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今江克隆のルアーニュースクラブR「2024年TOP50トレイル閉幕〜年齢…成績…プライド…ルアーの力…トーナメント人生の最終章にむけて〜」の巻 第1214回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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TOP50最終戦北浦水系をもって、2024年のTOP50トレイルが閉幕した。

荒天で2日間開催となった最終戦の結果は、31位。

この最終戦結果をもって年間成績は、トーナメント人生で考えたこともなかった49位/53名に終わった。

TOP50最終戦北浦水系戦が閉幕。60歳、辰年歳男を迎え、2024年は期するものがあったが…。結果はまさかの年間49位に終わった

最終戦は”守り”を捨てた展開に

すでに最終戦を待たずして、31位残留圏内に残れる可能性はなくなっていたため、今試合は、最低でも年一回の表彰台を獲得すべく、守りを一切捨てたゲーム展開に徹した。

最終戦北浦水系。自分にとっては得意な水系であるだけに、せめて最後に表彰台だけでも獲得したかったが…

結果的に初日1尾、2日目1尾という結果に終わったが、自分の中ではこの最終戦は決して手も足も出なかったわけではなく、内容的には今年最も価値ある試合だった。

今回も2日間ルアーマガジンが同船取材していたので試合詳細は後日公開されるが、少なくとも2日間、リミット以上のバスを手にできるチャンス、表彰台には乗れるチャンスが十分にあった。

だが、それをあと一歩で手にできなかった理由は、あきらかに自分の見つけた今回の勝負ルアーに対する練習不足と、最終日のラストにバラしてしまったバスの大きく開かれた口内を、間近で見るまで気づけなかった最大の「落とし穴」に尽きた。

初日3ヒット1キャッチ、2日目は5ヒット1キャッチ。2日目は表彰台が見えた試合だったが、思わぬルアーの落とし穴に、最後まで気が付けなかった

この試合に関してだけいえば、「ルアーパワー」は間違いなく存在した。

そして、それを練習中に見つけることはできたが、そのルアーがナゼ今まで普及しなかったか、その致命的理由にプリプラの練習不足で気付けなかったことが、最大の後悔だった。

今の霞ヶ浦水系は、バイトは必死に攻めても2時間に1度あるかないかだ。それをミスしてしまった時のメンタルダメージは凄まじい

ルアーの力

プリプラ時に体調を崩し、さらに天候不良で2日間しか湖上に出られなかったがゆえに、10年以上ぶりに使った、皆が忘れた「オールドルアー」の、TOP50ゆえの超ハイプレッシャー時に起こる致命的デメリットの改善に、気付けなかったのだ。

結果が全てのトーナメントだが、今回の最終戦は、もはや手も足も出ない年齢的限界、肉体的限界を感じるのではなく、まだ「ルアーの力」を見つければ表彰台を、優勝すらも十分あり得るのだという可能性、ルアーフィッシングならではの楽しさを感じさせてくれたこと、そして同時に「失いかけていた悔しさ」を痛烈に思い出させてくれたことだけは、間違いない。

この「オールドルアー」に関しては、バサーオールスター戦が同じ霞ヶ浦で開催されるため、今はあかせないが、その最大の問題点さえ解決できれば、オールスター戦でも強力な戦力となってくれると思う。

今年を振り返ると

今年のTOP50を振り返ってみると、60歳還暦、辰年歳男ということもあって、並々ならぬ決意で迎えたシーズンだった。

だが、開幕戦(七色ダム)試合中に予期せぬ右足脹脛の肉離れを起こし、エレキをまともに踏むことができず、完全に出鼻を挫かれた。

開幕戦初日朝一、幸先よくキロフィッシュを仕留めるが、メインに考えていたライブスコープを使った戦略が、まさかの脚の肉離れで瓦解。2日目はボートに立っているだけで精いっぱいだった

皮肉なことに冬季に練習してきたライブスコープの踏みすぎによる、筋疲労が原因だった。

その後、必死の治療とリハビリで、第2戦弥栄湖にギリギリで状態を戻して参戦することはできたが、今年の自分の試合の分岐点となったのが、この弥栄戦の初日朝一、2kg半ば確実なバスをネットイン寸前で原因不明のラインブレイクで逃した時だった。

