100種を超えるプロト試作の末…「ダンゴウオ」
「礒野寛之のエリア開発通信」として、開発者としての赤裸々ボイスをお届けしている当コラム。
vol.4となる今回は、各方面で情報を小出しにはしていましたが、100種を超えるプロト試作の末、ついやっと先日、金型へと量産体制が整ったダンゴウオ(マイクロクランク)についてです。
まだ発売は冬シーズン頃になると思いますが、先にルアーニュースRのコラム内で情報公開いたします!
開発のきっかけは「草や泡」をパクパクとくわえる魚の存在
ダンゴウオ開発のきっかけは、エリアトラウトで見掛けることのある、とあるシーン。
水中に漂う葉っぱの小さな欠片や泡など、それに対して大きな移動をする事もなく何となくの勢いで「パクっと」優しくわえるトラウトを見たことありませんか?
そんな魚は、遠くにあるものをわざわざ必死に泳いでまで食べに行くことも少ないかと思います。風や水流が効いている時は特にですが、こんなものが何度も目の前に流れてきたら、パクパクと食べては吐き出している。
このダンゴウオに求めたのは、水中に漂う草や泡と同じように自然界に溶け込む“水中同化”がより忠実にできるものであること。
遠くにいる魚は気付かなくて良いんです。逆に気付かないよう拘りました。
こちらからそっとルアーを近づかせ、魚が気付く近距離で初めて反応させる。その方がこの釣りに関しては都合が良く、目の前に来て初めて食い気が働くので、移動距離を必要とせず魚も安心して何度もその場でルアーをパクパクとくわえてくれます。
ちなみにダンゴウオという名前は、海で実在する体長2cm程の魚「ダンゴウオ」から。カラフルで可愛い外観に、一生懸命に泳ぐ姿で人気のある魚です。そのダンゴウオの泳ぐイメージを、このマイクロクランクを泳がすざっくりのイメージとして欲しく、この名前にしました。
やる気・体力の少ないトラウトに対して同目線で「つまみ食い」させる“水中同化系”マイクロクランクベイト
まずはこの動画をご覧ください。
出典:エリアトラウトゼミナール
撮影時は、魚のスピードがルアーの設定スピードよりも速かったためベストではありませんでした(魚も外れたレンジから上がってきています)。追い越すように食ったり、バイトの時だけプンっと首を強く振る時は、ダンゴウオにとってベストなフッキングではないんですよ。
そんな時でもある程度状況アジャストできるよう、加速巻きにも対応させた設計にはしていますが、あくまでも「スロー域の追求」を目指したこのプラグ。そういった時は他のマイクロクランクやマイクロスプーンも使い分けとして活きてくるでしょう。
動画の魚以上に魚がぼ~っとしている状況。それをイメージしていただければ「そうそうこの状況ね!」と分かる方も多いのではないでしょうか。
ルアーを追うための体力・気力を使いたくないオーラが満載なコンディション下でも、思わず”つまみ食い”したくなる状況は作り出せるものです。それを完全再現できるルアーがこれまでなく、何とかそれをカタチにできないか…。そんな興味心からダンゴウオは生まれました。
検証のため、その数100種は超えました…。
効果的な使用シチュエーション
✓ 目視できる魚の行動速度(反応前の遊泳速度や、チェイス/バイト時の遊泳速度)が遅く、ふら~っと泳いでいる時
✓ 反応し追いかけてくれる距離が極端に短い時
✓ 喰わせ切る距離が足りないとこれまでスルーしていた“灯台下暗し的”な足元ゾーンを狙う時。
✓ マイクロスプーンでも振り速度や明滅などにより、アピールの強さを感じる時
✓ ラインスラッグを緩める事でトラウトの警戒心が解きやすい時(でもフッキングは両立したい時)
✓ 釣りに不慣れな人でもエリアの釣りにハマらせてあげたい時
これらはあくまでも一例ですが、当てはまる状況は一年の中でも非常に多くなります。
ダンゴウオの真骨頂となるのは、ゆっくりテロテロと漂わせるような巻きになりますが、追い気のある魚と遭遇した時には、加速するように巻いてみるとよりスイッチが入る場合もあります。
巻きムラを吸収してくれ、糸の振れも水中で目立たない設計
このダンゴウオは、ラインテンションを抜いた状態で引いたときに「巻きムラを吸収してくれる」よう、そして「糸の振れが水中で目立たない」よう意識し設計しています。
繊細なルアー程、基本的には巻きスピードの僅かなズレやムラが誘いに影響されやすいもの。アクションの振り幅やピッチ、ラインの動きが不安定だと魚も違和感を覚えてしまう状況もあります。それを極力排除できるよう細かな部分まで拘りました。それについてはまた別の機会にでも。
テスト段階終盤でも、釣りが初めてな人やまだ不慣れな人にもテストに協力してもらい、周りのベテラン以上に釣果を出してしまうこと多数…。何なら竿を使わずに手でラインをもって引っ張りテスト、そして状況が合えば連発…(笑)。
