今江克隆のルアーニュースクラブR「撃ち巻き並立!これが新時代のバーサタイルロッドだ『スーパーレイブン610MHR-F』いよいよ登場」の巻 第1219回
ブランクス組成
「スーパーレイブン」のカーボン組成は、基本的に「ブラックレイブン」、「グランドコブラ」の歴代経験による絶妙の2段階レジンコントロールによるT1100Gナノアロイをメインシャフトのほぼ全域に一貫して採用している。
これに、こちらも長年の経験から熟成の域に達した30×60度の4軸全身補強で捻じれ強度を向上させる組成。
だが、今回は「撃巻並立」というコンセプトから、ベリー下からバット部分にかけてややレジンファットの㊙弾性を入れることで、ベリーでカクッと止まるファーストテーパーではなく限界手前からジワッと入り込む、粘り腰を入れた点が特徴である。
当初はクランクベイト等の振幅増幅のためソリッドティップモデルも試作したが、ソリッドティップ特有のティップの「タレ」がやや重めの撃物精度を著しく損なうため、㊙弾性カーボン補強によるジワッと限界から入るフルチューブラー仕様に最終的に決めた。
レングス&アクション
「スーパーレイブン」のアクションは、上記組成とその表記にあるように「610MHR-F」となっている。
このR-Fの部分がキモで、ファーストアクションながらレギュラーへとスムースに移行する「スーパーレイブン」の特徴を表している。
そして610のレングスが、実は超絶妙。
バスロッドは、現時点の素材技術では7フィートに達した瞬間、強度を無視しなければ全く別のレンジへと変性する。
明確な軽量性といわれる、バランサー無しの自重100g~120g以内を重視すると、どうしても操作の明確なキレとロッドの全体トルクと粘りを重視する「肉厚ローテーパー」では6フィート11インチが、現時点での技術限界で、7フィート超で軽さも重視するなら「薄肉ハイテーパー」方向に移行せざる得ない、絶対境界線の1インチだと、経験的に自分は考えている。
軽量ハイテーパーになればなるほどブランクス全体のアクションはファースト方向に限局されてくるため、細身でシャープながらもパワーと粘りを実現するには、ブランクス全体で受け止める肉厚ローテーパーが王道になる。
そのうえで「大手メーカーの基本破断限界基準値」をクリアしたうえで、100g±10g台を実現するのは、現代ロッド技術の究極ともいえるかもしれない。
その点において「スーパーレイブン」は、もう変える部分がないと断言した「ブラックレイブンエクストリーム66MH/F」のシャープさと、耐捻じれ性能に特化した巻きモノ7フィート「クーガーELITE70MH/R」の「66F」と「70R」の双方の良さを併せもち、なおかつ「610R/F」で自重100g±10gという限界軽量性能を出せた、類稀なる高性能バーサタイル巻撃併用ロッドといえるだろう。
「スーパーレイブン610MH」の平均自重約105~108gは、驚くことに66MHの「ブラックレイブンEXT」よりもさらに軽いのである。
感度と剛性の両立・技徳グリップ初採用
この「スーパーレイブン」の610レングスでの超軽量性と、破格の剛性感を実現できた一つの要因に、従来のGファイバーポリアミド樹脂製のグリップから、極めて硬度、剛性、-30%にも及ぶ軽量化を可能にした富士工業(Fuji)のカーボン製グリップ「技徳グリップ」を、量産バスロッドで初採用したことにある。
このグリップは、富士工業とG-nius青木(哲)氏が共同開発し、そのアドバイザーとして自分も関らせてもらったもので、パーミング時やキャスティング時の低重心グリッピング性能の向上はもちろん、ナットのないフラットバック形状、カーボン素材による超軽量化、高感度化など、ロッドの基本性能をワンランク確実にアップさせることができるグリップである。
ただ、この「技徳グリップ」の搭載によって安易にほぼ7フィートで100gアンダーというスペック至上主義を目指すことはしなかった。
その軽量化できた余剰部分の-20%を、あえて「ストレートダブルハンドル化」に使うことで、ブランクスのガチッとした剛性感をセパレートに比べ格段に向上させた。
この点が「カレイド」ならではの、安易なカタログスペック重視にしない、あくまで実戦力重視のコダワリである。
もちろんピッチングで袖を拾わないように、シャープにスリム化しエンドもエッジのないラウンド化したテーパードストレートに設計、ハイグレードコルクをふんだんに使うことで、伝達感度の面でもメガホン効果が向上しているかもしれない。
スーパーレイブンの使用例
「スーパーレイブン610MHR-F」の基本スペックを詳細に紹介すると以上になるが、3oz以上のビッグベイトを必要としない釣りであれば、これぞ2020年代を象徴する新たなバーサタイルロッドの代名詞ともいえる銘竿になったと自負している。
「リグラー」など2.7gネコリグのベイトフィネスから、ノーシンカーリグ、3インチクラスのイモ系、バックスライド系ワームのPEベイトフィネス、3.5g~7gボリューム系テキサスリグ、スイムジグ、「クジャラ」系モリケンリグ、5インチクラスシャッドテール、「ジャバロン110~140」ノーシンカーリグ、5~9g「ハドルギル3.9インチ」フリーリグ、ピッチング~ショートキャストで精度高く点で狙うフラットサイドクランクやシャロークランク、やや抵抗のあるダイビングシャッド、1/4~3/8ozスピナーベイト、3.5g~10gチャターベイト、バズベイト、2oz前後の首振り系中型ビッグベイト、「IK180~250」クラスのディープダイバー、「ダイバゼル」、「アベンタRS」等の羽根モノまで、難なくカバーできる次世代テクニカルバーサタイルロッド、それが「スーパーレイブン」である。