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今江克隆のルアーニュースクラブR「最強のテナガエビメソッド!『ヴィラル』の秘密を公開」の巻 第1207回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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「ヴィラル」オンリーで勝負

毎年、Basser誌の厳しい選出基準により選ばれた選手のみが出場できる、大人気トーナメントであるBasser ALLSTAR CLASSIC

そして各メーカー推薦のサポートプロ選手たちが、東西わずか2枠の参戦権を争う特別試合が、AllStarワイルドカードトーナメントである。

推薦とはいえ、参加するには高額のエントリーフィーをメーカー側が払う必要があるため、看板を背負う選手の責任も重大な試合である。

その東日本大会が先週、霞ヶ浦全域で開催された。

そしてイマカツからはオールスターへの夢を賭けて、バスプロサポート推薦で河野(正彦)プロが出場。

自らデザインした「ヴィラル」オンリーで3位入賞を果たした。

優勝以外は価値のない大会といえばそれまでだが、真夏の霞ヶ浦で屈指の強豪ロコ達が出場する大会で、ハードベイトオンリーでのこの結果は、個人的には高く評価できる試合だったと思う。

そこで今週は、河野プロを3位に導いた「ヴィラル」の隠された秘密を公開しよう。

河野プロが狙ったのは

河野プロが狙ったのは、真夏ということもあり、小規模流入河川だった。

それも誰もが敬遠しがちな、延々とシートパイル(鉄の並板)護岸で、見た目もボトムも何の変化もない小さな川である。

両側をフェンスで囲われているため、オカッパリができないのも選んだ理由だが、それ以上にこれこそが「ヴィラル」の最大の強みを発揮できる場所だったのだ。

この何の変哲もないシートパイル護岸川で、河野プロは「ヴィラル」で3尾3,100gという、優勝にこそ及ばなかったが、オールスター戦でも確実に上位に入られるウェイトを出した。

その理由こそが、シートパイル護岸に最も多いバスのエサ、護岸際のわずかなシェードの表層直下ギリギリに張り付くように泳ぐテナガエビやヌマエビ、ゴリなどの自然な泳ぎと姿を完璧にイミテートできたのが「ヴィラル」だった。

シートパイルのわずかなシェード、壁際ギリギリを超タイトに、表層直下をゆっくりと延々と巻き続けるだけ。

それが、最強のテナガエビメソッドだったのである。

この釣り方は、実はバスボートでていねいにきっちり行うのはかなり難しい。

シートパイルをギリギリに巨大なバスボートを静かに、当てないよう沿わせ、着水音をできるだけ殺すキャストのていねいさを要求される。

エビは派手には跳ねないので、着水直後の巻き始めの1mが一番重要なのである。

裏を返せば、「ヴィラル」のこの釣り方は、霞水系や都市型河川では、「オカッパリでこそ、最強の護岸メソッド」ともいえるだろう。

単調な護岸でのオカッパリだからこそ、この作業は最もていねいかつ、快適に気配を殺して続けられるからだ。

ちなみに、ワイルドカード本戦では「ヴィラル」で3本、同じエビカラーの「メタルマウス」で1本を釣ったが、ウェイインしたのは「ヴィラル」の3本だった。

プラの段階では、飛距離とキャスト精度が圧倒的によい「メタルマウス」で手ごたえを得ていたが、試合になると他選手のプレッシャーもあり、「ヴィラル」が抜群に効いたそうだ。

特注の硬質軽量ステンプロップ

この「ヴィラル」の特徴の一つが、クローバー型の穴を持つ特注の硬質軽量ステン(レス)プロップ。

この凸凹の穴が、甲殻類が泳ぐときに出す音にソックリ?と勝手に思ってる独特のシャリシャリエビサウンドを回転時に発生している。

拡大写真で見るとよく分かるが、非常に高回転で回るため、クローバーのエッジとヒートンに摩擦による摩耗跡が見える。

実際、フローティング仕様では、無風であれば結構な金属音が聞こえるほどだ。

今江的には、この金属が擦過(さっか)する独特の音は、バス釣りにおいて重要な効果を発揮すると信じている。

ヒゲとシッポ

だが、「ヴィラル」を開発するうえでプロップサウンド以上に重視した秘密がある。

この写真は、水中撮影を行ったものだが、エビのハンプバックした形、髭(ヒゲ)、シッポのカタチは、決してただのエビの姿を真似しただけではないのだ。

一見、エビのシッポみたいに見えるが、このテール形状がハンプバックしたボディにもかかわらず、「水平姿勢かつ直進性維持」に大きな役割を果たしている。

スピードを上げてもロールせず、ひたすら完璧な水平姿勢のブレないi字スイミング、同時に曲がったボディなのに真っすぐきれいに飛ぶ飛行姿勢にも寄与している。

ダブルフェザーフック

また、こちらも一見「エビの腹脚っぽさ」のための前後マダラBKKフェザーフックと思われそうだが、このダブルフェザーとラバーの髭が、実はめちゃくちゃ水平姿勢に貢献しているのだ。

エビのスイミング姿勢を演出するために、シンキングスイッシャーにありがちな「ヘッドアップ姿勢」を抑え込む工夫が、ダブルフェザーと髭なのである。

試しにどちらか一方のフェザーをノーマルフックに変えると、水平姿勢が崩れヘッドアップ姿勢に変化してしまう。

シンキングWスイッシャーで難しいのは、いかに水中で水平に近い姿勢を維持できるか、ここが「ヴィラル」の本質的な釣れる秘密なのである。

ちなみにラバーの髭は、河野のコダワリなのだが、実は何気にこの髭も水平姿勢に寄与していることが、あとから分かった。

河野が知っていてそれを希望したとはさすがに思えないが、「エビらしさ」、「エビと思い込めるコンフィデンス」には、何気に欠かせないギミックでもある。

この髭は、簡単に着脱可能なので、自分の好きなカラーに交換も可能である。

さらに続く!「ヴィラル」の秘密

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