BKK『OCDタックルシステム』と新型フックを紹介」 第1228回
お約束のフィッシングショー名物インフルエンザをありがたくいただいてしまった今週は、ショー総括ネタでは公開しなかった、かなり衝撃的な大ネタ公開です。
「黒船来襲」ってのが江戸時代末期から開国、明治維新、そして文明開化の引き金になったわけですが、古くから日本釣り業界のお家芸ともいえた「針は日本製」の常識が、2025年度以降、いよいよ覆る針銘開化が起こりそう。
その黒船が、2024年全米ICASTでBEST OF CATEGORY WINNERを獲得した「BKK」の「OCDタックル(フックストレージ)システム」である。
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24年度全米ICASTでベストオブザショーを獲得したBKKの「OCDタックルシステム」。BKKのあらゆる新型バス用フックがきれいに収まったセットケースだ
BKKハイパーカーボンスティール(HCS)
この「OCDフックストレージシステム」は、昨年末にすでに現物を入手していたが、そのストレージシステムもさることながら、あらゆる種類のバスフックに革新的技術進化が果たされていたことに驚きを隠せなかった。
まず何よりも衝撃だったのは、「BKKハイパーカーボンスティール(HCS)」を採用したトレブルフックの登場である。
何がすごいかというと、かつて日本は釣針の「針先加工技術」に関しては圧倒的世界ナンバーワンといって過言ではないほど、技術面でずば抜けた存在だった。
自分がバスプロになってこの年齢になるまでの間も、海外製フックなど正直、日本メーカーの足元にも及ばないレベルであり、特に某社のフックポイント強度、鋭さの評価は世界的にも明確に世界No.1として長らく認められている。
というか、ほとんどの日本のアングラーにとってそれは一般常識の域すらあったと思う。
昔はよくトレブルフックのフックポイントをコーラのアルミ缶に打ち付け、ポイントの強度比べをし、某社の明確な技術差に驚かされたものだった。
だが、釣りのグローバル化における急激な技術革新は、その一般常識をも覆させるレベルに到達していた。
今回、BKKが自信をもって世に出した「HCS」加工を施したトレブルフックは、データスペック上の強度において、またキャッチコピーとしても「他の追随を許さない最高品質に到達」と堂々と表現するほど、まさに世界最強の域に達している驚くべきものだった。
しかも価格競争力と生産納期の短さでは圧倒的に世界をリードするBKKだけに、このHCSフックの登場は、日本のフックメーカーにとっては黒船級の脅威になることは間違いないだろう。
実際、日本の名だたるルアーメーカーのプラグにはすでにBKKのフックをデフォルト装備にしている事実を見ても、ルアーフックの格付け争いは、新時代に突入したといってもよいのだろう。
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BKKが満を持して世界市場に問う最強最鋭のポイントを持つ「ハイパーカーボンスティールフック」。これは黒船襲来並みの脅威だ
HCSハイパーラッチ
そして2025年にはこのOCDストレージシステムからは、各種フックが個別リリースされる予定で、その中でもまずこの春に注目しているのが「ハイパーラッチ70SS-UL」である。
このフックは、ジャークベイト専用にHCSにスーパースライド加工を施し、さらに触れれば掛かる細軸で鋭角なリマリック系ゲイブを採用したトレブルフックだ。
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細くて強い「HCSハイパーラッチ」。ジャークベイト専用に設計された早掛けトレブル
強いフックなのに軽く細くできるため、ジャークベイトのアクションバランスを害せず、体当たりのようなバイトも確実に捉える目的で設計されている。
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ジャークベイト「ダルド」との相性も抜群。触れるもの全てを掛けるような貫通力抜群のリマリック系トレブルフックである
蛍光カラードトレブルフック
さらに、フィッシングショーでも注目を浴びていたのが「蛍光カラードトレブル」だ。
初めてこれを見た時は、「何に使うの????」とソルトウォーター用のキワモノフック?と思ったのだが、実はこのフック、狙いがヤバすぎて詳細を書けないレベルの危険物だった。
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一見、キワモノかソルト専用フックに見えるが…初見のバスはこれをフックとして認識するのか?それとも?
