今江克隆のルアーニュースクラブR「2024年TOP50終戦報告と今後の進退について」の巻 第1209回
TOP50第4戦桧原湖が閉幕した。
結果は42位で予選落ち。
これに伴い、4戦終了時点での年間順位は、経験はおろか、想像すらできなかった、まさかの53名中50位となった。
これで最終戦の結果を待たずして来季残留資格である30位以内への自力残留は数字上不可能となり、自分の今年度TOP50は事実上の終戦となった。
今年の不振の原因と今後については後述するが、まずは第4戦桧原湖を振り返ってみたい。
好調だったウィードパターン、戦略
2週間前のプリプラの時点での桧原湖は、過去に例を見ない高水位とウィードの多さからか、絶好調だったことは前回の記事通りだが、例年9月から冬水位へと水を抜くことから、試合本番は別世界になることは、長年の経験から想定済みだった。
プリプラではシャローの謎のラーメンウィードエッジから水深6mのディープに岬状に点在する背が低く硬いカナダ藻のパッチに、大型スモールが複数匹で群れており、これを「エビフライ」のキャロとブレードアラバマ、キッカーは、なんと「ブシドー4インチ」のフリーリグで、800g以上でリミットが楽に揃う状況だった。
微かな望みで例年以上の高水位キープを期待はしたが、逆に高水位ゆえに平年水位へと1m以上も急激に減水を進行させた桧原湖は、まさに想像以上の別世界となった。
太陽光が差し込む限界点の6mが4.5m前後まで減水したため、琵琶湖育ちの自分が最も得意とするウィードパターンは完全に消滅していた。
だが、3尾リミットとなった今年、変化したものの、直前プラでは昨年のように5匹800g~850gで揃えることは、なかなか難しくても、3匹だけなら揃えることは、正直「誰にとってもライブフィネスに徹すればさほど難しくはない」と思われた。
よって、3匹2,400g~2,700gの範疇で毎日大混戦、抜け出すためにはスモールの1kgクラスを毎日1尾か、2kgクラスのラージマウスを1本入れる必要があった。
ここまで年間順位48位と大低迷していた自分にとって、この桧原湖戦と最終戦で自力残留30位以内に戻るためには、最低でも2戦とも表彰台に限りなく近いシングル入賞が必須であり、予選通過や15位入賞圏内狙いは、端から無意味なのだ。
ゆえに、自分がプリプラから徹底して取った戦略は、2kg以上のビッグラージを2日で1本は必ず仕留めることだった。
この戦略は、久々だったが、過去、桧原湖で表彰台に立った折には高確率でビッグラージを仕留めており、本気で狙いにいけば仕留める自信と経験はあった。
ビッグラージ狙いに絞る
プリプラでは、桧原湖1周をエレキで回るほどラージ探しを徹底した結果、60cmをはるかに超える磐梯太郎、そしてなぜか常にその太郎とペアで回遊している55cmクラスの怪物スモール・姫、55cmはありそうな二郎、50cmはあるであろうアーモンドのような体形の三郎、四郎と、計4匹のビッグラージを見つけていた。
しかも、なぜかプリプラ時の4匹は、みなかなりのイケイケで、「レイジー7」に水面系プラグに反応が非常によく、釣れるのに釣らないようにするのが、なかなかの苦行だった。
ただ、減水で消えてしまうことも十分考えられるため、この4匹の何匹が本番まで残っているかは運次第だった。
だが、結果的にこの4匹と1匹の姫は、直前プラでもほぼ同じ場所にいたのである。
恐らく「太郎&姫」と「二郎」は、かなり特殊なスポットの「縄張り」のようで、気付いていたプロは自分以外には一人いるかも?という程度で、過去の経験からも、これは勝算のある勝負になる…と考えていた。
試合初日
そして試合当日、フライトは案の定、イマイチな25番スタートだったが、自分は迷いなく朝一からラージ勝負を決めていた。
