今江克隆のルアーニュースクラブR「推しの小ネタ&『ヴィラル』の”正しい”使い方」の巻 第1212回
今週は、なんだか最近、別宅のように感じる霞ヶ浦は潮来市のホテルの一室から、久々の38度の発熱とともにお届けします。
年々、季節感がおかしくなっている日本の四季だが、今年も例年以上に寒暖差が激しい。
霞ヶ浦入りした3日前は、10月というのに半袖でないと暑すぎる暑さ。
ところが、練習開始と同時に一気に強烈な北西風が吹き荒れ、冷たい雨も手伝って気温はなんと20度まで急降下。
おかげさまでプリプラでは、あまり記憶のない酷い風邪をひいてしまい、一時は休載報告をしたほどのフラフラに…。
でも、練習を休むぐらいならルアーニュー程度、風邪ごときで休むわけにはいかないと、気力を振り絞って休載回避です。
あっさりと…
さて、手ごわい霞ヶ浦水系ですが、練習初日は「スキップドック」や「ヴィラル」で、意外にもあっさりとバスを手にできたので、今週は小ネタと先週発売になった「ヴィラル」の正しい使い方を紹介しよう。
このハンドルがいい!
その前に、まずは小ネタだが、今年の初めからデザインのカッコよさに惚れ込んで、個人的に使用しているベイトリールハンドルの「ゼロス・ビッグラウンドノブ」。
最初は、リールがカッコよくなるからという軽い気持ちだったが、1シーズン使い込んでみて、これは本当におすすめできる逸品だと、最近思うようになった。
「巻き感度」というキャッチコピーだが、それ以上に実にカッチリとしたブレやガタのない巻き感は「巻いてる感」を明確に伝えてくれるのは確かで、かなりデカい特徴的な丸ノブが、抵抗の多い巻きモノや重量のあるビッグベイトの操作性を、想像以上に快適にしてくれた。
これだけのビッグノブを90度の角度で一点保持するアーム部は、フッキング後のゴリ巻き時には多積層カーボンでは特にネジレを感じることが多々あった。
実際、カーボンハンドルは、年間数本は積層がねじれて剥がれ、割れてしまっていたのも事実だ。
だが、高強度ジュラルミン削り出しアームと独特のシャフトロック機構のお陰か、そのアームのねじれの不安感がなくなったことが、あらゆる面でプラスに出ている感じがする。
実際に全リールをゼロスで揃えているわけではなく、ABUのビッグハンドルや他社のビッグハンドルも混ぜて使ってきたが、その差はあきらかで、価格が超高いだけのことはあると思う。
と、シレッと宣伝したので、ZPIには来季は全リール分、頂こうと画策している小ネタです。
「ヴィラル」のトリセツ
さて、先週リリースになった河野(正彦)プロデザインのエビ型スイッシャー「ヴィラル」だが、このルアー、なかなかの玄人仕様で慣れない人が使うとちょっと「?」ってなるかもしれない。
その大きな理由は、巻き抵抗感がリップ付きプラグに比べると、かなりノー感じという点だろう。
あとスイッシャーとしては自分もビックリするほど価格が高くなっているが、それにはそれなりの深い構造的価値と他にはない釣るためのコダワリがあり、決して価格のつり上げではない。
見えないコダワリ
まず「ヴィラル」の性能と価格に大きく関わる見えないコダワリが、内部に配置された3つの純タングテン製ウェイトである。
ただでさえ、1個でもルアーパーツの中でダントツの高材料費となるタングステンだが、これを敢えて3つに分割して使ったことには大きな意味と違いがある。
実に、価格の1/3は、このウエイト費になるほどのタングテン3個を敢えて使ったその理由は、細身のエビ型ボディでパーツの多いWスイッシャーの浮力(空気室)確保の難しさと、スクリューの回転に負けない低重心・パラレル姿勢の制御効果だ。
一見、地味で見えない部分だが、ここはなかなか勇気のいる決断で、河野プロのリクエストに応えるには避けられない重要な意味を持つ部分でもある。
デッドスローで巻いても、速く巻いてもボディが傾かず、ヘッドアップもしにくいきれいなi字で、まさに無警戒のエビのように泳ぐ「ヴィラル」の、簡単に真似やコピーできない性能なのだ。