さすがバスの放流管理育成が当たり前のアメリカだけに、「そこまで考えるか!」的な発想であり、自分もそこには全く気が付かなかった。
別名「サイトトレブル」と呼ばれるこのカラードフック、見たことのないものに好奇心を抱くバスだけに、これをフックではなくルアーの一部と見なす可能性があるのかもしれない。
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フィッシングショーでも注目された蛍光カラーのトレブルフック。海外にありがちなキワモノかと思いきや、実は超絶ヤバい理に適った狙いがあった
パーマロックウェイテッド
そしてこのOCDシステムの中には、シングルフックにも目を見張るものが多数存在した。
その筆頭が「パーマロックウェイテッド」だ。
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OCDタックルシステムの中でもひときわ目立った「パーマロックウェイテッド」。これはやられた感いっぱいな便利フックである
ウェイテッドフックは数あれど、ネイルシンカーとフックを一体化するアイデアは斬新かつ世界初だろう。
しかも抜け防止のモノフィラのカエシが2本ついており、ワームの固定力は圧倒的なほど高い。
現時点では残念ながらエコ認定を受けていないのでJB/NBCでは使えないが、これは何としてもBKKにエコ認定を取得してもらうつもりの優れものである。
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「パーマロックウェイテッド」はタングステンネイルシンカーとロック、フックを融合させた実に日本的発想のフックだ。これはぜひともエコタックル登録取得してほしい
シャッドテールなどのスイミングワームのみならず、「変形ネコリグ」、「オフセットネイルリグ」ともいえる簡単完璧な対カバー性能は非常に魅力的かつ超実戦的フックだといえるだろう。
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いわゆるネイルリグが簡単にできてしまう「パーマロックウェイテッド」。細いストレートワームでもネイルリグが可能になる
ドロップショットロングシャンク
次にOCDシステムの一つで、ダウンショットリグ用に設計された「ドロップショットロングシャンク」も実戦性抜群ですぐさま試合投入できそうな優れたフックである。
ダウンショットでフックが上に向くようにセットした時にフックがズレず、常にポイントが上を向くよう設計されている。
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OCDタックルシステム標準装備のドロップショットフックの一つ。実にていねいな作りが目を引いた
だが、これは海外ではあまり目にしない「i字リグ」にも優れた適応性を持つ。
モノガードのカエシによって固定力は抜群で、i字系ワームのスイミングにはとても重宝しそうだ。
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ドロップショット・ロングシャンクは、実はi字系ワームのセッティングにとても便利だ
現時点では最小#2までだが、#4まで作ってくれれば、日本でのニーズは相当高いフックだといえるだろう。
ヘビーカバーフィリッピンフック
さらに世界のルアー市場をターゲットにするBKKらしさが見られるのが「ヘビーカバーフィリッピンフック」だ。
これは瞬間的な掛りの速さと深さ、さらにPEライン対応のシャンク強度を両立するアメリカではよくあるストレートフックだ。
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「ヘビーカバーフィリッピングフック」は一見、よくあるタイプのカエシ付きストレートフックに見えるが実は…
だが、これの「!」ってなったところが、ワームをガッチリキープするためのカエシがなんとワイヤー製ってところだ。
モノフィラのカエシが当たり前のこのてのフックの弱点である、太くて重くてゴツいワームでもズレにくさ抜群の設計になっているのだ。
さらにカエシ角度の調整もできる。
霞ヶ浦などで、アシやレイダウンにブッコんだら、ワームがすぐズレるストレートフックがほとんどの中で、このワイヤーのカエシはその悩みを解決してくれそうで、今年の霞水系には必携のフックになりそうである。
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ワームキーパーがなんとワイヤー製。変形しにくく、ワームのホールド力は抜群。保持角度も変えられるのは素晴らしい
そのまま普通にTOP50でも使える!
その他にOCDシステムの中には、「オフセットワームWG」、コイル式オフセットフックの「パーマロック」など、ベーシックだが日本の市場にも抵抗感なく受け入れられるフックがずらりとラインナップされている。
驚いたことは、そのどれもが日本の市場を最初から強く意識しているのかと思うほど、そのまま普通にTOP50でも使えるレベルに仕上がっていたことだ。
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スタンダードなフックもまるで日本市場向け専用かと思うほどの高品質な出来栄え。日本のフックメーカー製と何ら遜色を感じさせない
裏を返せば、日本のバスフックの最先端技術、形状が、世界市場に強い影響を与えているということでもあるのだろう。
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「OCDタックルシステム」のセット内容。意外にも?全てTOP50で即使えるレベルで、日本フックメーカーも真っ青なフックばかりだ
オフセットワームラウンドベンド
レギュラーフックの中では、今江的に市場に気に入ったシェイプのモノがない「ナローゲイブフック」に極めて理想的なベントとシャンク角をもつ「オフセットワームラウンドベンド」がラインナップされていたことが嬉しい限りだ。
これは確実に今期の試合でも使うだろう。
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今江的になかなか納得できるナローゲイブオフセットがなかったが、これはツボにハマった
レンタスウェイテッドツイン
そして番外編だが、今はまだ深く語れる経験値がないので詳しくは触れないが、非常に興味のある特殊フックが今季のBKKにはラインナップされていた。
それが「レンタスウェイテッドツイン」である。
これはソルトウォーター用のプラグフックだが、2025年にはバスフックとしてもかなり注目される可能性を持つフックだ。
この形状でウェイテッドってのが魅力抜群だ。
このままの状態ではバス用にはセッティング上、難しい部分があるが、簡単に調整アジャストできそうなのが幸いだ。
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2025年、ひょっとするとトレンドフックになるかも?しれない「レンタスウェイテッドツイン」。とても興味のあるフックだ
フックは個別販売
最後に、これらのフックのほとんどはOCDシステムに組み込まれているものだが、BKKジャパンではOCDタックルシステム(356ドル≒54,000円!)での販売は考えていないようである。
だが「OCDタックルシステムBOX」としてのケース販売は予定されており、BKKフックは図の解説の通り、個別販売されるケースがそのままOCDストレージに好みの配列で収納できるパッケージシステムになっている。
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日本ではセット販売ではなく、フックは各種個別販売、そのフックをパーフェクトに保管できるケースとしてOCD専用ボックスが販売されるようだ
このように2025年は、黒船BKKが日本市場を席巻する可能性すら感じさせる様々な高性能、高個性のフックをラインナップしてきた。
世界的に確固たるフックメーカーの地位を築きつつあるBKK、今後の日本市場展開がとても興味を引くフックメーカーである。