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メガバスのイカメタル・オモリグロッド「海煙VSM」はどうやって産声を上げたのか~開発の紆余曲折~

寄稿:村上 哲
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皆さんこんにちわ。軟体ターゲット大好きアグラーのモジャオこと村上 哲です。

村上 哲(SATORU MURAKAMI) プロフィール

モジャオの愛称で阪神間、日本海側(敦賀、鳥取)までをホームとしてボートゲーム展開。大好きなターゲットは蛸、烏賊の軟体系。釣りと調理と食べることが同じくらい大好きな食いしん坊系アングラー!

僕が開発に携わらせていただいたロッド海煙VSM。そう、メガバスで初となるイカメタル・オモリグ専用のロッドについて、今回はどんなロッドかをもっと深く知っていただければと、開発の紆余曲折のお話をさせていただきます。

自分が本当に「ほしい」と思えるロッド

僕は一昨年よりメガバスプロスタッフとなり、ボートオクトパスゲームをサポートする形で活動。並行してイカ釣りが大好きで、初春から晩秋までイカ三昧な日常を送っていた訳です。

イカメタルシーンに参入

僕が幅広いエリアに通っている事を知ったその当時の担当者の方から「メガバスとしてもイカメタルシーンに参入したい」という熱い想いが伝えられ、ロッド作成にあたりコンセプトの設定・現場でのテスト、及び作り込みに関する情報の提供を了承。

僕が理想とするロッドでもっとも重要と感じていたのがティップ。メガバスといえばデストロイヤーを皮切りに数々の名作ロッドを作ってきた歴史がありますが、ことイカメタル・オモリグロッドについては初めての試みとのことだったので、とりわけ繊細なティップが作れるかどうかを尋ねたところ…これまでにもしっかり実績がある旨を聞き、安心したのを覚えています。笑

1人で黙々と…

ロッドの製作にあたり、先輩プロアングラーさんからはどんなロッドを作ったら良いか等は聞かず、また尖ったものを優先するのでも無く、「自分が本当に欲しいと思うもの」を作っていくべきだとアドバイスをもらいます。そして、教えてもらった通り、テスト→フィードバック→改良依頼を繰り返していく日々。いっさい誰に意見を聞くことなく1人で黙々と行いました。

…さすが、メガバス

もともと、その当時あったオモリグロッドは手本となる素晴らしいロッドはあったものの、僕的にはストレスを感じるものの方が多くこうしたいという構想はあったので割と早く固まりました。

ファーストプロトのレベルが高い

そしてこんな感じで作って欲しいとメガバスに依頼したところ、各カテゴリーの竿が一度に大量に届きメガバスのイカメタルシーンに参入したいという熱を再確認することに。

およそ“こんな感じにしたい”という思いを技術スタッフ達が実釣会の折しっかり聞き取ってくれていた為、初めてイカメタルロッドを作ったとは思えないブランクスの調子や、グラスの粘りがあり滑らかなティップ素材の使用…等、ファーストプロトから「さすが、メガバスだ…」と思いながらテストを重ねていきました。

モノ作りはファーストインプレッションを大事にしないと自身がそのロッドに慣れてしまう為、最初の印象を大事に実際のロッド開発を行いました。各調子のものの特徴をまとめ、書面に残し、慣れるのではなく間違っていないかの答え合わせの為に繰り返し実釣を行いました。

妥協なきモノづくりを

各アイテムのコンセプトもハッキリさせたかった事もあり、ラインナップとしてはオモリグアイテム2機種、イカメタルアイテム2機種(右・左スパイラルあり)とし、用途に合わせたロッドとして合計4アイテム(+逆スパイラル2機種)リリースすることに決定。

リテイク(手直し)は本当に僕が釣りがしやすく、そして“楽しい”をとことん追求する為、わがままいっぱいにオーダーさせてもらいました。調子を確定するまでのリテイクは間隔こそ長かったですが、たった2回のリテイクで済ませました。なぜならそれだけハッキリとしたコンセプトがあり、それにメガバスの技術者が確実に応えてくれた為、それ以上作り直す必要が無かったからです。

半端じゃない答え合わせ

でもその答え合わせの量は半端に済ませておりません。実釣を重ね300kg(済み抜き後)を超える水揚げを行い、自信を持って絶対これだと勧められるロッドに磨き上げました。

そして僕のテンションが本当の意味で上がったのは、直前プロトで装飾が完了したものが送られてきた時です。

高級感漂うヘッドロッキングシステムの採用、各ラインナップにオリジナルシートが装着…随所に磨き上げられたハイセンスなデザインが光る、“ギア”が好きな人ならイチコロの格好良さ。

そして、それらを施しても尚揺るぎないバランス設計は驚愕に値しました。

正直このロッドのテストを一手に引き受けたのかと夢見心地になりかけましたが、最終調整としてリールシートの指のかかり部分に長時間の実釣では指が痛くなるであろう箇所を発見、是正を促したところ…型から全て作り直してくれました。

こうして、正にメガバスの妥協のない拘りが詰まった商品となり「海煙VSM」は産声をあげたのです。

海煙VSM関連動画はこちら

出典:YouTubeチャンネル「LureNews.TV」

メガバス(Megabass)

1986年8月15日設立、静岡県浜松市を拠点とするルアーメーカー。デストロイヤーをはじめとする各ロッドシリーズ、各種バス、ソルトルアー、リールなど、あらゆるフィッシングタックルを輩出。 同社のCEO伊東由樹氏はアングラー、そしてルアー、ロッドデザイナーとしても有名で、同氏の手掛けるタックル&ルアーは実釣力の高さに加え、優れた機能美、造形美を放ち、国内外で高い評価を受けている。