ここまで来たか。
そう思わざるを得ない2025年シマノ発の新しいビッグベイト、…いや「グライドベイト」の表現が正か。
そのルアー「グラヴィテーター 220SF」 。
グラヴィテーター 220SF アーマブースト/フラッシュブースト
シマノ公式「グラヴィテーター 220SF アーマブースト/フラッシュブースト」詳細ページはこちら
品番 | カラー | タイプ | 全長(mm) | 重量(g) | 重量 (oz) | フック | 本体価格(円) |
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ZR-822Y | フラッシュブースト搭載カラー全2色 | スローフローティング | 220 | 89 | 3 1/8 | #1/0 x 2 | 7,600円 |
ZR-922Y | 通常カラー全6色 | スローフローティング | 220 | 89 | 3 1/8 | #1/0 x 2 | 7,400円 |
“仕掛けていける”グライドベイト
グライドベイトとは、世界のビッグベイト&ジャイアントベイトシーンにおいて、今最も求められていると言っても過言ではないカテゴリの一つ。その特長は体高のある扁平ボディが強く水を押し、ターゲットの側線を刺激する強烈なインパクトにある…と。
新しいグライドベイトを作る。そうなったとき最初の課題は“飛距離”。
そのボディ形状から飛行時に空気抵抗が大きく、キャスタビリティが悪いグライドベイトをどう飛ばすか。それが最初の課題。そして、それを解決するキッカケになったのが、ご存知ビッグベイトの名作「アーマジョイント」に搭載されたアーマブースト。
そう、新たなアーマブーストを開発することから始まったという壮大なプロジェクト。
もう一つのアーマブースト
そして開発されたのがもう一つの“アーマブースト”。グライドアクションはそのままに飛ぶという相反する特性を落とし込んだシマノ独自の新機構。
端的に言えば、キャスト時はアーマジョイントのようにボディを折り畳み、空気抵抗を減らして飛距離を稼ぎながらも、アクション時にはジョイント部の可動域を制限して、大きなグライドアクションを表現するというもの。
その開発過程は難航を極めたそうだが、ついにジョイント部の金属プレートを上下に動かすことでキャスト時とアクション時の可動域を変化させる新しいロック機構の考案に至った…という。
テイクバックから振り抜く瞬間、その負荷でボディが前後に分離するとともに、金属プレートが上下に広がり、ジョイント部の可動域が拡大。ボディが大きく折り畳まれることで、十分な飛距離を演出。
一方、着水後はボディに埋め込まれたマグネットの磁力により、前後が密着。プレートの上下間隔が狭まり、ボディ内の溝に収まることでジョイント部の可動域を制限。ボディの振れ幅を狭くすることで、大きなグライドアクションを生み出す…と。
アングラーのこだわりに呼応するカスタムパーツ
グライドベイトとしての拡張性を高められる“多彩なパーツ”が標準装備されているのも大きな特長。
背中に装着する2つのフィンでレンジの調節が可能に。ショートフィンなら水面下30cm、ロングフィンなら水面下60cm程度までを安定してトレース。また、装着しない場合は表層を攻略することもできる。ジョイントパッドはグライドアクション幅の調整を可能にするパーツ。ジョイント部のリア側へ装着すればボディの屈折角度が抑えられ、よりスライド幅の大きいアクションに。グライドアクションの鍵を握るテールもグラヴィテーター用に専用設計。替えテールも付属するという。
また、下アゴ部分には用途を問わずに使えるマルチアイを装備。ウェイトを追加して攻略レンジを広げたり、アシストフックを装着してキャッチ率を高めたりと、シチュエーションに応じたフレキシブルなアプローチを実現。
インプレッション
実はグラヴィテーターは異例の日米共同開発モデルです。ボディサイズは海外で主流の200mmオーバーに仕上げ、米国ではSSタイプのみですが、国内モデルはSFタイプで各自でシンカーチューニングできる幅を持たせています。バスではブルーギルやコイ科の扁平魚をイメージ。シーバスゲームでは、コノシロパターンに対応するサイズとフォルムに設計しました。
近年厳しさを増しつつある国内バスフィールドでは、ほんの微かなレンジの差とアクションの差で価値ある1本を獲れるか否かが決まります。付属のロングフィンをセットすれば水深50〜100cm、ショートフィンなら10〜50cm、フィン無しなら水面〜直下を攻略可能。またジョイントパッドをセットすれば可動域を制限してキレのあるグライドアクションを見せ、非搭載なら伸び代のあるグライドでターゲットを誘います。1つで何通りにもマルチに使えるグラヴィテーターは、携行する荷物が限られる遠征時や岸釣り時に強い味方となってくれるはずです。
また、空気抵抗の大きいグライドベイトで懸念となる遠投性能や高精度キャストも問題なし。アーマジョイント譲りの新たなアーマブースト機構が意のままのキャストを可能にしてくれます。私の使うロッドは、キャプチャー167XH-5でキャスタビリティ重視、163H-5なら操作性重視、さらなるロングキャストを求めるなら1711H-SB/2というセレクト。追尾するだけで終わるのか、バイトへと至るのか。絶妙なタックルセッティングも決め手となります。
出典:シマノ公式HP