観戦客とメディアの目の前で、長い長いファイトの末、完全に観念した見事な魚体のバスをネットに滑り込ませようとした瞬間、本当に何の前触れもなくあっけなくラインが切れた。

何が起こったか分からず呆然とするバスを必死ですくおうと身を乗り出したが、寸でのところで我に返ったバスは悠々とネットをかわし、泳ぎ去っていった。

その後ろ姿を呆然と見ながら、なぜかその時、自分の中で何かがプツンと切れてしまった気がした。

2024年の命運を決めたのは、第2戦弥栄戦での朝一に試合の流れを決める千載一遇の超ビッグフィッシュをバラしてしまったことだった。張り詰めた気持ちが、あっけなく切れた瞬間だった

脚の怪我を1カ月半で必死で治して、最も肉体的にキツい広大なエレキ戦で、この1本を獲れれば開幕戦の出遅れは帳消しになる…何もミスはなかったはずなのになぜそうなる…。

どこかで、もうこれ以上頑張れない、もう無理だという体力気力の限界を、この1匹ほど残酷に思い知らされたことは、今までなかった。

全てはこの一匹のバスが、その後の全試合の流れを決めてしまった気がする…。

バスが居る場所にはプロも必ず多数いる。それがTOP50。練習では全然バレないバスが、プレッシャーでバスの反応が著しく落ちる本番ではバレてしまう。それを獲れるか獲れないかで試合が決まる

惨めな結果とその戒め

それからの試合は、荒っぽいものだった。

今年から「3匹リミット」になったことで、年間上位を狙うにも、優勝を狙うにも、その後の試合は毎試合フルスイングで、後ろを見ない雑な展開ばかりになった。

ただ一人の「永久シード権を獲得しているがゆえのゾンビ状態」と、以前もここで書いたが、不死と引き換えにプロ選手として一番大切なものを失っていたように思う。

そして、今年のこの史上最低の惨めな結果は、その戒めとして、バスフィッシングの神様が自分に与えた最後の試練なのだろう。

「ルアーの力」はある!

果たして、それを自分が乗り越えれるかどうか、今は、何の自信も根拠もない。

ただ、まだ救いがあるとすれば、今回の最終戦で場所的知識や肉体的技術が劣っても、「ルアーの力」で表彰台に立てる可能性は、まだあることを感じたこと、そして4月から毎日続けてきたランニングとフィジカルトレーニングの効果は、少しずつだが確実な肉体的変化を感じられていることだ。

幸いにも、自分には新たなルアーの力を開発、発見できる環境と設備が十分にある。

体力と怪我さえ完全な状態に戻せれば、練習に費やせる時間は作り出せる。

「ルアーの力」は間違いなく存在する。だが、それを完璧に使いこなすには事前の綿密な調整とセッティングが不可欠になる

だが、年齢的にも、成績的にも、なによりTOP50プロとしてのプライドが、もう後がない最終章に近づいていることは、誰にいわれることもなく、自分が一番痛切に感じている。

それでもやはり自分にとってバスフィッシングとは、最高峰トーナメントで戦ってこそ、最高の喜びとルアーフィッシングの真の面白さが感じられる唯一の場所と、今も昔も思っているし、まだここが本当の限界だとも思ってはいない。

2024年10月29日、来季TOP50選手として41年間の選手生活で初めて永久シード権の行使を協会に伝えた。

来季は、本当の意味で、「(株)イマカツの今江克隆」ではなく、「トーナメントプロ今江克隆」としてのプライドを賭けた勝負の年となると思う。

最終戦で山下会長に初めての永久シード権の行使を伝えた。山下会長には65歳までやりなさいといわれたが、初シード行使で迎える来季がトーナメント人生の分岐点になるだろう

背水の陣として、もう一度なりふり構わず、スタイルにもこだわらず、自分の持てるスキルと経験全てを動員し、シングルヒットを地道に積み上げていく覚悟で、全身全霊を賭けてTOP50シリーズに再チャレンジしようと思う。

自分にとってバスフィッシングとトーナメントは同義語なのだ。来季はなりふり構わず全身全霊、泥をすすっても勝ち残る

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