止めても拾い食いをしてくれる、そこから巻き始めても同じ魚がくわえてくれる。本来であれば、入力の変化に対して見切る魚が多いのが普通ですが、それらの境目(見切りのリスク)を最小限にまで減らしたのがアクション的な特長です。
なので、初心者の方だと感覚的にもラクに釣れる。知らないうちにルアーが仕事をしてくれている。そして、エキスパートな方だと最果ての位置づけとして有効的に使い分けてくれる…そんな願いから拘りに拘って、設定したアクションになります。
高いフッキング率・キャッチ率へと繋げるメカニズム
魚はルアーの動きに合わせて追い方も連動する場合が多く、ダンゴウオのボディ振りの弱さは、魚もそれに連動してゆっくり追ってきてパクパクとくわえることが多いです。
ラインテンションを掛け過ぎないでコントロールできるから、魚にとっても「引っ張られる違和感」が少なく、何度もパクパクし直してくれる。でもゆっくりと巻いている状態だからその場で止めておくものに比べて各段にフッキング率が高い。その場でパクパクとくわえる状況に適したフックを1ヶ所に2ヶ付けられるので、魚がボディに近づけば、口の周りのどこかしらに絡め掛かってしまう…という訳です。
バイトに関する例え話
例えば、ゲームの主人公と同じように魚に「10」のライフがあるとします。
魚のやる気と体力が限られている状況で、ルアーに対して強く反応し過ぎてしまうとそのライフもぐんぐんと消費してしまうので、1回のバイトに「10」全て費やしてしまう場合も出てきます。それが切れないうちに食わせる手段が必要となってくる訳です。
それに対してダンゴウオは、魚のすぐ近くに到達してやっと気づいてくれるのと、そこからすぐには逃げようとしないので「これならいっか」とのんびりとくわえてきてくれます。「引っ張られる違和感」も少ないのでライフも1~2ずつしか減らないので、何度も食べに来てくれる。バイトシーンを観察しているとそんな雰囲気があり、その目視情報だけでもとても楽しいものです。
さて、そんなダンゴウオは以下のようなアイテム展開をしていきます。
ダンゴウオSR-Low
目視できるような浅い水深で魚がウロウロしているものの、追う距離が極端に短かったり、追い気を感じられない、そんな状況に遭遇したらSRタイプの出番です。
まず魚の目線まで持っていく事が大事な要素となります。逆テーパーのリップ形状を採用し「ふわふわ」とややテンションの抜けた浮遊感のある揺らぎウォブリングで誘います。わずかな巻きムラやラインテンションの変化でも食わせ方向にアクション(振り幅)が崩れてくれやすく、ラインテンションを軽く張っているだけでも食ってしまうのは、つまみ食い誘発型設計だからこそと言えます。
ダンゴウオDR-Low
SRタイプではどうしても魚の目線まで届かない時に頼りになるのが、DRタイプです。
魚の居場所がはっきりとしていてそのスピードが遅い時には、魚の目線に近づくレンジまで素早く潜らせてから、浮遊感を活かしゆっくりと巻いてみてください。潜行を抑えながらゆっくりとそのレンジに近い魚を探す事が可能です。
また、食わせるレンジが広かったり定まらない中では、潜行できる程度スピード感を持たせて巻くことにより、潜行角度とスピードが相まって、魚とのコンタクト率を増やしていく事も効果的です。潜り切ってから巻き上げ軌道に変化するシチュエーションもバイトが多発しますので、足元まで気が抜けません。
もう一つの浮力設定“High”は来春予定
Lowタイプでのすき間を埋めるためのもう一つの浮力設定…それは“High”タイプ。アクションの質の微調整や、魚への目線へもっていくためのレンジ合わせ等でやっぱり必要なんです。
そしてもう一つの理由。Lowタイプはスロー域に最適化させた仕様であるのに対して、Highタイプは少し大きめのフックを付けられる余裕を残しています。一見、ほんのわずかに思える浮力差。でもそれが釣りの幅が広がる重要なファクターとなってきます。
まずはLowタイプで“ダンゴウオらしさ”を体感していただき、その上でHighタイプをより巧みに使いこなしてくださいね。
YouTubeチャンネル「トラウトゼミナール」も必見
不定期更新ではありますが、開発者ならではのマニアックな話はエリアトラウトファン必見。今後の新製品についてはここでも紹介していきます! ※下記画像をタップ
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新たなルアーやロッドも続々開発中!
納得できるものだけ製品化しているので、現在進めている大量のプロトも、その後どうなるかは未定。この「位置づけ欲しかった!」「なにこれ!」という衝撃を与えるようなものも進行中です。
またこのコラムやYouTubeエリアトラウトゼミナールでも情報を出していきますので、楽しみにお待ちくださいね!