「ヴィラル」の使い方のキモ
「ヴィラル」の使い方は、基本的には水面直下をデッドスローで巻くだけでよい。
重要なのは「一定スピードを堅守する」ことのみ。
カクカクしたり、緩急がつかないようにリールを巻くことがキモだ。
これが、意外とノー感じで難しいのだが、ひとたび水面を渦巻かせるようなモンドリングバイトを体験すると、すぐにマスターできてしまうから釣りの実体験とは重要なのである。
ラインは間違いなく、PEラインの方が見やすく巻きやすいが、フロロ4lbだとラインが素早く沈むため、より美しいスイム姿勢が出せるし、風で流されることも少ない。
そのため自分は硬めのスピニングロッド(カレイド・ガルネリウス67M)に、フロロ5lbと大口径スピニングリール(シマノなら2500番、ダイワなら3000番)を好んで使用することが、霞水系では多い。
慣れるまでは見やすいPE0.6~0.8号で、リーダーを泳がせたい表層直下の水深に合わせ50~80cmほどつけると、リーダーの結び目で「ヴィラル」の泳ぐ水深確認も容易で、上達が早いと思う。
あと、まだその効果は「ヴィラル」が完成した初夏以降では未確認だが、ラインスラックをたっぷり出したミドストアクションで巻いてみると、さらにデッドスローでプロップが不規則にチラチラし、エビ脚フェザーが良い感じで靡いてくれるので、来年の春ごろには、なかなか楽しみな応用技になるかもしれない…と感じている。
おすすめのワンタッチチューン法
あと、足場の動かないオカッパリではノーマル状態が間違いなくベストなのだが、ボートの場合、知らぬ間に前進していることが多く、流れや風のある時はリールの巻き速度が安定せず、さらにノー感じになることがある。
そういった場合、フロントフックの下に「クイックチェンジャー」の0.9~1.2gをセットすると、姿勢変えることなく、巻き感をかなり向上させることができる。
すぐに「ヴィラル」が水面に浮いてしまうと感じた時やボートで素早く探りたい時、巻きスピードを速くした時には、特にこのワンタッチチューンはおすすめだ。
ブレードチューン
ちなみに、写真のチューンはブレードマニアな山岡プロのチューンで、腹部のトリプルにメタルクローのブレードを設置している。
このチューンも巻き感は大幅に向上し、腹部のブレード回転効果も手伝って、早めのスピードで広範囲をサーチした時にはとても有効なチューンである。
ただ、フロントフックのフェザーを取ってしまうと「ヴィラル」はヘッドアップしやすくなるので、フェザーはマストなパーツであることを意識しておいてほしい。
淡水サヨリもあり
また、エビ型スイッシャーとして開発した「ヴィラル」だが、 今年の霞水系はワカサギがめっきり減ってしまい、代わりに淡水サヨリが非常に多くなったと聞く。
確かに、テナガエビと同様に玉ねぎや護岸際の表層直下を、数匹の群れで回遊する姿をよく見かける。
関西の方にはなじみの薄い淡水サヨリだが、チャートのくちばしと半透明にもみえる淡いグリーンの背中が非常に美しいバスの大好物でもある。
「ヴィラル」のスイム姿勢は、ある面では淡水サヨリのそれにとても似ていることから、淡水サヨリの新色も、来月リリースすることになったが、なかなかの美しさと見やすさで、個人的には一番気に入っている。
コダワリのヒゲ
最後に「ヴィラル」には河野のコダワリである特徴的な髭(ヒゲ)が付いているが、効果のほどは定かではないものの、髭がないと釣れる気がしなくなるのもまた事実だ。
まあ、コストを無駄に上げる?コダワリともいえなくもないが、河野的には絶対必要な「ヴィラル」のキモだという。
この髭は、簡単に交換可能な構造に仕上げてあるので、自分の好みの髭に変えることが可能だ。
以上が簡単な「ヴィラル」の取説紹介だが、さらに詳しい「ヴィラル」の特徴に関しては、イマカツデザイナーの“ゴッドハンド”長井のブログを是非、読んでみてほしい。
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