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今江克隆のルアーニュースクラブR「撃ち巻き並立!これが新時代のバーサタイルロッドだ『スーパーレイブン610MHR-F』いよいよ登場」の巻 第1219回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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新製品総力特集2025

ブランクス組成

「スーパーレイブン」のカーボン組成は、基本的に「ブラックレイブン」、「グランドコブラ」の歴代経験による絶妙の2段階レジンコントロールによるT1100Gナノアロイをメインシャフトのほぼ全域に一貫して採用している。

これに、こちらも長年の経験から熟成の域に達した30×60度の4軸全身補強で捻じれ強度を向上させる組成。

だが、今回は「撃巻並立」というコンセプトから、ベリー下からバット部分にかけてややレジンファットの㊙弾性を入れることで、ベリーでカクッと止まるファーストテーパーではなく限界手前からジワッと入り込む、粘り腰を入れた点が特徴である。

ディープでのライブフィッシングでも、片手で操作でき、瞬時に掛けられる「スーパーレイブン」は極めて使いやすい。カチッと掛けてからジワッと入っていく感じがたまらない

当初はクランクベイト等の振幅増幅のためソリッドティップモデルも試作したが、ソリッドティップ特有のティップの「タレ」がやや重めの撃物精度を著しく損なうため、㊙弾性カーボン補強によるジワッと限界から入るフルチューブラー仕様に最終的に決めた。

「スーパーレイブン」のキモは、一貫した熟成のT1100Gの性能に加え、ベリーに限界負荷がかかった時点からジワジワとバットへと入り込む粘りを発揮する

レングス&アクション

「スーパーレイブン」のアクションは、上記組成とその表記にあるように「610MHR-F」となっている。

このR-Fの部分がキモで、ファーストアクションながらレギュラーへとスムースに移行する「スーパーレイブン」の特徴を表している。

そして610のレングスが、実は超絶妙。

バスロッドは、現時点の素材技術では7フィートに達した瞬間、強度を無視しなければ全く別のレンジへと変性する。

明確な軽量性といわれる、バランサー無しの自重100g~120g以内を重視すると、どうしても操作の明確なキレとロッドの全体トルクと粘りを重視する「肉厚ローテーパー」では6フィート11インチが、現時点での技術限界で、7フィート超で軽さも重視するなら「薄肉ハイテーパー」方向に移行せざる得ない、絶対境界線の1インチだと、経験的に自分は考えている。

軽量ハイテーパーになればなるほどブランクス全体のアクションはファースト方向に限局されてくるため、細身でシャープながらもパワーと粘りを実現するには、ブランクス全体で受け止める肉厚ローテーパーが王道になる。

そのうえで「大手メーカーの基本破断限界基準値」をクリアしたうえで、100g±10g台を実現するのは、現代ロッド技術の究極ともいえるかもしれない。

その点において「スーパーレイブン」は、もう変える部分がないと断言した「ブラックレイブンエクストリーム66MH/F」のシャープさと、耐捻じれ性能に特化した巻きモノ7フィート「クーガーELITE70MH/R」の「66F」と「70R」の双方の良さを併せもち、なおかつ「610R/F」で自重100g±10gという限界軽量性能を出せた、類稀なる高性能バーサタイル巻撃併用ロッドといえるだろう。

「ブラックレイブンEXT」と「スーパーレイブン」のベントカーブの違い。「ブラックレイブン」は、よりファースト気味だが、「スーパーレイブン」は掛けのファーストから美しく乗せのレギュラーへと変化する

「クーガーエリート」と「スーパーレイブン」のベントカーブ。巻物重視の「クーガー」は、ベリーまでの入りが速い。一方、「スーパーレイブン」は弾性反発のキレが打撃系の掛け心地を強く残しており、キャスト時もティップがお辞儀(タレ)しない