獲れなければ、スモールのゴールデンタイム朝一を失うが、獲れればグッドスモール3匹分の重さはある。
フライトと同時に迷わず太郎と二郎のスポットに向かうが、そこでまさかの光景を目にすることになる。
両方のスポットに、まさかの先行者がいたのだ。
仕方なく近くのスポットで様子をうかがうが、その先行者の1人が、プリプラで何度も出会った一人のプロだった。
もう一か所のスポットのまさかの信じられないような不運は、ここでは伏せておきたい。
事実上、ここが今試合の勝負の流れを決めてしまった分岐点だったと思う。
出鼻をくじかれ…
出鼻を完全にくじかれ、さらに三郎、四郎を狙いにいくが、この2匹は、ある条件が揃わなければ現れないラージで、初日は完全に不在。
強い日差しが刺し始めた9時ごろになってディープのベストスポットに慌てて向かうが、そこにドンピシャでいたのが、まさかの山岡計分プロ…。
試合後に聞いたら、山岡プロの4位入賞メインスポットだった。
そして2番手、3番手のディープスポットも、すでに他選手が貼り付いており、入るスポットがない後手状態に陥り、焦りが加速する。
ならばと、再びラージ狙いに行くが、すでに4匹は不在、またディープに行くとキースポットを抑えられ、周りばかりが釣れている状況に耐えられず、またまたラージを探しに行く最悪の悪循環に陥ってしまった。
ラスト1時間半
結局、ラスト1時間半でやっとスモールのスクールを見つけ、ブレードアラバマの改造「ベビキラ ウェイク」で3尾をギリギリで釣ったが、初日は1,900g、45位に沈んだ。
そしてその日、朝一に先行していたプリプラから警戒していた一人のプロ、宇佐見(素明)プロが2,400gの二郎を仕留めていたことを知った。
獲れば天国、獲らねば地獄、それが桧原湖のラージマウス一本勝負なのだ。
2日目
そして2日目、もう45位からシングルを狙うには2kg越えのラージを仕留めるしか道はない。
だが、2日目はディープに未練を残さないため、朝一の1時間だけをスモールのリミットメイクに当てることにした。
そして朝一、ブレードアラバマの改造「ベビキラ ウェイク」で、わずか30分で3尾リミットを達成、2尾を入れ替え1時間たたずに2,200gとし、シャローのラージ勝負に残り時間を賭けた。
だが、太郎と姫(取材乗船記者も目撃)は、依然、その場所にいたが、再びまさかのお邪魔に見舞われ狙えずじまいでジ・エンド。
宇佐美プロに獲られたであろう二郎は確認したが、やはり不在、三郎、四郎を狙うが、これまた不在。
そして展開3巡目くらいだろうか、集中力が途切れかけた昼過ぎ、条件が揃ったタイミングで再び入った流れ込みの激シャロー桟橋に投げた「ハドルギル5.8インチの」ノーシンカーリグに、ついに四郎が飛び出してきてバイトした。
だが、渾身のフッキングの瞬間、まさかのドラグがズルズルに滑ってしまい、首振り一発でバレてしまった。
なんの因果なのだろうか、一度も緩めたことのないベイトリールのドラグがなぜか大きく緩んでいたのだ。
この信じられない凡ミスが、今年は幾度あっただろう。
気の緩みといえばそれまでなのだが、何か抗えない運気の流れのようなものを感じてしまう出来事だった。
この凡ミスさえなければ3kgは余裕で超え、大逆転だったと思うと、とてつもない後悔の念に押し潰され、もうそこから振り絞る気力も執念も残っていなかった。
宇佐美プロが逃げ切り優勝
結果的に第4戦桧原湖は、2,400gの二郎を仕留めた注目若手の宇佐美プロが逃げ切り優勝となった。
せめてもの救いは、宇佐美プロが優勝コメントで「今江さんと練習から見つけてたラージの場所が被ってて…」と語ってくれたことだろうか。
しかも、宇佐美プロがラージを釣ったルアーまでが同じ系統で考えていたから、皮肉なものだった。
今後の進退について