これまでのグライドベイトの弱点は、飛距離が出にくいこと、そしてキャスト精度が低いことでした。体高がある扁平ボディであるが故に飛行時の空気抵抗が強く、時に遠投性能が阻まれ、時に想定外の着水点へとスライスしてしまうことも多々ありました。それでもキャストがしっかり決まれば、切れ味の鋭いグライドアクションがシーバスのバイトを誘ってくれる。デメリットを抱えつつも代えの利かない武器、諸刃の剣であったことは事実です。
グラヴィテーターは、驚くべき機構を伴ったグライドベイトの進化版です。キャスト時にはアーマブースト機構が機能して、ボディを折り曲げ狙ったスポットへと一直線。着水すれば前後のボディがマグネットで引き合ってジョイント可動域を狭め、一定のリーリングジャークで左右へとグライドアクションで誘ってくれます。
そのアドバンテージは遠投が可能となったことで、オープンウォーターでプロダクティブゾーンを拡大するだけに留まりません。例えば障害物周り、壁際や橋脚など縦ストラクチャーのキワなどにタイトに付く、よりタフな状況下では、丁寧なキャストが決まることでバイトを誘発することも可能です。またボイル発生時にしても、追われているベイトフィッシュの群れの中に着水してしまったら見切られて反応はない。ベイトとシーバスの絶妙な間に着水させ、より正確なトレースコースを生み出すことでバイトへと繋ぐことができます。
さらには付属のパーツでレンジもアクションも自在。1つのルアーで、誰もが頭で思い描くイメージにマッチした使い方ができるモデルは今まで他に存在しなかったのではないでしょうか。
また、アゴの下にはマルチアイがついています。シンカーを装着して深いレンジを攻略したり、魚のアタックがあるのにフックアップしない時にアシストフックを装着したりと様々な使い道があります。実は、このアイにラインを結ぶとトップウォーターのようにも使うことができるんです。一般的なペンシルよりも柔らかい動きが出せて、魚の反応も良く釣れるのでぜひ試していただきたいですね。
出典:シマノ公式HP
カラーラインナップ
そしてカラー。経験と実績から厳選されたというカラーにも大きなこだわりがある。
濁りに強いクロキンに透け感をプラスしたフラッシュブースト搭載カラー。ハーフミラーゴールドでボディ側面半分はボディ自体がフラッシングし、ポーズ時にはフラッシュブーストが明滅し魚にアピール。ベリーにはオレンジを配置し、濁りのある状況でも魚にはっきりとアピールするカラー。
フラッシュブースト搭載のクリア系リアルカラー。バックにはまずブラックを下地にしたうえで光の加減で色味が変わる偏光パールを使用することで、色味の深さと艶かしさを演出。側面にはクリアイエローを配置することで透け感がありながらもメリハリを演出。バスはもちろん、コノシロにも化けることができるフリースタイルリアルカラー。
金鱗の魚を模したゴールデンシャッドは、あえてフラッシングが強いゴールドを使用せず、スケールブースト「Nホロ」の上にゴールド塗料を塗布し輝きを抑えた金隣を演出。コイ科の魚はもちろん、フラッシングを抑えたい水色や状況で有効となるナチュラルカラー。
鰣(ハス)や鮎など様々なベイトフィッシュに化けるよう輝度の高い金鱗を纏い、バックに馴染みよいグリーン系のカラーを施したNキングゴールド。シルエットを重視し様々なベイトに化けることができるよう、赤味が強いゴールドではなく薄いシャンパン系の青味の効いたゴールドに。ベイトの種類に合わせてチョイスするのはもちろん、光量がまだ少ないマズメのタイミングや濁りが入った状況でも対応できるカラー。
フラッシング、膨張、オレンジベリーという多くの要素を複合させた定番色。ギルを模した縦縞模様は、海においては小型のクロダイにも化けることが出来ます。バスだけでなくシーバスも含め様々なターゲットで使用することを想定。シルエットがはっきりしながらも縦縞模様で瞬間的にぼけるステルス効果を狙った、状況次第では他の追随を許さないパワーカラー。
ラインナップの中でリアルカラーに振った透け感のある汎用性の高いカラー。魚がルアーを見上げた時には透け、横からはボヤっとシルエットが現れるパールホワイトが効いた膨張色で、角度によって見え方が変わるナチュラルカラー。クリアウォーターやステインウォーターで効果的な、パープルラインで魚を寄せる喰わせの能力が高いカラー。
クリア・マッディ・ステインウォーター、ハイライト・ローライトなど水質や光量の差を問わず、様々な状況に対応可能。全体がパールホワイトと蛍光イエローという構成で、シルエットがぼやける膨張色。視認性も良くアクションさせやすい、魚種問わず実績の高い奥田学氏信頼の膨張系オールマイティカラー。
東京湾でプロガイドを営むシマノプロアングラー家田成大氏のリクエストカラー。魚のレンジや喰い気が下がった時にこそクリア系が強いため、透け感のあるカラーでありながらも視認性が高く、実績の高いケイムラを融合させたシーバス特化型クリアカラー。バックにはピンクからオレンジへと変化する視認性が高い配色を施し、ショルダーにかけてはクリアイエローでグラデーション。側面にはクリアでありながらもホログラムがフラッシングするスケールブースト「STホロ」を採用。側線をイメージしたケイムラでアクセントを加えた、抑えの切り札的カラー。
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2025年のルアーシーンで台風の目となるか。早く実釣で使ってみたいですね。
シマノ(Shimano)