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今江克隆のルアーニュースクラブR「どうなる?ライブスコープ規制!どうなる?バスフィッシングトーナメント!」の巻 第1211回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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さて、今週は一部界隈で話題沸騰中、喧々諤々(けんけんがくがく)の論争になっている、先日のTOP50第4戦桧原湖で発表になったJB/NBCの「ライブスコープ(ソナー)規制」に関して、今江的解説をしてみたい。

最初に断っておくが、まだJB/NBCでのライブスコープ規制は、何も具体的なことが決まったわけではない。

基本的にはアメリカのB.A.S.S.傘下のエリートシリーズ、クラシックにおけるライブスコープ規制が決まったことを受けて、そのルールに準じてJB/NBCも来期以降、規制を「検討中」というものであって、現時点で自分が知る限り、まだ全く何も決まっていないことをご理解いただきたい。

ただ、釣り業界の面白いとこで、ナゼか出所不明の規制内容に関するまことしやかなウワサが出回っており、「これでライブスコープ派は大打撃、アナログ派復活!」みたいな意見も、SNS等では散見される。

しかし、現実としてこのライブスコープ規制は、そんな簡単・単純なものではない、深~い裏事情を解説してみよう。

モニターに映るバスの巨大な群れ。もう、こんなのを見たら、ライブのとりこになるのは理解できる。だが、同時にそのスタイルから様々な賛否両論が巻き起こった出典:sonar_jp

アメリカB.A.S.Sの規制内容

まず、あくまで自分が知りえた範囲でのアメリカB.A.S.S.の規制内容だが…

  1. ボートに搭載できる総モニター(ライブソナー以外も含め)のサイズ合計が55インチ以内
  2. ライブスコープトランスデューサー(端子)は、エレキシャフトに設置する1個のみ
  3. ローテーターの使用禁止
  4. 長距離用強力トランスデューサーLVS62の使用禁止

と、いったころだ(微妙に違ってたらスイマセン…)。

もし、JB/NBCが「B.A.S.S.規制に倣うのなら」の仮定の話だが、まずモニターサイズに関しては、現在のTOP50バスボート戦においては、かなりのプロが余裕で55インチを超える装備を「すでに装備」しているだけに、いろいろな問題は起きる。

TOP50プロのフロント装備。先日の桧原湖戦では、もはや標準装備に近い装備だ

リザーバー用の14フィートのイーグルの装備。フロントだけでも総モニター数42インチ。リアには12インチの魚探1個でリミットになる

今年から、あきらかに主流になった16インチをエレキシャフトとローテーターに装備し、ハミングバードのメガハミン360をデッキに装備しているプロはかなり多い。

垂直(縦方向)に映すライブスコープに対し、俯瞰で平面を360度映すメガハミン360。俯瞰ではメガハミンがパースペクティブに比べ見やすいため、ライブと360を併用するプロは非常に多いが…出典:SONAR_JP

自分の場合でも、フロントデッキに16インチ×2、メガハミン12インチ、ローランス10インチ、リアにはコンソール埋め込み型ローランス16インチ、ハミン・サイドイメージ12インチ、総合計で82インチとなる。

魚探関連は、スポンサーサポート契約がないため、埋め込み型ローランス以外は今季に新たに自腹購入したモノなので、これを今さら55インチ内に納めなければならないと、絶望的に無駄な出費となる。

レンジャーの運転席には、コンソール埋め込み型のローランスが3年前は標準装備だった。外せないローランスの16インチは、今や重荷か?

さらに、アメリカで大流行の22インチのNBTマリンモニターを購入予定(超品薄で予約順番待ち)だったが、規制発表があったことで急遽、キャンセル、この22インチモニターは12インチのガーミン親機も必要なので最低、それだけで35インチ(残り20インチだけ)となるため、事実上、他の魚探が物凄く制約されることになるためだ。

NBTマリンの22インチモニター。もはやアメリカのB.A.S.S.では当たり前になっており、入手超困難モニター。TOP50でも、すでに4~5人ほど装備しているのを確認している

つい先日、NBT22inchマリンモニターの入手困難問題を解決する、「GFGバトルフィッシュ・プロ」という22インチモニターがKISAKAより発売される告知があった。

だが、プレミアがつくNBT22inchに対し、まさかのオープニングセールと銘打っているのは、日本でもモニター総数制限が今後のビッグモニター販売状況に影響がないとは言い切れないだろう。

KISAKAが日本総代理店として販売を発表したGFGバトルフィッシュプロ。来季のJB/NBCの規制内容が不明のため、購入できないでいる出典:kisaka

ローテーターを作っている日本のメーカーにおいては、もはや壊滅的打撃だろう。

日本では、すでに5年前から大流行のライブ用ローテーターだが、アメリカでは使用禁止に。もし使用禁止になれば、日本の製造メーカーはお手上げだ出典:sonar_jp

絶望的な先物投資になる可能性

さらに、もしJB/NBCが全カテゴリーでB.A.S.S.同様の規制をした場合、1台120~200万円近い価格のライブスコープを多大な借金を背負ってまで購入したプロ達にとっては、中古を売ることもなかなか難しくなり、絶望的な先物投資になる可能性はある。

ただ、だからといって、チャプターやマスターズはOK!TOP50、クラシックはダメというのも、なんだか本末転倒な気もする。

事実、そもそもバスフィッシング人口が日本に比べ桁違いに多いアメリカでも、B.A.S.S.は規制を決めたが、最高賞金カテゴリーでもあるメジャーリーグフィッシング(MLF)は、まだその姿勢を明確に示していない。

だが、これは既装備の金銭的犠牲を払えば解決という簡単な問題ではない。

本当の問題は、果たしてこの規制が「ライブの減退、アナログの復活」になるのかということだ。

B.A.S.Sの規制目的がライブによる「ブラックバスの資源枯渇防止が最大目的」なのかといえば、そうともいえないからである。

アメリカは国魚ともいえるバスの資源管理を放流等で完全に確立しており、日本とは根本的にバス釣りへの姿勢や環境が異なる。

日本の「B.A.S.S.に倣った規制」の目的が「バスの資源枯渇防止」、「アナログスタイルへの回帰」が目的ならば、それは大きな間違いかもしれない。

規制の目的は? ハンディか? アドバンテージか?

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