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“野生のアユにアユとして認識させるのがゴール”DUO代表の安達 政弘に聞く「流鮎110F」の開発秘話

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アユルアー入門

“野生のアユにアユとして認識させるのがゴール”。

そう語るのが、DUO代表の安達 政弘(あだち まさひろ)さん。

昨年にDUO初の鮎ルアーとして登場した「流鮎110F」の生みの親でもあり、自身も長年、友釣りを嗜むアユ釣り師でもあります。

安達 政弘(Adachi Masahiro) プロフィール

26歳のときにデュオの立ち上げに参画。現在はアトラスジャパン・ホールディングスと、デュオインターナショナルの代表取締役を務める。 代表取締役と兼任でチーフデザイナーを務め、タイドミノーシリーズをはじめとする数々の名作ルアーを生み出す。 自身もルアーフィッシングだけでなく、幅広く釣りに精通し、アユ釣りも嗜む。

「流鮎110F」はオトリアユ確保のほかキャスティング用ルアーとして開発されたアユルアーで、すでに多くの釣果を上げたことでも話題を呼びました。

そんな話題の「流鮎110F」ですが、実はその構想はルアー鮎ゲームが盛り上がる以前から構想があったのだそう。

今回はそんな「流鮎」の開発の歴史を、DUO代表の安達 政弘さんにお話を伺いました。

2000年初頭から開発は進められていた

ここ数年で急激な盛り上がりを見せたルアー鮎ブーム。

今ではルアー鮎ができる河川も全国に広がり、その勢いは今後もさらに拡大が予想されます。そんなルアー鮎ですが、「流鮎」の原型となるルアーの開発は2000年初頭に開始されていました。

当時はルアーでアユを狙う専用モデルとしてではなく、あくまでオトリアユを確保するために開発が進められており、その年のフィッシングショーでも展示されるまで製品化が進められました。

しかし、当時はアユ釣りの河川ではルアーやリール竿の使用を禁止していたところも多く、仮に製品化されたとしても使用できる河川が限られていたこともあり、最終的に製品化はいったん断念となったとのこと。

 

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数年前から状況が変化しルアー鮎ブームが到来

しかし、数年前から状況が変化。

近年のアユの遡上が急激に増えたことをきっかけに、神奈川県の相模川や滋賀県の安曇川を中心にルアー鮎ゲームの人気・注目度が急上昇。それにあわせ「流鮎」の開発が再度進められることとなりました。

2023年にはDUO主催、世界初となるルアー鮎大会が利根川で開催

鮎の動きを研究し開発

まず、安達さんがルアー鮎を開発するにあたり参考にしたのは川を泳ぐ野生のアユたち。

川の中に水中カメラを沈めることで、アユの動き、泳ぎ方などを徹底して追及。さらに開発中の様々なタイプのルアーを投入することでどのようにアユが反応するか、こと細かく観察したのだそう。

そこで得られた結論というのが、“おそらく野生のアユは、ルアーを完全にアユとして認識はしていないであろう…”ということ。

ルアー鮎ゲームでは友釣りと同様、アユの縄張り意識を刺激して掛けるというもの。

しかし、残念ながら様々なルアーをアユの縄張りに投入したときの反応はルアーの存在を気にはしているものの、他のアユに仕掛けるような攻撃をしてくることはほとんどなかったのだそう。

安達さん自身もアユに関する様々な文献などを調べたのですが、アユの縄張りに他の魚種のウグイやオイカワなどが侵入した際も攻撃した例は少なく、そもそもアユ自身が他の魚種とどのように識別しているか、完全な確証を得ることはできなかったのだそう。

それゆえにルアーを異物として警戒するものの、ある程度の距離を取りながら様子を見ていることが多かったとのこと。ただ、後方で距離を取りながら追尾したり、時に横並びになって泳ぎ、じっくり様子を伺ってくる個体もいたとのこと。

約3年の研究の成果を反映させた「流鮎110F」

アユがアユを追う明確な要素については完全に解明することはできませんでしたが、約3年ほど研究していくなかで得られた情報を落とし込んで「流鮎」が開発されました。

そのなかで一つが泳ぎの姿勢。

アユ自体あまり派手にバタつくような動きはせず、瀬の中をナチュラルに泳ぎます。それでいて姿勢も水平を保つため、「流鮎」も自然な動きになるよう意識して製作したとのこと。

DUO公式YouTubeチャンネルでは「流鮎110F」の水中アクションも公開されています。百部は一見に如かず。

その流れの中で泳ぐ姿は野生のアユにそっくり!ぜひ併せてご覧ください!