「スーパーレイブン610MH」の平均自重約105~108gは、驚くことに66MHの「ブラックレイブンEXT」よりもさらに軽いのである。

感度と剛性の両立・技徳グリップ初採用

この「スーパーレイブン」の610レングスでの超軽量性と、破格の剛性感を実現できた一つの要因に、従来のGファイバーポリアミド樹脂製のグリップから、極めて硬度、剛性、-30%にも及ぶ軽量化を可能にした富士工業(Fuji)のカーボン製グリップ「技徳グリップ」を、量産バスロッドで初採用したことにある。

ついに量産機種で初採用となった「技徳カーボングリップ」。その恩恵は多大である

このグリップは、富士工業とG-nius青木(哲)氏が共同開発し、そのアドバイザーとして自分も関らせてもらったもので、パーミング時やキャスティング時の低重心グリッピング性能の向上はもちろん、ナットのないフラットバック形状、カーボン素材による超軽量化、高感度化など、ロッドの基本性能をワンランク確実にアップさせることができるグリップである。

「技徳グリップ」のコンセプト、効果については、コチラに詳しく解説している。https://www.lurenewsr.com/293243/2/

ただ、この「技徳グリップ」の搭載によって安易にほぼ7フィートで100gアンダーというスペック至上主義を目指すことはしなかった。

その軽量化できた余剰部分の-20%を、あえて「ストレートダブルハンドル化」に使うことで、ブランクスのガチッとした剛性感をセパレートに比べ格段に向上させた。

この点が「カレイド」ならではの、安易なカタログスペック重視にしない、あくまで実戦力重視のコダワリである。

もちろんピッチングで袖を拾わないように、シャープにスリム化しエンドもエッジのないラウンド化したテーパードストレートに設計、ハイグレードコルクをふんだんに使うことで、伝達感度の面でもメガホン効果が向上しているかもしれない。

2022年後期からテスト開始、2023年バサクラで4位入賞したことで最終完成を見た「スーパーレイブン」。自分も開発に加わった「技徳カーボングリップ」搭載で次元の違う完成度になった

スーパーレイブンの使用例

「スーパーレイブン610MHR-F」の基本スペックを詳細に紹介すると以上になるが、3oz以上のビッグベイトを必要としない釣りであれば、これぞ2020年代を象徴する新たなバーサタイルロッドの代名詞ともいえる銘竿になったと自負している。

高比重ノーシンカーリグ、テキサスリグ、フリーリグ、スイムジグ、そして「ジャバロン110&140」、テクニカルな撃物全般をものすごく気持ちよく使え、「潰しの効きまくるロッド」、それが「スーパーレイブン」だ

すでに愛用している河野正彦プロは、琵琶湖にて「レインボーブレード」&「爆速シャッド」で使用し、見事な50cmUPを釣っていた。ハードな巻物にも高次元で対応する

リグラー」など2.7gネコリグのベイトフィネスから、ノーシンカーリグ、3インチクラスのイモ系、バックスライド系ワームのPEベイトフィネス、3.5g~7gボリューム系テキサスリグ、スイムジグ、「クジャラ」系モリケンリグ、5インチクラスシャッドテール、「ジャバロン110~140」ノーシンカーリグ、5~9g「ハドルギル3.9インチ」フリーリグ、ピッチング~ショートキャストで精度高く点で狙うフラットサイドクランクやシャロークランク、やや抵抗のあるダイビングシャッド、1/4~3/8ozスピナーベイト、3.5g~10gチャターベイト、バズベイト、2oz前後の首振り系中型ビッグベイト、「IK180~250」クラスのディープダイバー、「ダイバゼル」、「アベンタRS」等の羽根モノまで、難なくカバーできる次世代テクニカルバーサタイルロッド、それが「スーパーレイブン」である。

今江的には「メタルクロー」には最強の相性の良さを発揮する「スーパーレイブン」。乗せと掛けのタイムラグが全くない、切れ味抜群のフッキング性能は特筆できる。610のレングスもアワセが効く理由だ

今年のバサクラでは、実に「スーパーレイブン」が、11本のスターティング中、7本を占めるという、かつてない布陣に。それほどあらゆるルアー、テクに臨機応変に対応可能なのでロッド選択に迷いがなくなるのも気に入っている

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