キャスティング専用ルアー鮎「流鮎110F」(水中アクション)

出典:YouTubeチャンネル「DUO JAPANデュオ公式チャンネル」詳細ページ

野生のアユの姿を追求したリアルなデザイン

また、デザインにもこだわり、カラーはすべてリアルさ追求した造形に仕上げているのだそう。

CCC4519 塗り鮎 ※塗装

CCC4518 野鮎 ※リアルプリント

CCC4517 煽り鮎 ※リアルプリント/背面チャート

CCC4530 縞鮎 ※リアルプリント(2024年新色)

CCC4529 黄金鮎 ※リアルプリント(2024年新色)

釣り人視点から使いやすさを追求した設計

上記で話した内容は、あくまで野生のアユの視点に立って想像し、反映させたもの。

以下では釣り人目線からの開発ポイントについて紹介していきます。

まず一つ目がリップの素材。

リップは破損に強い柔らかな樹脂製を採用。“アユは底を釣れ”とも言われるように、ボトムや岩などに当てながら探るのが基本となります。そのため従来の素材では破損するリスクが高く、ボトムなどに当たったときの音も警戒されてしまうため、ソフト素材を採用したのだそう。

実は、観察していくなかでアユは音にも敏感に反応することがあり、ルアーのテストの中にリップが岩に当たったときに群れが散ってしまったこともあったのだそう。ジョイントタイプのルアーでもパーツ同士の接触音などでより警戒することもあったのだとか。

そうした結果も踏まえ、「流鮎」ではより警戒させないよう、接触音へ対処も完備。ちなみに真っすぐ泳がないときなどは、素材の柔らかさを活かして、その場で手で直接リップの角度を調整することも可能。

リップのカラーも釣り人が視認しやすい黄色の配色。

実はアユは黄色を認識できるという論文も発表されており、一説によるとアユがアユと識別する要素の一つとも言われているのだそう。そうしたことも踏まえ、黄色が取り入れられているとのこと。

2024年に追加された新色もそれらを意識しての配色とのこと

ハリス止めは脂ビレの位置に設置

そしてもう一点が、ハリス止めの設置位置。

従来の友釣りの場合、オトリアユの尻ビレ付近に逆バリを設置しています。実際、怒ったアユは尻ビレ付近に体当たりしてくることが多く、それゆえに背中付近にハリが掛かるとされています。

しかし、冒頭でも話したように、ルアーの場合は距離をとってじっくり追尾してくることが多く、ルアーに直接アタックしてくることは少ないのだそう。そのため、ハリスが長い方が圧倒的に掛かりが良かったとのテスト結果も出ているのだそう。(各漁業組合によって、使用できるハリスの長さは規定されているので必ず守るようにお願いします)

しかし、ハリスが長いとその分、ハリが底に擦ってしまい掛かりが悪くなるほか、根掛かりを引き起こす原因にもなってしまいます。

そこで考案されたのが、ハリスの取り付け位置を上の脂ビレの位置に設置すること。そこからの距離を広くすることで、根掛かりを防止。さらに追尾してきたアユを掛けやすくしているのだそう。

ルアーを野生のアユに“アユ”として認識させるのがゴール

以上のように、「流鮎」はアユと釣り人、それぞれの視点からより釣果が出るよう細部までこだわって開発されました。

しかし、それでも安達さんはまだまだ発展途上だと語ります。

「もちろん、現時点で出せる最高なものを目指して開発は続けています。しかし、その一方で解明されていないことも多く、アユがアユを識別する要素などの疑問や謎が多く残ります。私たちはそうした野生のアユにルアーを本物のアユと認識させることが一つのゴールだと思っています。」

これは製作者側から見たルアー鮎ゲームの魅力でもありますし、釣り人から見ても狙い方や操作の仕方など、まだまだ未発見な要素も多く残されています。それを見つけていくのもこれからのルアー鮎ゲームの楽しみ方一つだと思います。

正解がないから楽しめる、アレコレ考えていろいろ試していく…。それも釣りの魅力ですけどね。と笑顔で話す安達さん。

今年は「流鮎DEEP」や「流鮎バイブ」といった新モデルも登場しており、今も開発を進めているアイテムも控えているそうで、今後も目が離せないDUOのルアー鮎シリーズ。

ぜひ、「流鮎」シリーズで、ルアー鮎ゲームの魅力にどっぷりとハマってみませんか?

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デュオ(DUO) プロフィール

Made in JAPANの技術を生かした高品質で個性溢れるルアーを数多くリリースしているDUO。「NIPPON QUALITY」にこだわり、スタンダードかつ、新しい一手を創造する国産ルアーメーカー。